てんぐ巣病

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ヨーロッパダケカンバに発生したてんぐ巣病。植物病原菌のタフリナの1種 Taphrina betulina による。

てんぐ巣病(てんぐすびょう)とは植物病害の一種で、植物(多くは樹木)の茎・枝が異常に密生する奇形症状を示すものの総称である。高い木の上に巣のような形ができるためこの名がある。英語ではwitch's broom もしくはwitches' broom(魔女のほうき)という。

直接の原因としては、植物ホルモンの異常が考えられる。通常は、頂芽から出るオーキシンがその下の腋芽の生長を抑えている(頂芽優勢)。しかしオーキシンに拮抗するサイトカイニンの量が多くなると、多くの芽が一度に生長することとなり、天狗巣症状が現れる。

これを起こす原因は様々で、菌類昆虫線虫ファイトプラズマウイルスなどがある。特に子嚢菌類タフリナ科に属するサクラのてんぐ巣病菌 (Taphrina wiesneri) がよく知られる。日本では、他にバッカクキン科糸状菌タケのてんぐ巣病菌 (Aciculosporium take) もタケノコの生産に支障をきたすために問題化している。