ヘッドクラッシュ

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ヘッドクラッシュ

ヘッドクラッシュとは、リムーバブルディスクパック型ハードディスク装置及びハードディスクドライブに於けるヘッドの衝突(クラッシュ)の事である。

強い衝撃を受けた場合にヘッドが円盤に接触し、ヘッド及び磁性面を傷つける事を指す。ヘッドが磁性面から離れなくなる事をクラッシュと呼ぶ場合も有るが、専門的にはヘッド吸着と呼び区別している。

原理

ハードディスクドライブの内部では、プラッタと呼ばれる記録媒体の円盤に、プラッタの表面すれすれの位置に浮いたヘッドからデータが読み書きされる(詳しくは、ハードディスクドライブの項を参照)。

しかし、この隙間にダストなどが入り込むとヘッド及び磁性面に傷が付き始め、やがてその摩擦力によってヘッドがバウンドし、ますます大きな傷がつく。最終的にはヘッドが吹っ飛んでしまう事もある。また、磁性面に塗布されたライナーと呼ばれる潤滑剤の劣化が原因となることもある。

その他、ヘッドに強い衝撃力が加わった場合にヘッドが磁性面でバウンドするなどヘッドの高度が不安定になり円盤を傷つけるようになることがある。これがヘッドクラッシュの主な症状である。

また、ヘッド吸着になりかけている場合、円盤部が回転を開始する際にヘッドが吸着面よりはがれバウンドしヘッドクラッシュに陥る場合もある。

ヘッドクラッシュの種類・原因

上記で説明したもののほかにも、さまざまなヘッドクラッシュの種類や原因がある。

ヘッド完全接触型

名前の通りヘッドが円盤に接触してしまった状態。強い衝撃やダスト、湿度の異常などにより起きる。ディスクパックと呼ばれるリムーバブル式のディスクではダストが混入しやすく、大抵のヘッドクラッシュはこのタイプである。 ほとんどの場合、磁性面・ヘッドとも傷が付いている為、データの復旧はほぼ不可能である。

ヘッド吸着型

ヘッドが吸着してしまった状態。ドライブのスタート時に発生する。 万が一この状態になってしまった場合は、ハードディスクからモーターの駆動音がしなくなる。 経年劣化、長い間電源を入れていない古いハードディスクドライブ等で発生する。この時、横方向に衝撃を加えると復活する場合があるが、既に磁性面が劣化しているので一時しのぎにしかならない。この場合、すみやかに別のドライブやDVD等のメディアにデータをバックアップするべきである。


プラッタ軸不良

円盤のモーター軸がずれてドライブ内で異常な気流が発生し、ヘッドを巻き込んで回転する状態。 初期症状としてモーターの駆動音が通常よりも大きくなる。また、読み取り、書き込みにリトライを繰り返すのでパソコンなどが遅くなったように感じる。 一般的には軸受けの経年劣化により発生する。近年では流体軸受が採用され、経年劣化の問題はほぼ解決された。