肺 (五臓)

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(はい)は、東洋医学における五臓のひとつである。

肺のカタチ

肺は、東洋医学においても、「呼吸」を司る臓器で、が食物を消化して作った営気と肺が呼吸によって取り入れた宗気(衛気)をあわせて、気血として全身に配分するとされており、現代医学の肺とほぼ同じものである。

和漢三才図会』より「肺」

しかし、古典の記述や、和漢三才図絵の挿絵などを見ると、のどから肺に通じる管(気管)は9つの節があり、肺は、コスモスを伏せたカタチ、またはさつまいもやダリアの芋を掘り出したような格好で、8葉に分かれ、重さは3斤3両=510匁(約1.9キロ)あるとされている。現代医学における肺は、5葉からなっており、なぜあえて8葉とするのかと思う人も多いだろうが、東洋医学では、肺は五行の金に属し、金の数は9、生数は4なので、気管の節を9、肺葉を4が左右2対で8葉としたものである。

合理性・科学性を重んずる現代社会から見ると、いかにもいい加減なこじつけのように見えるが、東洋醫學は、自然科学とは全く違った価値観によって成り立っており、古典を遵守して施術・投薬するとうまくゆくが、疑ってやっているとなかなか技術が進歩しないものである。

肺は、皮毛を司るとされ、肺が充実していると、色白でもち肌の美人になるが、肺に問題があると、顔色は青白く、肌がかさかさして毛が抜けやすくなるという。また、肺が充実していないと、悲しみやすく心配性になる。肺は「魄」を宿すが、いかにも「落魄した」状態になる。強い悲しみを表現するとき、「肺腑をえぐられる」、「断腸の思い」と、肺と、その表裏の肝経にある大腸が登場するのも、ここからきていると思われる。