テストゥド

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テストゥド隊列

テストゥド(羅:Testudo)とはローマ軍歩兵戦術のひとつ。歩兵集団が密集した隊列で盾(スクトゥム)を前方、上方に掲げつつ対峙、移動する戦術。主に騎兵に対する防御あるいは攻城戦での突撃に用いられた。

隊列方法

『テストゥド』という言葉がラテン語で「」という意味である。その名の通り歩兵が互いに重なり合うほどに密集し、盾を掲げた姿は亀のようで、また行動も亀のようにゆっくりとしていた。テストゥドの形成方法は以下の通りである。

  • 最前列の兵士は前方、盾がすねから顔までの間の高さで盾を掲げ、前面を防御。状況によっては左右の最側面の兵士、最後方の兵士も同じように側面後方を防御する。
  • それ以外の兵士は盾を上に掲げ兜で盾のバランスを取り、上方を防御。

この状態で敵の攻撃に対峙、あるいは防御しつつゆっくりと移動した。

長所と短所

テストゥドは飛び道具に対して抜群の効果があり、歩兵は投げ槍投石での攻撃を恐れる事なく移動を続ける事ができた。

しかしながら、この隊列には欠点も多い。

  • あまりにも密集した隊列のために通常の白兵戦は困難となる。
  • この状態での迅速な移動はできない。
  • 最前列の兵士の顔とすねは無防備となる。(写真のタイプのスクトゥムの場合)
  • 盾の強度を上回る貫通力を持つ武器では隊列自体の効果がない。

といった欠点が挙げられる。

このようなテストゥドの持つ欠点はカルラエの戦いで露呈され、結果としてローマ軍の敗北へとつながった。