フィニッシュ・ハウンド

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フィニッシュ・ハウンド
フィニッシュ・ハウンド
別名 Suomenajokoira, Finnish Bracke
愛称 フィンスク・シュトーヴァレ(Finsk Stovare)
原産地 フィンランドの旗 フィンランド
特徴
イヌ (Canis lupus familiaris)

フィニッシュ・ハウンド(英:Finnish Hound)は、フィンランド原産のセントハウンド犬種である。別名はフィンスク・シュトーヴァレ(英:Finsk Stovare)。

原産地名はスウォメンナョコイラ(又はスウォメナョコイラ、英:Suomenajokoira)、若しくは約してナョコイラ(英:Najokoira)だが、フィンランド語を解せる人でなければ聞き取り・発音がかなり難しい。

歴史[編集]

18世紀ごろから存在していた猟犬である。ヨーロッパの猟犬種(セントハウンド種)の犬やイングリッシュ・フォックスハウンドなどを交配させて誕生した犬種で、もともとは容姿にかなりのバリエーションがあった。しかし、本格的に本種を犬種として確立するため、1932年にスタンダードが定められ、犬質を向上させるために厳しいブリーディング管理が行われた。その結果フィンランドのケネルクラブに公認犬種として登録され、後にFCIにも公認犬種として登録された。

フィニッシュ・ハウンドはノウサギキツネオオヤマネコヘラジカ野生トナカイといったさまざまな動物をセントハント(嗅覚猟)するのに使われる。獲物のにおいを追跡し、時々吠えて主人に自らの現在地や獲物との距離などを教える。本種の働きはにおいで獲物を追跡して発見することだけで、仕留めたり回収するのは主人の仕事である。しかし、本種の嗅覚の鋭さはフィンランド 一 であるとされ、自主的な猟を楽しみたい狩人にとっては最適の猟犬なのである。

フィンランドでは今日も猟犬として非常に人気の高い犬で、同国では毎年3000頭以上の仔犬が生まれ、登録が行われている。大半は猟犬として飼育が行われていて、ペットやショードッグとして飼われているものは稀である。フィンランドでは大人気の犬種であるが、原産国以外ではあまり見かけることの出来ない、珍しい犬種である。

特徴[編集]

フォックスハウンド系の犬種でそれらと姿はよく似ているが、本種は脚が長くスクウェアな体格をした犬である。筋肉質で引き締まった体を持ち、首と胴も少し長く頑丈である。目は小さめだが、眼光は鋭くなく凛とした顔つきである。耳は垂れ耳、尾は飾り毛のない垂れ尾。コートはさらりとしていて少し硬めのショートコートだが、二重構造で寒さに耐えることが出来る。毛色は典型的なハウンドカラー。この色はビーグルなどにも見られ、ベースはタンでマズル、ブレーズ、首、胸、腹部、尾先がホワイト、そしてサドル(背中)にブラックが入った毛色である。体高は雄55〜61cmで雌52〜58cm、体重は雌雄ともに20〜25kgの大型犬である。性格は冷静だが人懐こく、仕事熱心である。獲物のにおいを追跡することが大好きであるが、獲物を仕留める種ではないため攻撃的な性質をほとんど持たない。友好的で協調性が高いため、性格面ではペットによく適した犬種である。とはいえ、生粋の猟犬種であるため運動量が多く、仕事柄により吠え声が大きくよく響くので、その点に注意して飼育する必要がある。

参考文献[編集]

  • 『犬のカタログ2004』(学研)中島眞理 監督・写真
  • 『日本と世界の愛犬図鑑2007』(辰巳出版)佐草一優監修
  • 『デズモンド・モリスの犬種事典』デズモンド・モリス著書、福山英也、大木卓訳 誠文堂新光社、2007年
  • 『日本と世界の愛犬図鑑2009』(辰巳出版)藤原尚太郎編・著
  • 『日本と世界の愛犬図鑑2010』(辰巳出版)藤原尚太郎編・著

関連項目[編集]