「オキシタラン」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
m 加藤勝憲 がページ「利用者:加藤勝憲/オキシタラン」を「オキシタラン」に移動しました: 英語版を翻訳し、利用者空間で細部の修正が終わったので標準空間に移動。
スペイン語版 2023年1月22日 00:12 版を翻訳してmerge。これにより以下の2点の説明が追加される。 ① オキシタランの組成材料と構造。②歯の細胞解剖学において、オキシタラン線維は細胞外マトリックスである歯根膜歯槽骨の構成成分であること。
1行目: 1行目:
オキシタランは[[エラスチン]]に似た有機線維の一種で、一定の引張、圧縮、あるいは単なる弾性変形を受けるさまざまな種類の組織に見られる<ref>{{Cita libro|título=Zytologie und Histologie|url=http://dx.doi.org/10.1007/978-3-540-69483-0_2|editorial=Springer Berlin Heidelberg|fecha=2010|fechaacceso=2023-01-22|isbn=978-3-540-69481-6|páginas=21–49|nombre=U.|apellidos=Welsch}}</ref><ref>{{Cite journal|last=Fullmer|first=Harold M.|last2=Sheetz|first2=James H.|last3=Narkates|first3=Annie J.|date=1974-11|title=Oxytalan connective tissue fibers: A review|url=https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1600-0714.1974.tb01724.x|journal=Journal of Oral Pathology and Medicine|volume=3|issue=6|pages=291–316|language=en|doi=10.1111/j.1600-0714.1974.tb01724.x|issn=0904-2512}}</ref>。
オキシタラン線維は、歯の表面と平行に走る弾性線維で、曲がって[[セメント質]]に付着する。[[フィブリリン]]がオキシタラン線維を形成し、弾性的な挙動を引き起こす<ref>WELSCH – Lehrbuch der Histologie, Elsevier München 2010</ref>。


== 組成と構造 ==
歯の細胞解剖学において、オキシタラン線維は[[細胞外マトリックス]]の構成成分である。オキシタラン線維は、Harold M.Fullmer とR.D. Lillieによって[[歯根膜]]で初めて報告された<ref>{{Cite journal|last=Fullmer|first=Harold M.|last2=Lillie|first2=R. D.|date=1958-11|title=THE OXYTALAN FIBER: A PREVIOUSLY UNDESCRIBED CONNECTIVE TISSUE FIBER|url=http://journals.sagepub.com/doi/10.1177/6.6.425|journal=Journal of Histochemistry & Cytochemistry|volume=6|issue=6|pages=425–430|language=en|doi=10.1177/6.6.425|issn=0022-1554}}</ref>。[[光学顕微鏡]]で観察するとこれらの線維、[[過マガン酸カリウム]][[過ギ酸]]、[[過酢酸]]どで酸化されいない限り[[アルデヒドフクシン]]溶液で染色されないことから、成熟した弾性線維と区別することがる。
この物質は主に、[[フィブリリン-1]](高濃度に存在する)とフィブリリン-2(低濃度に存在するが、オキシタラン線維の発達を制限する)のような2種類の[[微小管]]タンパク質から構成されている。前の2つのタンパク質によって形成された[[ミクロフィブリル]]は、同じタイプの他のミクロフィブリルと結合し、十分な数が結合すると、オキシタランとして知られるミクロフィブリルの束を形成する。また、[[細胞外マトリックス]]に存在するさまざまな種類のタンパク質(例えば、フィブリン-5)のおかげで、これらのミクロフィブリルは、エラスチンの[[細胞外前駆体]]分子である[[トロポエラスチン]]と結合することができ、これらの2種類の線維を結合させるのに役立つと考えられている。

[[光学顕微鏡]]で観察すると、これらの線維は、[[過マンガン酸カリウム]]、[[過ギ酸]]、[[過酢酸]]などで酸化されていない限り、[[アルデヒドフクシン]]溶液で染色されないことから、成熟した弾性線維と区別することができる。


[[電子顕微鏡]]では、直径7〜20nm、周期12〜17nmの[[ミクロフィブリル]]ユニットから構成されているように見える。その形態、局在、染色特性から、これらの線維は弾性組織の未熟な形態であると思われる。
[[電子顕微鏡]]では、直径7〜20nm、周期12〜17nmの[[ミクロフィブリル]]ユニットから構成されているように見える。その形態、局在、染色特性から、これらの線維は弾性組織の未熟な形態であると思われる。


[[平滑筋]]の表面に存在し、主に[[血管]]と関連している。
[[平滑筋]]の表面に存在し、主に[[血管]]と関連している。

== 歯根膜・歯槽骨 ==
オキシタラン線維は、Harold M.Fullmer とR.D. Lillieによって[[歯根膜]]で初めて報告された<ref>{{Cite journal|last=Fullmer|first=Harold M.|last2=Lillie|first2=R. D.|date=1958-11|title=THE OXYTALAN FIBER: A PREVIOUSLY UNDESCRIBED CONNECTIVE TISSUE FIBER|url=http://journals.sagepub.com/doi/10.1177/6.6.425|journal=Journal of Histochemistry & Cytochemistry|volume=6|issue=6|pages=425–430|language=en|doi=10.1177/6.6.425|issn=0022-1554}}</ref>。オキシタラン線維は表面と平行に走る弾性線維曲がって[[セメト質]]に付着する。[[フィブリリン]]がオキシタラン線維を形成し弾性的挙動を引き起こす<ref>WELSCH – Lehrbuch der Histologie, Elsevier München 2010</ref>。歯の細胞解剖学において、オキタラン線維は細胞外マトリックスの構成成分る。

オキシタランは歯根膜で非常に多く観察され、歯根膜を灌流する血管と関連しており、その機能は以下の通りである:

* 細胞をサポートし、組織の弾力性を促進し、抵抗性と剛性を高める。

* 血管と結合しているため、歯根膜の構造が変化した場合(歯にかかる力によってより大きく変化する)、血管を組織化し再配置する。

* 歯の萌出時に細胞の沈着を助ける。

オキシタランは、歯槽骨と歯のセメント組織の骨組織に埋め込まれている。これらがミネラル化すると、[[コラーゲン]]やエラスチンと同様にその部分に固定される。


== 脚注・参考文献 ==
== 脚注・参考文献 ==
{{Reflist}}
{{Reflist}}

== 参照 ==
* [[フィブリリン]]
*[[歯根膜]]

== 外部リンク ==



[[Category:歯]]
[[Category:歯]]

2023年7月11日 (火) 02:44時点における版

オキシタランはエラスチンに似た有機線維の一種で、一定の引張、圧縮、あるいは単なる弾性変形を受けるさまざまな種類の組織に見られる[1][2]

組成と構造

この物質は主に、フィブリリン-1(高濃度に存在する)とフィブリリン-2(低濃度に存在するが、オキシタラン線維の発達を制限する)のような2種類の微小管タンパク質から構成されている。前の2つのタンパク質によって形成されたミクロフィブリルは、同じタイプの他のミクロフィブリルと結合し、十分な数が結合すると、オキシタランとして知られるミクロフィブリルの束を形成する。また、細胞外マトリックスに存在するさまざまな種類のタンパク質(例えば、フィブリン-5)のおかげで、これらのミクロフィブリルは、エラスチンの細胞外前駆体分子であるトロポエラスチンと結合することができ、これらの2種類の線維を結合させるのに役立つと考えられている。

光学顕微鏡で観察すると、これらの線維は、過マンガン酸カリウム過ギ酸過酢酸などで酸化されていない限り、アルデヒドフクシン溶液で染色されないことから、成熟した弾性線維と区別することができる。

電子顕微鏡では、直径7〜20nm、周期12〜17nmのミクロフィブリルユニットから構成されているように見える。その形態、局在、染色特性から、これらの線維は弾性組織の未熟な形態であると思われる。

平滑筋の表面に存在し、主に血管と関連している。

歯根膜・歯槽骨

オキシタラン線維は、Harold M.Fullmer とR.D. Lillieによって歯根膜で初めて報告された[3]。オキシタラン線維は、歯の表面と平行に走る弾性線維で、曲がってセメント質に付着する。フィブリリンがオキシタラン線維を形成し、弾性的な挙動を引き起こす[4]。歯の細胞解剖学において、オキシタラン線維は細胞外マトリックスの構成成分である。

オキシタランは歯根膜で非常に多く観察され、歯根膜を灌流する血管と関連しており、その機能は以下の通りである:

  • 細胞をサポートし、組織の弾力性を促進し、抵抗性と剛性を高める。
  • 血管と結合しているため、歯根膜の構造が変化した場合(歯にかかる力によってより大きく変化する)、血管を組織化し再配置する。
  • 歯の萌出時に細胞の沈着を助ける。

オキシタランは、歯槽骨と歯のセメント組織の骨組織に埋め込まれている。これらがミネラル化すると、コラーゲンやエラスチンと同様にその部分に固定される。

脚注・参考文献

  1. ^ Welsch, U. (2010). Zytologie und Histologie. Springer Berlin Heidelberg. pp. 21–49. ISBN 978-3-540-69481-6. 2023年1月22日閲覧
  2. ^ Fullmer, Harold M.; Sheetz, James H.; Narkates, Annie J. (1974-11). “Oxytalan connective tissue fibers: A review” (英語). Journal of Oral Pathology and Medicine 3 (6): 291–316. doi:10.1111/j.1600-0714.1974.tb01724.x. ISSN 0904-2512. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1600-0714.1974.tb01724.x. 
  3. ^ Fullmer, Harold M.; Lillie, R. D. (1958-11). “THE OXYTALAN FIBER: A PREVIOUSLY UNDESCRIBED CONNECTIVE TISSUE FIBER” (英語). Journal of Histochemistry & Cytochemistry 6 (6): 425–430. doi:10.1177/6.6.425. ISSN 0022-1554. http://journals.sagepub.com/doi/10.1177/6.6.425. 
  4. ^ WELSCH – Lehrbuch der Histologie, Elsevier München 2010

参照

外部リンク