寒水の掛踊

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寒水の掛踊(かのみずのかけおどり)は岐阜県郡上市明宝寒水の寒水白山神社の祭礼で奉納される太鼓踊りである。国指定重要無形文化財に指定されている。掛踊は、嘉喜踊(カキおどり)とも呼ばれる。

概要

掛踊(嘉喜踊)は岐阜県郡上市各地の神社に伝わる風流踊りの流れを汲む太鼓踊りであるが、寒水の掛踊りはそのうち最も規模の大きいものである。もとは母袋村(郡上市大和町栗巣)に伝わる祭礼であったが、1709年宝永6年)に過疎であった母袋村から人口の多い寒水村に伝えられたという。掛踊りの名称については願掛けのための踊りという説と村々で踊りを掛け合うことに因むとの説がある。1781年天明元年)、1795年寛政7年)ならびに1820年文政3年)の祭礼覚書が残り、当時の様子をうかがうことができる。そこから、天明元年の役は祭礼の中心となる鉦引きと太鼓打ちの他に悪魔払いや神幟持ち、笛吹きなど少数であったが、現行では露払い、長刀振り、花笠や奴、踊り子が加わり総勢130人を超える。

明治中頃までは8月1日に実施されていたが、その後9月8日試楽、9月9日本楽と改められ、さらに現在は9月第二日曜日とその前日に実施されている。元来踊りの参加者は男のみであったが近年は女児が祭礼に加わり、1960年(昭和35年)発足の掛踊保存会が芸能を伝承している。

祭礼は各種の扮装をした踊り子が打ち出し宿(出発地)で踊りを披露してから出発し、道行曲を奏しながら行列を成して白山神社へ移動し、寒水白山神社でお庭踊り、次いで拝殿前の踊りが行われる。踊り拍子にはしゃげり、こしずめ、おかざき、妙見拍子、三つ拍子、七つ拍子および十六拍子がある。踊りの中心は竹で作った花飾りであるシナイを背負った鉦引きと太鼓打ちで、踊りの終盤ではシナイを地面に打ち付けるように激しく踊る。

岐阜県西部にもシナイを背負い太鼓を抱いて踊る谷汲踊りや東津汲鎌倉踊りが伝わる。

参考文献

  • 清水昭男 『岐阜県の祭りから 5』 2005年

外部リンク

寒水の掛踊
大和町 明建神社 掛け踊
八幡町 河鹿神社 賀喜踊り
白鳥町 中津屋 嘉喜踊り