野望の夏

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野望の夏』(やぼうのなつ)は、栗本薫によるミステリ小説。

カドカワノベルズ版のあとがきにおいて、作者の栗本は作品の主題を「狂った夏の狂った男女のセックスまみれの狂った物語」と表現している[1]

発表経緯[編集]

1993年6月25日にカドカワノベルズから書き下ろしで刊行された(ISBN 4-04-770954-9)。のち、1997年6月25日に角川文庫版(ISBN 4-04-150050-8)が刊行されている。表紙はノベルズ版、文庫版ともに福田隆義が担当している。

あらすじ[編集]

26歳のOL名村夕香は、8年前の失恋から未だに立ち直れず、男性不信に囚われていた。そんな自分に倦んでいた彼女は、ある夏の日にバーで出会ったチンピラの男アキが持つ強い目の光に誘われるように、彼と一夜をともにする。そしてアキとのセックスの快感の虜になり、次第に彼のいうなりに日々を過ごすようになっていった。

ある日、アキと仲間たちが人気アイドル・はやせ愛のスキャンダラスな場面を目にする。それをネタに一儲けしようとたくらんだ彼らは、愛を誘拐し、監禁してしまう。そんなアキの暴走ぶりに怯えながらも、夕香は抗できなずにいたそして、その事件はさらなる悲劇へと発展していく。

主要な登場人物[編集]

名村夕香
26歳の平凡なOL。インテリアデザイナー。
泉明広(アキ)
24歳のチンピラ。目つきの鋭い、いかがわしい美しさを持つ男。夕香のヒモとなる。
はやせ愛
17歳の人気アイドル。フランス人形のような華奢な少女。昨年度の新人賞を受賞。
冴子
昭広の異父姉であるV女優。

脚注[編集]

  1. ^ ノベルズ版の「作者のことば」による。