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「大洋水深総図」の版間の差分

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'''大洋水深総図'''(たいようすいしんそうず GEBCO,General Bathymetric Chart of the Oceans)は、[[国際水路機関]](IHO,International Hydrographic Organization)と[[国際連合教育科学文化機関]]・政府間海洋学委員会(UNESCO-IOC,Intergovernmental Oceanographic Commission)との共同プロジェクトであり、全世界の海底地形図の作成と[[海底地形]]名称の標準化を行っている<ref>[https://www.sof.or.jp/jp/news/151-200/187_1.php 海底地形名命名の国際的な取り組みとその意義,春日茂,海洋政策研究財団,ニューズレター 第187号,2008年5月20日]</ref><ref>[http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/kouhou/h23/k20110916/k110916-2.pdf 日本人の名前を冠した海底地形名が国際的に登録されました,海上保安庁 東京大学プレスリリース,2011年9月16日]</ref><ref name="kanazawa">[http://www.jsurvey.jp/jfs/bunka4-5.pdf 国際水路機関の現状と将来(組織改革),日本測量協会]</ref>。
'''大洋水深総図'''(たいようすいしんそうず GEBCO,General Bathymetric Chart of the Oceans)は、[[国際水路機関]](IHO,International Hydrographic Organization)と[[国際連合教育科学文化機関]]・政府間海洋学委員会(UNESCO-IOC,Intergovernmental Oceanographic Commission)との共同プロジェクトであり、全世界の海底地形図の作成と[[海底地形]]名称の標準化を行っている<ref>,春日茂、[https://www.spf.org/opri/newsletter/187_1.html 海底地形名命名の国際的な取り組みとその意義] 海洋政策研究財団,ニューズレター 第187号,2008年5月20日</ref><ref>[http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/kouhou/h23/k20110916/k110916-2.pdf 日本人の名前を冠した海底地形名が国際的に登録されました,海上保安庁 東京大学プレスリリース,2011年9月16日]</ref><ref name="kanazawa">[http://www.jsurvey.jp/jfs/bunka4-5.pdf 国際水路機関の現状と将来(組織改革),日本測量協会]</ref>。


[[モナコ]][[モナコ統治者の一覧|大公]][[アルベール1世 (モナコ大公)|アルベール1世]]の提唱により、[[1903年]]に1万8千点の水深データを用いて、海底地形図の初版が作成された<ref name="iwabuchi kanbayashi">[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjca1963/29/2/29_2_28/_pdf 大洋水深総図の歴史と海底地形名についての問題点,岩淵義郎・上林孝史,地図,P28-36,第29巻2号,1991年]</ref>。第2版は1912年から1930年にかけて出版され、第3版はIHOの手により、1932年から制作が開始されるも、部分的な出版に留まった<ref name="iwabuchi kanbayashi"/>。第4版も完成に至らず、IHOとIOCの共同プロジェクトとなった第5版は1972年から制作が開始され、[[1984年]]に完成した<ref name="iwabuchi kanbayashi"/>。
[[モナコ]][[モナコ統治者の一覧|大公]][[アルベール1世 (モナコ大公)|アルベール1世]]の提唱により、[[1903年]]に1万8千点の水深データを用いて、海底地形図の初版が作成された<ref name="iwabuchi kanbayashi">岩淵義郎, 上林孝史、「[https://doi.org/10.11212/jjca1963.29.2_28 大洋水深総図の歴史と海底地形名についての問題点]」『地図』 1991年 29巻 2号 p.28-36, {{doi|10.11212/jjca1963.29.2_28}}, 日本地図学会</ref>。第2版は1912年から1930年にかけて出版され、第3版はIHOの手により、1932年から制作が開始されるも、部分的な出版に留まった<ref name="iwabuchi kanbayashi"/>。第4版も完成に至らず、IHOとIOCの共同プロジェクトとなった第5版は1972年から制作が開始され、[[1984年]]に完成した<ref name="iwabuchi kanbayashi"/>。


第6版は制作検討のみで中止され、電子データによる提供及びアップデートが行われるようになっている<ref>[http://www.jha.or.jp/jp/shop/products/suiro/pdf/suiro169.pdf GEBCO(大洋水深総図)の思い出≪2≫,八島邦夫,水路,P2-8,第169号,2014年4月]</ref>。1994年、[[イギリス]]がデジタル版を完成させた<ref>[[イギリス海軍]]水路部は現在でも標準海図およそ3300枚を発行し続けており、世界最大の供給元である。デジタル版を発信する軍のサービスは、海運情報だけでなく、[[GPS]]でリアルタイムに統合された地理情報を提供している。{{main|en:Admiralty chart|en:Admiralty Raster Chart Service}}</ref>。[[Google Earth]] や[[ArcGIS]]等の電子地図には、これらのデータが組み込まれている<ref>[http://www.gebco.net/data_and_products/gebco_web_services/web_map_service/ GEBCO Web Map Service (WMS])</ref>。
第6版は制作検討のみで中止され、電子データによる提供及びアップデートが行われるようになっている<ref>[http://www.jha.or.jp/jp/shop/products/suiro/pdf/suiro169.pdf GEBCO(大洋水深総図)の思い出≪2≫,八島邦夫,水路,P2-8,第169号,2014年4月]</ref>。1994年、[[イギリス]]がデジタル版を完成させた<ref>[[イギリス海軍]]水路部は現在でも標準海図およそ3300枚を発行し続けており、世界最大の供給元である。デジタル版を発信する軍のサービスは、海運情報だけでなく、[[GPS]]でリアルタイムに統合された地理情報を提供している。{{main|en:Admiralty chart|en:Admiralty Raster Chart Service}}</ref>。[[Google Earth]] や[[ArcGIS]]等の電子地図には、これらのデータが組み込まれている<ref>[http://www.gebco.net/data_and_products/gebco_web_services/web_map_service/ GEBCO Web Map Service (WMS])</ref>。
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== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
*[http://www.gebco.net/ gebco.net]
* [http://www.gebco.net/ gebco.net]
**[http://www.gebco.net/about_us/project_history/ 歴史]
** [http://www.gebco.net/about_us/project_history/ 歴史]
**[http://www.gebco.net/data_and_products/undersea_feature_names/documents/b6_ej_ed4.pdf 海底地名標準(日本語対訳)]
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2020年1月20日 (月) 05:54時点における版

大洋水深総図(たいようすいしんそうず GEBCO,General Bathymetric Chart of the Oceans)は、国際水路機関(IHO,International Hydrographic Organization)と国際連合教育科学文化機関・政府間海洋学委員会(UNESCO-IOC,Intergovernmental Oceanographic Commission)との共同プロジェクトであり、全世界の海底地形図の作成と海底地形名称の標準化を行っている[1][2][3]

モナコ大公アルベール1世の提唱により、1903年に1万8千点の水深データを用いて、海底地形図の初版が作成された[4]。第2版は1912年から1930年にかけて出版され、第3版はIHOの手により、1932年から制作が開始されるも、部分的な出版に留まった[4]。第4版も完成に至らず、IHOとIOCの共同プロジェクトとなった第5版は1972年から制作が開始され、1984年に完成した[4]

第6版は制作検討のみで中止され、電子データによる提供及びアップデートが行われるようになっている[5]。1994年、イギリスがデジタル版を完成させた[6]Google EarthArcGIS等の電子地図には、これらのデータが組み込まれている[7]

最終的に、海底ケーブルなどの構造物も含んだ海洋情報を一元化するものとみられる[8]

組織としては、合同指導委員会の下に海洋図作製小委員会(TSCOM)、海底地形名小委員会(SCUFN)、地域海洋図作製小委員会(SCRUM)が置かれている[3]

脚注

  1. ^ ,春日茂、海底地形名命名の国際的な取り組みとその意義 海洋政策研究財団,ニューズレター 第187号,2008年5月20日
  2. ^ 日本人の名前を冠した海底地形名が国際的に登録されました,海上保安庁 東京大学プレスリリース,2011年9月16日
  3. ^ a b 国際水路機関の現状と将来(組織改革),日本測量協会
  4. ^ a b c 岩淵義郎, 上林孝史、「大洋水深総図の歴史と海底地形名についての問題点」『地図』 1991年 29巻 2号 p.28-36, doi:10.11212/jjca1963.29.2_28, 日本地図学会
  5. ^ GEBCO(大洋水深総図)の思い出≪2≫,八島邦夫,水路,P2-8,第169号,2014年4月
  6. ^ イギリス海軍水路部は現在でも標準海図およそ3300枚を発行し続けており、世界最大の供給元である。デジタル版を発信する軍のサービスは、海運情報だけでなく、GPSでリアルタイムに統合された地理情報を提供している。
  7. ^ GEBCO Web Map Service (WMS)
  8. ^ 林王弘道 海洋情報の一元化の取り組み 日本水路協会 『水路』 168号 平成26年1月

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