人間中心主義

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人間中心主義(にんげんちゅうしんしゅぎ)とは自然環境は人間によって利用されるために存在するという信念のことである。

概要

自然環境は人間が利用するための存在である、もしくは人間がもっとも進化した存在であるという人間中心主義(anthropocentrism)は、一般に環境倫理学などの観点から非難された信念であるが、人権思想人道的立場などから社会工学的信条を批判するためのヒューマニズムの訳語として使われる文脈が存在する。しかしここでは前者についての説明を行う。

もともと環境倫理学の人間中心主義についての議論は、ピンショー自然保護の原則が、人間の経済的利益の確保のために自然を合理的に管理することに焦点があったことに対して、J・ミューアが美的鑑賞の対象としても自然を在るがままの状態に保持しようという形で対立したことにある。一般的には前者の保全conservationが政策的には支持されているが、後者の保護の立場からディープ・エコロジーガイア理論などの議論が生じ、非人間中心主義の道が模索されるようになった。

人類学においては、1920年代まで進化主義社会進化論の影響のもと人間中心主義が存在したとされる。

現在では、深刻な環境問題の顕在化の中で、形而上学的な議論ではなく、「環境プラグマティズム」の主張線上のいわば拡大版人間主義で収斂しつつある。

参考

安彦一恵 (2008). “「人間中心主義 vs. 非人間中心主義」再論”. DIALOGICA (11): pp. 95-124. http://www.edu.shiga-u.ac.jp/~abiko/gyouseki/paper/pdf2/anthropo.pdf. 

関連項目