温度勾配

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温度勾配(おんどこうばい、Temperature gradient)とは、任意の2地点間における、温度の変化率・変化量のこと。気象学においては、鉛直方向の温度勾配である気温減率と区別して、特に水平方向に離れた2地点間での気温の変化率・変化量を指す。気温勾配とも言う。

一般的に、1kmあたりの温度の変化量を基準とし、ケルビンキロメートル(K/km)で表されるが、K/m/kmも用いられる。

温度勾配の式

(x,y,zはそれぞれ縦・横・鉛直方向に対応する)

気温が以上のように定義されるとき、温度勾配は以下の式により表される。

一般的には、温度勾配は次式で表現される。温度a(℃)であるA地点と、温度b(℃)であるB地点の距離がn(km)離れているとき(ただしa<b)の、AからBへの温度勾配 Tgは、

(℃/km)

例えば、20km離れた気温10℃のA地点と気温15℃のB地点の間の温度勾配は0.25℃/kmとなる。BからAへの温度勾配は、この式の符号を逆にすればよい。

温度勾配と気象・気候

温度勾配は、地球上のさまざまな場所に存在する。これは日射量の違い、比熱の違いなどに起因するもので、大規模な温度勾配は大気の温度差となり、気圧の差を生み出す。結果として、温度勾配は気圧勾配(圧力勾配)に密接に関わってくる。

天気図上における前線は、周囲よりも特に温度勾配が大きい部分が帯状に連なったものである。

空気調和・生活と温度勾配

空気調和工学においても温度勾配(室温勾配)は用いられる。空気調和による過度の暖房・冷房は、室内外での温度勾配を増大させ、部屋へ出入りする際にはストレスなどの体への負担につながるため、温度勾配を必要以上に上げないことが考慮される。

関連項目

出典

  • Edward N. Lorenz (1967) The nature and theory of the general circulation of atmosphere, World Meteorological Organization, Publication No. 218, Geneva, Switzerland.
  • M. I. Budyko (1978) Climate and Life, Academic Press, International Geophysics Series, Volume 18, ISBN 0-12-139450-6.
  • Robert G. Fleagle and Joost A. Businger (1980) An Introduction to Atmospheric Physics, Second Edition, Academic Press, International Geophysics Series, Volume 25, ISBN 0-12-260355-9.
  • David Miller (1981) Energy at the Surface of the Earth: An Introduction to the Energetics of Ecosystems, Academic Press, International Geophysics Series, Volume 29.
  • John M. Wallace and Peter V. Hobbs (2006) Atmospheric Science: An Introductory Survey, Second Edition, Academic Press, International Geophysics Series, ISBN 0-12-732951-X.