フィボナッチ・リトレースメント

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
米ドル/カナダ・ドルの通貨ペアに対して示されたフィボナッチ・リトレースメント・レベル
米ドル/カナダ・ドルの為替相場に対して示されたフィボナッチ・リトレースメント・レベル。このケースでは、価格は下落を続ける前に約38.2%値を戻している。

金融において、フィボナッチ・リトレースメントとは、チャート上のサポートとレジスタンス( en:support and resistance )の水準を導出するテクニカル分析の一手法である。名前の由来は、この手法がフィボナッチ数列を利用することによる。フィボナッチ・リトレースメントは、市場が、予測可能な一定割合の反発/反落の後、本来の方向への値動きを続ける、という考えに基づいている。

フィボナッチ・リトレースメントは、チャート上で2つの極値(上値と下値)を取り、その差分を主要なフィボナッチ比率で分割することで得られる。0.0% は反発/反落の始点とされ、100.0%が本来の値動きに対する完全な反発/反落である。ひとたびこれらの水準が決まれば、数本の水平線がサポートとレジスタンスの想定水準を示すものとして描かれる。

フィボナッチ比率[編集]

フィボナッチ比率は、比率として表される数学的な関係であり、フィボナッチ数列から導出される。 主要なフィボナッチ比率は、0%, 23.6%, 38.2%, 61.8%, 及び100%である。

主要フィボナッチ比率0.618は、フィボナッチ数列上の数を、その直後の数で割ることで得られる値である。 例: 8/13は約0.6154、55/89は約0.6180。

比率0.382は、フィボナッチ数列上の数を、その2つ後の数で割ることで得られる値である。 例: 34/89は約0.3820。

比率0.236は、フィボナッチ数列上の数を、その3つ後の数で割ることで得られる値である。 例: 55/233は約0.2361。

比率ゼロは:

その他の比率[編集]

比率0.764は、1から0.236を引くことで得られる。

比率0.786は:

比率0.500は、1 (フィボナッチ数列の2番目の数)を2(フィボナッチ数列で3番目の数)で割ることで得られる。

参考文献[編集]

  • Stevens, Leigh (2002). Essential technical analysis: tools and techniques to spot market trends. New York: Wiley. ISBN 0-471-15279-X. OCLC 48532501 
  • Brown, Constance M. (2008). Fibonacci analysis. New York: Bloomberg Press. ISBN 1-57660-261-3 
  • Posamentier, Alfred S.; Lehmann, Ingmar (2007). The fabulous Fibonacci numbers. Amherst, NY: Prometheus Books. ISBN 1-59102-475-7 

Malkiel, Burton (2011). A random walk down Wall Street: the time-tested strategy for successful investing. OCLC 50919959 

外部リンク[編集]