Wikipedia:井戸端/subj/著作権を侵害する記述の「引用」は著作権を侵害するか?

著作権を侵害する記述の「引用」は著作権を侵害するか?[編集]

Wikipedia:削除依頼/土佐佐竹氏における依頼過程で、私が「具体的にWikipediaのどの記述が元サイトの転載となっているのかお示し下さい。」と発言したことから、依頼者と思しきIPユーザが情報源と推定されるウェブサイトにおける記述とウィキペディア上の記述を比較するための「引用」を行いました。ここでおこなわれた「引用」は引用の要件のすべてを満たすものです。

本題です。本件のような著作権を侵害する記述の「引用」は著作権を侵害しないでしょうか?私は、著作権法第百十三条第二号「著作者人格権、著作権(中略)を侵害する行為によつて作成された物(中略)を、情を知つて、頒布(ここで、頒布は同法第二条第十九号「有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与すること(後略)」を意味する)(中略)する行為」に該当するものと考え、たとえ引用の要件をすべて満たしているとしても、引用元(本件の場合はウィキペディアの記述)が著作権を侵害しているため、引用も著作権侵害になってしまうと考えます。皆様のご意見をお聞かせください。--Kkairri[][] 2015年9月26日 (土) 11:29 (UTC)[返信]

コメント 「著作権を侵害した記述」がウィキペディア外で行われ、そこを更に二次利用することはダメです。元々著作権を侵害しているのであれば、これに加担することになりかねないためです。わかりやすくいくと映像コンテンツの著作権侵害です。
例えば朝のテレビドラマが朝の放送終了後に、ある人物がYouTubeにアップロードした(二次)とします。まずこの時点でドラマの著作権が侵害されていると考えることが出来ます。更にYouTubeにアップロードされた映像を別の人物が「出典:YouTube」としてニコニコ動画にアップロードした(三次)とします。この場合、YouTubeの映像が出典になっていることを明記していたとしても、映像コンテンツの大元であるドラマの著作権を侵害しているのですから、ニコニコ動画にアップロードされた映像も「権利侵害」となります。つまり二次段階で権利侵害を起こしているものを三次利用しているので、「二次で起こした権利侵害を三次が継承している」と考えることができます。
引用も同様で、引用元が著作権を侵害しているなら、これを引用することは「権利侵害文書の利用」であって、権利侵害状態を引用元から継承することになります。ですから、例のような「権利侵害しているものから引くこと自体できない」とするべきでしょう。--アルトクール(/) 2015年9月26日 (土) 12:07 (UTC)[返信]
コメント 基本的には、「『○○』節の『△△』から始まる文は、途中の句読点の位置や『□□』への言及を除外してある点を除いてほぼ一致」のように書けばいい訳で、引用の要件たる「引用の必然性」自体が成立しないと考えます。なお、Wikipedia:削除依頼/RIETANのように、原文を書籍で確認するような形での削除依頼も可能です(というか、ウェブサイトならアドレスだけ明記して、あとは投票者自身で類似性を比較させる形で充分でしょう)。--Jkr2255 2015年9月26日 (土) 12:09 (UTC)[返信]
コメント そもそも該当箇所をわざわざごっそり転記するほどの必要性が生じる削除依頼など、ないはずです(どこからどこまで、で事足りる)。なお、原著作物を「A」、Aの合法的ではない引用を「B」、Bの合法的な引用を「C」とした場合、Cが合法的かというのはBの瑕疵がどこにあるかという点によります。たとえばBに「出所の明示」が欠けていたことが問題となる場合、CがBを適切に引用したところで(Aが出所であることを補記しない限り)Aへの著作権侵害には変わりありません。しかしBが引用箇所の区別(鉤括弧を付けることなど)を怠っていたことが問題となる場合は、CがBを適切に引用しようとする際にそれがクリアされ、合法的な引用となる場合が考えられます。--Hisagi会話2015年9月26日 (土) 16:23 (UTC)[返信]
コメント侵害であることを検証するために引用してるんですから、(引用自体をちゃんとしてれば)侵害にならないです。このような引用が禁じられるなら、同一性あるいは類似性を検証することが出来なくなります。第百十三条第二号は、いわゆる海賊版を、海賊版であると知りながら公衆に譲渡することを禁止しているものです。単純な利用・使用と、引用は区別して考えてください。
削除依頼時の検証にあたって、そのまま該当箇所を複製することは必須ではないけれど、対照させることで分かりやすくなるという面はあり、引用が必要最小限であることまでは要求されない(脱・ゴーマニズム宣言事件)。複製や改変を認めるライセンス下での引用ということも含めてウィキペディアとしては好ましくないので、できるだけ回避する、依頼中でも、まあ依頼終了後にはリンクに置き換えて除去などとしたほうがよいとは思います。--Ks aka 98会話2015年9月27日 (日) 07:40 (UTC)[返信]
うーん、思った以上に、複数の意見が出てきてしまった感があります。簡単にまとめてしまうと、
  • Jkr2255さん・Hisagiさん - 「そもそも引用の要件を満たさず、ただの転載となってしまっているためそこからして著作権侵害である。(従って、版指定削除が必要。)」
  • アルトクールさん - 「(引用の要件を満たすかは別問題としても)著作権を侵害している記述の『引用』は著作権侵害である。(従って、版指定削除が必要。)」
  • Ks aka 98さん - 「著作権を侵害している記述の『引用』は著作権侵害ではなく、かつ、引用の用件を満たすものである。従って(一般社会的には)著作権の問題はない。ただし、ウィキペディアでは若干問題があるので編集除去は必要。」
といった感じでしょうか。意見の分かれ方から、ちゃんとした著作権関係の本を参照する必要があるかもしれません。明日、関連図書に当たってみることといたします。--Kkairri[][] 2015年9月27日 (日) 12:41 (UTC)[返信]
地元図書館の著作権関係の図書約20冊に当たり、本件に関係する有意な記述を発見いたしました。
ベルヌ条約10条1項は,すでに適法に公衆に提供された著作物からの引用(中略)は,その引用が公正な慣行に合致し,かつ,その目的上正当な範囲内で行われることを条件として,適法とされると規定している.このように,引用の適法条件として,①すでに適法に公衆に提供された著作物からのものであること,②(中略),③(中略)を規定している.この規定を受けて,わが国著作権法32条は設けられている. — 山元裕子 著、半田正夫、松田政行 編『著作権法コンメンタール2[23条~90条の3]』(第1版)勁草書房、2009年1月30日、186-187頁。ISBN 978-4-326-40253-3 
従いまして、引用は被引用文が適法であることが前提となるものであると考え、本件の場合はその前提が満たされないため、引用にはならず、従いましてただの転載であると考えます。なお、削除依頼での引用については荒竹純一『ビジネス著作権法』産経新聞出版、2006年9月9日、314頁。ISBN 4-902970-65-1 にて、引用した方がわかりやすい程度の根拠で十分という見解があり、全文転載が即違法とは断定できないのではないかと考えます。--Kkairri[][] 2015年9月28日 (月) 08:25 (UTC)[返信]
上で書きましたけれども、そこで解説されているのは、海賊版や不適切な転載等による著作物からの引用です。
たとえば、yourpedia「関東連合」の記事[1]にある「警察庁は準暴力団について暴力団と同程度の明確な組織性はないものの、構成メンバーが集団で常習的に暴力的な不法行為をしているグループと定義」という表現のあたりは産経からの転載(web魚拓)です。ここで、「警察庁は準暴力団について暴力団と同程度の明確な組織性はないものの、構成メンバーが集団で常習的に暴力的な不法行為をしているグループと定義」をyourpediaを出所として引用したとしても、それは権利制限規定で言う「引用」にはあたらず、権利侵害になります。「著作権を侵害する記述の引用」というのは、そういう引用のことを指します。
転載そのものについて議論する際には、転載かどうかが問われているテキストの出所が示されていて、このテキストが独自に創作性を持つならば出所は明示されており、複製・改変であるならばオリジナルになるものの出所も明示されています。ここで、同一性保持や改変については、引用者が改変を行なっているのではなく、またオリジナルはオリジナルとして示し、比較により改変部が明示されているため、引用に際しての侵害はないです。--Ks aka 98会話2015年9月28日 (月) 09:32 (UTC)[返信]
つまり、「ウィキペディアoldid=xxxxxxxxの記述」としての出典の明示はアウトだが、「ウェブサイト○○○○より転載されたウィキペディア□□□□ oldid=xxxxxxxxの記述」として引用を行えば問題はないという見解でよろしいでしょうか?そのようにいわれますと、そのような気もします。そうしますと、本件削除依頼は、クローズ時に確認された管理者が編集除去を行う、版指定削除は不要という、ということになりますかね?--Kkairri[][] 2015年9月28日 (月) 11:49 (UTC)[返信]
コメント 当該削除依頼の記述を拝見しました。当然のことではありますが、「著作権を侵害する記述の「引用」は著作権を侵害しない」というのは一般論としていえるわけはないので検討の入り口のベクトルが若干ずれているのかなと。さらに当案件の場合、権利侵害が疑われる記事中の転載箇所が原著作物の完全な複製ではなく一部改変されていることで話がややこしく感じるだけではないでしょうか。
ですので便宜上、その部分を分けて考えたほうが整理しやすいように思います。
  1. まず簡単な方、当該の記事(削除依頼ページではなく審議対象の記事の方)が原著作物の完全な複製になっている箇所に限れば、(記事の当該箇所は二次著作物としての創作性を有さず著作権的には考慮不要となるので)原著作物の出所明示さえ備えていれば(たとえば「著者○○○○のウェブサイト○○○○より転載」と原著作物の明示があれば)当該箇所を必要範囲内で引用することは法的に何ら問題無いですよね。要するにこの場合には引用する対象は原著作物のみなので(その複製物でしかないウィキペディアの記事から改めて同一内容の引用を行う必要がないので)、単純な複製権侵害箇所の引用だけに限れば、引用の直接の対象でない記事中での権利侵害の有無は実際のところは無関係ですよね。
  2. したがって、本案件に対して削除審議ページ側の記述に違法性が疑われる可能性があるとすれば、原著作物に改変を加えて加筆された記事中の記述を複製(引用)したことに対して同一性保持権の侵害が成立するか否かということに限られると思われますが、もし仮に当該記事の中に原著作物を改変して盗用したとみなされる箇所(複製権侵害だけでなく翻案権侵害もしくは同一性保持権侵害とみなされる記述)が記事中に存在し、削除審議内での引用部分にその違法性を含む箇所が含まれていたとしても、削除審議中でのその引用はあくまで原著作者の権利を擁護する目的で、原著作物のオリジナルの表現も示しながらむしろその相違点と類似点を明示しているわけですから、それによって当該箇所の引用を行った削除審議ページ側の投稿者が同一性保持権の侵害に問われる可能性も常識的には考え難いでしょう(用途的に原著作物の翻案でないのは明らかですし)。ただし、その場合は単純な複製と異なり当該の改変部分についてウィキペディア側の記事編集者の著作権も発生している可能性があり、原著作物の出所明示に加えてウィキペディアの記事側の出所明示も完備しておく必要はあると思いますが、見たところ当該の削除審議ページでは問題の編集版へのリンクも示してありますのでその点も問題無さそうですよね。--ディー・エム会話2015年9月28日 (月) 16:06 (UTC)[返信]
他の皆様の御意見はありませんでしょうか?議論の長期化の問題もありますから、本件削除依頼の版指定削除については、いったん存続票(撤回)とし、法律家の意見をまとめた上で、再度取り組ませていただきます。皆様の御協力に感謝いたします。ご協力ありがとうございました。--Kkairri[][] 2015年10月1日 (木) 05:14 (UTC)[返信]