小耳症

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小耳症(しょうじしょう)とは、出生時にの形成が不完全で主に通常よりも耳が小さい状態を指す。

約6,000から10,000人に1人の確率で生まれる先天性奇形である。 確率的には、女児よりも男児の方が高く(男児:女児=2:1)、左の耳よりも右の耳の方に症状が出る確率が高い。また両方の耳が小耳症である場合もある。(右耳:左耳:両耳=5:2:2)

小耳症について[編集]

小耳症の耳には個人差があり一概には言えないが、耳の一部がある場合は「小耳症」、耳が完全に欠損している場合は「無耳症」とされる。耳の穴がふさがっていると(外耳道閉鎖症)聴力が低い、または、ほとんどない場合がある。大体の小耳症患者は穴がふさがっている。これに対する治療法は高度な技術を要し、死に至る可能性もあるため、小耳症の完全な治療法はまだ見つかっていない。

小耳症は耳鼻科、およびその治療は形成外科に属する。

小耳症の治療法[編集]

小耳症は人体表面で最も複雑といわれる耳に関するもので、形成外科では難関の問題であった。1959年に米国の形成外科医タンザー医師(Tanzer)が小耳症に関する治療論文を発表した後、タンザー法が確立、それに続く形でブレンド医師(brend)によるブレンド法が確立した。これらは自身の骨を使用する。また、その他にもシリコン耳を使用する方法もあった。1989年に永田医師(日本)による永田法の確立のち、世界では永田法による治療が主となった。しかし現在、日本では永田法と異なる方式で行うものもある。これらはタンザー法、ブレンド法など、もしくは一部を改良しているのがほとんどである。

また古代インドベダ時代(6~7世紀)の「ススルタ大医典」に耳たぶの修復についての記述がなされており、耳に関する治療の記載では最も古い。 その後20世紀になると、人の耳を移植したりすることもあったが、長期にわたっての維持は不可能であった。そして自らの軟骨組織を使用することに行き着き、主に肋軟骨英語版を使用する。前述のタンザー法、ブレンド法、永田法も同じである。