土壌シードバンク
土壌シードバンク(Soil seed bank)は、土壌中に含まれる種子(埋土種子)の集団のことである。埋土種子集団といわれることもある。通常、発芽能を持った種子の集団を指す。
概要
多くの植物は種子をつくり、その種子は通常、発芽に適した環境条件が整うまで、土壌中に存在する。その間土壌中には未発芽の種子が多く含まれることとなるので、土壌シードバンクは一種の地下個体群ということもできる[1]。
土壌シードバンクに含まれる種子には2種類あり、環境条件が整うとすぐに発芽できる非休眠種子と、休眠を解除されない限り発芽できない休眠種子がある[1]。特に後者は長期間土壌中にあることも多く、長いものでは100年以上土壌中で生きている場合もある。たとえば大賀ハスの種子は、2000年以上前の土壌中から発見されたものだが、正常に発芽、開花した。
環境保護と土壌シードバンク
ある土地から植物種や集団が絶滅(あるいは減少)してしまった場合でも、土壌中には土壌シードバンクとして個体群が生存している可能性がある。その土壌シードバンクを利用して、個体群を復活させる試みも行われている。たとえば霞ヶ浦で行われているアサザプロジェクトでは、湖沼の底土を撒きだしてアサザなどの土壌シードバンクを表出させ、個体群を回復させる試みが行われている。