OB293船団

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OB293船団は、第二次世界大戦中に北大西洋で運航された船団の一つである。

OB293は37隻の船からなる西行きの船団で、積荷は貿易品か無しであった。1941年3月2日にリバプールから北アメリカの港へ向けて出航した。

護衛は駆逐艦「ウォルヴァライン (HMS Wolverine)」、「ヴェリティ (HMS Verity)」とコルベット「アービュタス (HMS Arbutus)」、「カミーリャ (HMS Camellia)」であった。この4隻による護衛は船団がウエスタンアプローチを出るまでの予定であった。

1941年3月6日、船団はドイツ潜水艦「U47」(ギュンター・プリーン艦長)に発見された。「U47」は報告を送り、船団を追跡した。その日のうちに3隻のUボート(「U99」、「U70」、「UA」)が加わった。

3月6日から7日にかけての夜にUボートは攻撃を開始した。

3月6日の早い時間、「U99」は前方から船団内に進入しタンカー「アセルビーチ (Athelbeach) 」と捕鯨母船「Terje Viken」を雷撃した。前者は沈み、後者も損傷した。「U70」は貨物船「Dunaff Head」を沈め、オランダのタンカー「Mijdrecht」を損傷させた。だが、「Mijdrecht」が体当たりを試みたため「U70」は急速潜航した。「UA」は貨物船1隻を撃破した。

護衛艦の反応は素早く効果的であった。5時間以上にわたり100発以上の爆雷が投下された。「UA」は損傷したが逃走に成功した。また、「U99」は攻撃が終わるまで深く潜っていた。「U70」は損傷後浮上し、コルベット2隻に沈められた。

「U47」は損傷を免れ、船団との接触を保っていた。そして、さらに報告を送り増援を求めた。また、船団からはぐれた「Terje Viken」を雷撃した。しかし、「Terje Viken」は沈まなかった。結局、「Terje Viken」は14日に沈んだ。

8日午前1時頃、「ウォルヴァライン」が浮上中のUボートを発見し、「U47」であると判断した。「ウォルヴァライン」と「ヴェリティ」が「U47」を攻撃。4時間後、損傷した「U47」は「ウォルヴァライン」の近くに浮上し、再び潜航した。駆逐艦が爆雷を投下後、水中爆発が起こった。

長らく「ウォルヴァライン」が「U47」を沈めたとされてきたが、最近では「ウォルヴァライン」が攻撃したのは「UA」であるとされている。「UA」はひどく損傷したものの帰投している

「U47」の最期は不明であるが、潜航時の事故が原因ではないかと思われている。

参考文献[編集]

  • Stephen Roskill : The War at Sea 1939-1945 Vol I (1954). ISBN (none)
  • Dan van der Vat : The Atlantic Campaign (1988). ISBN 0-340-37751-8
  • Arnold Hague : The Allied Convoy System 1939-1945 (2000). ISBN (Canada) 1 55125 033 0 . ISBN (UK) 1 86176 147 3
  • Paul Kemp : U-Boats Destroyed ( 1997). ISBN 1-85409-515-3
  • Axel Neistle : German U-Boat Losses during World War II (1998). ISBN 1-85367-352-8