郵便はがきのパラドックス

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郵便はがきのパラドックス(ゆうびんはがきのパラドックス、Postcard paradox)は、直接的自己言及を用いない嘘つきのパラドックス。フィリップ・ジョーダン(Philip Jourdain)によって考案された[1]。カードのパラドックスやジョーダンのパラドックスとしても知られる。

概要[編集]

両面に次の文が書かれたはがきを考える。
:このはがきの反対側に書かれた文は正しい。
:このはがきの反対側に書かれた文は誤っている。

片面に対し真偽どちらかを仮定すると、パラドックスに陥る。

  1. 表の文をとすると、裏の文はとなる。そして、裏の文がであれば、表の文はとなる。つまり、「表の文がであれば、表の文はである」というパラドックスに陥る。
  2. 表の文をとすると、裏の文はとなる。そして、裏の文がであれば、表の文はとなる。つまり、「表の文がであれば、表の文はである」というパラドックスに陥る。
  3. 裏の文をとすると、表の文はとなる。そして、表の文がであれば、裏の文はとなる。つまり、「裏の文がであれば、裏の文はである」というパラドックスに陥る。
  4. 裏の文をとすると、表の文はとなる。そして、表の文がであれば、裏の文はとなる。つまり、「裏の文がであれば、裏の文はである」というパラドックスに陥る。

どちらの文も自己言及を行っていないが、循環参照している。

記号を用いて、表の文(命題)を P、裏の文を Q とすると、
P = Q
Q = ¬P
となり、P = ¬P という日常的な論理の法則上では成り立たないパラドックスが生ずる。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ Philip Edward Bertrand Jourdain”. The MacTutor History of Mathematics archive (2005年2月). 2010年4月4日閲覧。