クマノミ

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クマノミ亜科 Amphiprioninae
Ocellaris clownfish.JPG
カクレクマノミ Amphiprion ocellaris
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : ベラ亜目 Labroidei
: スズメダイ科 Pomacentridae
亜科 : クマノミ亜科 Amphiprioninae
英名
Clownfish, Anemonefish,
Sea bee
下位分類群
2属25種(本文参照)
クマノミ Amphiprion clarkii
ハマクマノミ
カクレクマノミ

クマノミ(隈魚、熊の実)は、スズキ目スズメダイ科クマノミ亜科 Amphiprioninae に属するの総称。日本ではその中の一種 Amphiprion clarkii の標準和名としても用いられる。

鮮やかな体色、大型イソギンチャクとの共生性転換等の変わった特徴を多く持つ魚で、鑑賞用に飼育されることも多い。クラウンアネモネフィッシュは映画『ファインディング・ニモ』(2003年)に登場するキャラクターのモチーフとなり(カクレクマノミと誤解されているがよく似た別種)、一躍有名になった。

目次

特徴 [編集]

インド太平洋熱帯海域のサンゴ礁に分布・生息する魚で、クマノミ属 Amphiprion 24種類、Premnas 属1種類の計2属25種類が知られるが、細かい種類分けには諸説がある[1]。日本近海では本州中部以南で6種が知られる[2][3]

スズメダイ科の分類にあっては、クマノミ亜科はどれもが細かく、鰓蓋に鋸歯が並び、体色が鮮やかに色分けされることが特徴である。成魚の全長は各種とも10-15cm 程度。スズメダイ科らしく体は側扁し、各鰭は体に対して大きい。この体つきはサンゴの枝やイソギンチャクの触手の間をすり抜けるのに都合がよい。食性は雑食性で、小型甲殻類や付着藻類を食べる[3]

和名「クマノミ」は色分けされた体色を歌舞伎役者の隈取に見立てたもので、「ミ」は魚介を表す接尾語とされる。また「隈」は隠れ場所を意味し、イソギンチャクの触手の間に隠れる行動に由来するという説もある。英名"Clownfish"は、イソギンチャクと戯れるような行動がクラウン(ピエロ)のようであることに由来する。またイソギンチャク(Sea anemone)に寄り添うことから"Anemonefish"、さらに花に群がるミツバチに見立てての"Sea bee"という呼称もある[4]

共生 [編集]

どの種類もハタゴイソギンチャク科の大型イソギンチャク類と共生する。通常イソギンチャクの触手に触れた動物は刺胞による攻撃を受けるが、クマノミは刺胞に対する免疫を持つために触手に触れても問題なく行動できる。ただしこれは生まれもった体質ではなく、幼魚が徐々にイソギンチャクと触れ合うことで免疫性を獲得する[3]。イソギンチャクの触手の中にいると大きな動物からも捕食されず、身を守ることができる。また、クマノミは魚の死骸や弱った魚を見つけると、それをくわえてイソギンチャクに捕食させることが観察されている。

同じハタゴイソギンチャク科各種に共生する動物として、クマノミと同じスズメダイ科のミツボシクロスズメダイ、甲殻類ではイソギンチャクカクレエビアカホシカニダマシ等が知られている。

性転換と繁殖行動 [編集]

一つのイソギンチャクには、だいたい複数のクマノミが生息する。この中では最大の個体がメス、2番目に大きい個体がオスで、残りの個体は繁殖しない。この時にメスが死ぬと、オスがメスへ、3番目に大きい個体がオスへと昇格する。このように最初にオス、次にメスへ性転換をおこすことを雄性先熟という。

繁殖時はオスとメスがイソギンチャクの近くの場に産卵し、産卵後はつがいで卵に水を送ったりゴミを取り除いたりと、こまごました世話をする。これはスズメダイ科に共通する習性である。卵から孵化した仔魚は数日にわたる浮遊生活を送った後、海底のイソギンチャク類に定着する[3]

人間との関係 [編集]

2003年の映画ファインディング・ニモ」のヒットにより2005年頃から、商業的に人工繁殖させた個体が安価に流通している。

分類 [編集]

※学名 記載者,記載年 - 和名(日本近海産6種) : 英名の順。英名はFishBaseに準拠[1]

  • Amphiprion akallopisos Bleeker,1853 - Skunk clownfish
  • A. akindynos Allen,1972 - Barrier reef anemonefish
  • A. allardi Klausewitz,1970 - Twobar anemonefish
  • A. bicinctus Ruppell,1830 - Twoband anemonefish
  • A. chrysogaster Cuvier,1830 - Mauritian anemonefish
  • A. chrysopterus Cuvier,1830 - Orangefin anemonefish
  • A. clarkii (Bennett,1830) - クマノミ : Yellowtail clownfish
  • A. ephippium (Bloch,1790) - Saddle anemonefish
  • A. frenatus Brevoort,1856 - ハマクマノミ : Tomato clownfish
  • A. fuscocaudatus Allen,1972 - Seychelles anemonefish
  • A. latezonatus Waite,1900 - Wide-band Anemonefish
  • A. leucokranos Allen,1973 - Whitebonnet anemonefish
  • A. mccullochi Whitley,1929 - Whitesnout anemonefish
  • A. melanopus Bleeker,1852 - Fire clownfish
  • A. nigripes Regan,1908 - Maldive anemonefish
  • A. ocellaris Cuvier,1830 - カクレクマノミ : Clown anemonefish
  • A. omanensis Allen et Mee,1991 - Oman anemonefish
  • A. percula (Lacépède,1802) - Orange clownfish
  • A. perideraion Bleeker,1855 - ハナビラクマノミ : Pink anemonefish
  • A. polymnus (Linnaeus,1758) - トウアカクマノミ : Saddleback clownfish
  • A. rubrocinctus Richardson,1842 - Red Anemonefish
  • A. sandaracinos Allen,1972 - セジロクマノミ : Yellow clownfish
  • A. sebae Bleeker,1853 - Sebae anemonefish
  • A. tricinctus Schultz et Welander,1953 - Maroon clownfish
  • Premnas biaculeatus (Bloch, 1790) - Spinecheek anemonefish

主な種類 [編集]

クマノミ Amphiprion clarkii (Bennett,1830)
全長15cmほど。インド太平洋の熱帯域に分布し、サンゴイソギンチャク Entacmaea actinostoloides、ジュズダマイソギンチャク Heteractis aurora 等と共生する[5][6]。体の上半分は黒く、頭部・胴・尾鰭つけ根に計3本の白い横帯が入る。尾鰭は三角形に近く、オスは橙色だがメスは白色である。腹部は橙色だが[7]、アラビアハタゴイソギンチャク Stichodactyla mertensii に共生するものは腹部まで黒くなる[8]
種小名"clarkii"は、ベネットが本種を新種として報告する時に、図版を製作した銅版彫師J. クラークへ献名したものである[4]。地方名はトンボダイ(和歌山)、ハチマキ、チンチクリ(高知)、ヤハゲ(愛媛)等がある[2][7]
トウアカクマノミ A. polymnus (Linnaeus,1758)
全長15cmほど。西太平洋の熱帯域に分布する。主にイボハタゴイソギンチャク S. haddoni と共生し、宿主ともどもやや内湾性の環境を好む[6][8]。体の上半分は黒いが、前半部と後半部に白い大きな鞍状斑があり、尾鰭も白く縁取られる。顔と腹部は橙色で、外見はクマノミに似る[3]
カクレクマノミ A. ocellaris Cuvier,1830
全長9cmほど。西太平洋の熱帯域に分布し、ハタゴイソギンチャク S. gigantea、センジュイソギンチャク Radianthus ritteri と共生する[3][6][8]。体形は他種より前後に細長く、尾鰭が円い。体は橙色で、目の後ろ・胴体・尾鰭つけ根に白い横帯が入る。各鰭は黒または白黒で縁取られる[7]。沖縄の礁池の低潮線付近の非常に浅いところから水深20mくらいまでに多い[9]
オレンジ・クラウンフィッシュ(ペルクラクラウン) A. percula (Lacépède,1802)
オーストラリア北東部の熱帯海域に分布する[1]。「ファインディング・ニモ」の舞台はグレートバリアリーフなので、ニモはカクレクマノミでなくこちらであるという指摘がある[10]
ハマクマノミ A. frenatus Brevoort,1856
全長12cmほど。インド太平洋の熱帯域に分布し、タマイタダキイソギンチャク E. ramsayi と共生する[6][8]。全身が橙色で、幼魚はクマノミと同様の3本帯があるが、成長すると目の直後の白帯だけが残る[3]
モルジブ・アネモネフイッシュ A. nigripes Regan,1908
ハマクマノミに似るが、目の後方の白線がやや細く、色合いも淡いオレンジ色をしていることで区別できる。
ハナビラクマノミ A. perideraion Bleeker,1855
全長9cmほど。西太平洋の熱帯域に分布し、センジュイソギンチャク、シライトイソギンチャク R. crispus と共生する[6][8]。セジロクマノミに似るが鰓蓋上に白い線が出るので区別できる[3]。奄美大島以南のサンゴ礁の外側の比較的潮通しの良い場所で見られる[9]
セジロクマノミ A. sandaracinos Allen,1972
全長12cmほど。西太平洋の熱帯域に分布し、シライトイソギンチャク[6]やハタゴイソギンチャクと共生する。全身は黄色だが、和名通り背中に白い線が縦走する。ハナビラクマノミとちがい鰓蓋上に白線はない[3]。沖縄のサンゴ礁の外側の比較的潮通しの良い場所で見られるが、数は少ない[9]

参考文献 [編集]

  1. ^ a b c FAMILY Details for Pomacentridae - Froese, R. and D. Pauly. Editors. 2009.FishBase.World Wide Web electronic publication.www.fishbase.org, version (08/2009)
  2. ^ a b 檜山義夫監修『野外観察図鑑4 魚』旺文社 1985年初版・1998年改訂版 ISBN 4010724242
  3. ^ a b c d e f g h i 岡村収・尼岡邦夫監修 山渓カラー名鑑『日本の海水魚』(解説 : 荒賀忠一)1997年 ISBN 4635090272
  4. ^ a b 中村庸夫『魚の名前』2006年 東京書籍 ISBN 4487801168
  5. ^ 奥谷喬司・楚山勇 新装版山渓フィールドブックス3『海辺の生きもの』2006年 山と渓谷社 ISBN 4635060608
  6. ^ a b c d e f 奥谷喬司・楚山勇 新装版山渓フィールドブックス4『サンゴ礁の生きもの』2006年 山と渓谷社 ISBN 4635060616
  7. ^ a b c 蒲原稔治著・岡村収補訂『魚』保育社 エコロン自然シリーズ 1966年初版・1996年改訂版 ISBN 4586321091
  8. ^ a b c d e 小林安雅『ヤマケイポケットガイド16 海辺の生き物』2000年 山と渓谷社 ISBN 4635062260
  9. ^ a b c ダイバーのための海中観察図鑑 PHP研究所刊、1997年10月17日発行(28-30ページ)
  10. ^ 富田京一・荒俣幸男・さとう俊『おもしろくてためになる魚の雑学辞典』2004年 日本実業出版社 ISBN 4534038372