チグリン酸
チグリン酸 | |
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IUPAC名 | (E)-2-メチルブタ-2-エン酸 |
分子式 | C5H8O2 |
分子量 | 100.12 |
CAS登録番号 | 80-59-1 |
密度と相 | 0.969 g/cm3, 固体 (25 °C) |
融点 | 63.5 °C |
沸点 | 199 °C 95–96 °C/12 mmHg |
出典 | NIST Merck index 13: 9510. |
チグリン酸(チグリンさん)は不飽和カルボン酸の一種で、ヘミテルペンに分類される天然由来の化合物である。ハズ油(クロトン油)などに含まれる。オサムシ科の甲虫の防御用分泌物からも発見されている[1]。
性質
カルボキシル基に隣接する位置に炭素炭素二重結合を持ち、アンゲリカ酸とはシス・トランス異性体の関係にある。甘く暖かい感じのぴりっとした香りを持つ。香料や香水に使われる。
毒性
皮膚や目を刺激する。吸入すると呼吸器系に炎症を起こす原因となる。アメリカ合衆国では有害物質規制法 (Toxic Substances Control Act) のリストに記載されている。
歴史
1819年、ピエール・ジョセフ・ペルティエ (Pierre-Joseph Pelletier) とジョゼフ・ビヤンネメ・カヴェントゥ (Joseph-Bienaime Caventou) は、メキシコのメランチウム科の植物の一種 Schoenocaulon officinalis (現在は S. officinale) の種子から、昇華性を持つ結晶を単離した。その植物はセバジラ (cevadilla) あるいはサバジラ (sabadilla) とも呼ばれたことから、この物質はセバジラ酸(サバジラ酸)と名づけられた。その後、エドワード・フランクランドらによって1865年に合成されたメチルクロトン酸と同等であることが示された。1870年、ゴイター (Geuther) とフレーリッヒ (Fröhlich) はハズ油から酸性物質を取り出し、原料となった植物 Croton tiglium からチグリン酸 (tiglic acid) と名づけた。こちらについても1878年にメチルクロトン酸と同じであることが示されている[2]。
サバジラ (sabadilla) は、花粉症の治療に使用されている。
参考文献
- ^ Attygalle, A. B.; Wu, X.; Will, K. W. (2007). "Biosynthesis of tiglic, ethacrylic, and 2-methylbutyric acids in a carabid beetle, Pterostichus (Hypherpes) californicus". J. Chem. Ecol. 33: 963–970. doi:10.1007/s10886-007-9276-3. PMID 17404818.
- ^ Lloyd, J. U. (1898). "Croton tiglium Archived 2003年8月1日, at the Wayback Machine.". Lloyd Brothers plant drug pamphlets, Lloyd Brothers Pharmacy: Cincinnati.