確率的ボラティリティモデル
確率的ボラティリティモデル (英:Stochastic volatility model, SV model) は、数理ファイナンスにおいてオプションなどのデリバティブや有価証券を評価するのに使われるモデル。原資産となる有価証券のボラティリティを確率過程として取り扱うことからこのような名称となっている。
ブラック・ショールズ方程式ではボラティリティは定数として取り扱われ時間や原資産価格の変動に影響されないと仮定している。しかしこのモデルでは、インプライド・ボラティリティがオプションの権利行使価格や権利行使期日によって異なることを示唆するボラティリティ・スマイル(Volatility smile)やボラティリティ・スキュー(Volatility skew)を説明できない。 そこで確率的ボラティリティモデルでは、原資産価格のボラティリティは時間あるいは原資産価格などの状態変数の変化により影響を受けると仮定することで、より正確なモデル化を可能としている。
基本モデル
ブラック・ショールズ方程式などのモデルでは、次のように原資産価格はボラティリティ σ を定数とする幾何ブラウン運動に従うと仮定している。
ここで、
- μ は原資産価格 St の期待収益率(定数)
- σ はボラティリティで定数
- dWt は平均 0 分散 1 のガウス分布
確率的ボラティリティモデルでは、定数であるボラティリティ σ を関数 σt に置き換える。 この関数 σt は、ブラウン運動として記述されるが、その詳細は各SVモデルによって異なってくる。
ここで、
- と は σt の関数。
- dBt は dWt とは別のガウス分布で、ρ∈[-1, 1] を相関係数(定数)とする相関関係をもつ。
SVモデル一覧
参考文献
- Stochastic Volatility and Mean-variance Analysis, Hyungsok Ahn, Paul Wilmott, (2006).
- A closed-form solution for options with stochastic volatility, SL Heston, (1993).
- Inside Volatility Arbitrage, Alireza Javaheri, (2005).
- Accelerating the Calibration of Stochastic Volatility Models, Kilin, Fiodar (2006).