ルイス構造式
電子式(electronic (formula))とは、元素記号の周りに価電子の数だけ、点をつけた式をいい、化学式の一種である。ルイスが考案した[1]ので、ルイス構造式(Lewis structure)ともいう。いくつかの例を挙げておく。ただし、書けないので、元素の上と下の点は省略している。下の二酸化炭素の炭素原子は真ん中にあるため、中央原子(central atom)といい、両辺にある酸素原子を終端原子(terminal atom)という。有機化学で、水素原子が終端原子の代表である。
以下のような表し方をルイス記号(Lewis symbol)という。
- 水素原子H2
- ・H
- ヘリウム原子He
- ・He・
- 酸素原子O2(上に二つ点、下に一つ点がある。)
- ・O:
書き方
「超原子価」も参照
- 価電子の総数を求める。
- 原子を配置する。
- 原子間に電子対を配置する。
- 周辺原子のオクテットを完成させる。(例1)ただし、次の4つの例外がある。
例1:
- アジ化物イオンN3- (窒化物イオンN3+ではない、上下の点は省略している。)
- [N=N=N]-≡[N≡N-N:]-⇔[:N-N≡N]-
例2:
- 酸素イオンO2−(右の酸素の下の点は一つである。)
- [:O-O:]-
- 一酸化窒素NO(左の窒素は上の点だけを省略している。)
- ·N=O
例3:
- 三ヨウ化物イオンI3−(真ん中のヨウ素の上には二組の点がある。)
- :I-I-I:
例4:
「超酸化物」も参照
- スーパーオキシドアニオンO2- (左の酸素の上と右の酸素の上下にそれぞれ二組の点があり、左の酸素の下に一つの点がある。)
- :O:O:
イオン結合
イオン結合でできた物質は、上のように書くことはできない。上のようにかけるのは、共有結合でできた化合物だけである。以下に例を示す。
例えば、酸化アルミニウムAl2O3を考えてみる。これは、2つアルミニウムイオンと3つの酸素イオンがイオン結合でできている。アルミニウムは3つの価電子、酸素は6つの価電子があるので、アルミニウムのそれぞれの価電子は酸素のそれぞれの価電子と共有する。その結果、ルイス構造式は次のようになる。
- 酸化アルミニウムAl2O3 (酸素イオンの上下の点は省略している。)
- 2[Al]3+ 3[:O:]2-
脚注
- ^ 論拠:Dickerson, Richard E; Gray, Harry B; Haight, Gilbert P.(1979年)「Chapter 11 Lewis Structures and the VSEPR Method」『Chemical principles』(第3版)The Benjamin/Cummings(カリフォルニア州メンロー・パーク)、ISBN 9780805323986、400頁目、2010年8月17日閲覧。