投資顧問会社
投資顧問会社(とうしこもんがいしゃ)は、顧客を相手方に、投資について助言し対価を得ている企業。日本では、金融商品取引法に基づき財務局へ登録された金融商品取引業者のうち、特に投資助言業あるいは投資運用業を行う金融機関以外の企業を言う。2006年の金融商品取引法改正前までは有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律に規定されていた。
種類
投資顧問会社が行なっている投資顧問業は、大きく投資助言業と投資運用業にわかれる。
- 投資助言業
- 投資顧問契約を締結し、チャート等により市場動向を分析したり業績等を分析することで投資に関し助言を与える投資顧問。
- 一般に投資顧問会社といったときには、投資助言業のみを示している場合がある。またその場合には特に、下記の一括送信形態を指す場合が多い。
- 相談形態
- 顧問として、投資しようと考えている銘柄に関する相談に応じる形態。顧問弁護士などと似たような位置付けになり、ある意味では投資顧問の本来の形態ともいえる。
- 業として行うのでない(=たまに知人の相談に無料で乗るぐらい)ならば、投資顧問業者でなくとも可能である。
- 指図形態
- 銘柄や日時、場合によっては指値や数量までを指図する形態。成功報酬制の場合、指図した売買により利益が出ていれば顧客が実際に売買していなくても成功報酬が発生する。
- 顧客の投資資金の把握が重要となる。
- このため証券会社の中には、売買履歴を複数個所に送付するように指定できる証券会社がある。またオンライン証券会社の中には、売買履歴閲覧専用のアカウントを設定できる証券会社もある。
- 一括送信形態
- FAXや電子メールを用いて、顧客全員に同一内容を送付する形態。成功報酬制では一切みられない。
- ソフトウェア販売形態
- 市場分析ソフトウェアやサービスなどを販売する形態。料金体系は固定制しかみられない。
- ソフトウェアにより算出された分析結果に基づいて、顧客が任意に売買する。あるいは登録した口座で自動的に売買を行うソフトウェアもある。
- ソフトウェア販売に投資助言業が必要なのか、あるいはソフトウェアが自動的に売買を行う場合には投資助言業の範疇を超えて投資運用業の登録が必要なのではないか、などの問題がある。
- 投資運用業
- 投資一任契約を締結し、投資資金を預かり運用する投資顧問。
- 投資ファンドの一種である。が、ファンドには投資顧問以外にも様々な種類があり、投資ファンドのすべてが投資顧問会社であるわけではない。
- 有名なものに村上ファンド(の中核となっていた株式会社M&Aコンサルティング)がある。
料金体系
固定制、従量制、成功報酬制、およびそれらを組み合わせた料金体系がある。
- 固定制
- 会費制とも。毎月、あるいは毎年固定料金を支払う料金体系。
- 投資助言業の場合、当該期間の間に一度も助言がなかった場合に限り翌期間の料金を無料とする会社もある。これは行うべきサービスを行なわなかったことに対する補填であり、損失補填にはならない。
- 従量制
- 一回一銘柄の助言に対し固定の料金を支払う料金体系。
- 投資助言業でしかみられない。
- 成功報酬制
- 利益に対して契約で定められた一定割合(10%~30%程度)を支払う料金体系。
- 投資運用業はすべて成功報酬制か、固定制+成功報酬制である。
損失補填
金融商品取引法により損失補填が禁止されていることから、損失補填は一切されない。損失補填を行なった場合(および顧客側から要求した場合)には同法違反となる。
損失補填には返金の他、
- 損失分に達するまで以後の料金を受け取らない
- 利益が出てから料金を受け取る
なども含まれる。
詳細は「損失補填」を参照
トラブル
投資顧問会社の中で、特に情報屋的な投資顧問会社は、無料銘柄相談などをするなど勧誘に積極的である。しかし「必ずもうかる」等の勧誘をし、顧問料だけかかって結局、大損をさせられた等のトラブルもある。中には管轄の財務局から営業停止処分を受ける会社もある。
2006年の金融商品取引法改正前までは認可制の投資助言業に比較的容易に登録できたことから、単に情報屋として買ったりまわしてもらったりした情報を契約者に流している投資顧問会社により、投資顧問への悪評が高まった時期があった。
「必ずもうかる」や「損失補填される」などといって勧誘することは金融商品取引法違反となる。