悋気の独楽
悋気の独楽(りんきのこま)は上方落語の演目の一つ。東京でも同題で演じられている。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。
[編集] あらすじ
旦那が家に帰ってこないので本妻は「旦那知らんか。」と奉公人に尋ねるが、的の外れた返事ばかり、さてはと、怒り心頭に発した本妻に下女のお松が「一遍、旦那さんに言うべきことは言わなあきまへんで。」とけしかける。
旦那のお共で妾宅に行った丁稚の定吉、今夜は旦那はここに泊るから定吉は店に帰れ、「けど、うちの者にはこのこと言うたらアカンで。何せ、えらく悋気強いさかいな。」と釘を刺されて家に帰らされる。
帰宅後、本妻に「ああ、定吉か。旦那はんわいな。」と聞かれ、「へえ。今日は、碁のお相手で田中はん竹内はんとしてるので遅なるさかい、先に寝ときなはれ。戸じまりと火の用心だけはしっかりしとき。と言うてはりました。」と言われたとおりの嘘を吐くが、そこは女の勘で、「そうか、まあ御苦労やな。」と饅頭を食べさせてから、「あんた嘘ついたらあかんで。その饅頭には熊野の牛王の御符入ってんのやで。嘘ついたら死ぬねんで。」と脅してやりこめる。
定吉は、こらあかんとばかりに本当のことを白状するが、懐に独楽を持っているのを見とがめられる。仕方なく、定吉は実は旦那は、独楽を3つ持っていて、それぞれ旦那、本妻、妾とし、それぞれ独楽を廻して旦那の独楽が当たった方に泊ることも吐く。
「…ホタラ、何かいな。あの人、そないなことしてんのかいな。まあ、悔しやの。定吉、一遍廻しなはれ。」と嫉妬にのぼせた本妻は、定吉に独楽を廻させる。「わたい、ご寮ンさんのこと思てますんやで。」と定吉は何度も独楽を廻すが、どうしても旦那の独楽は妾の方へ。
奥方はヒステリー状態。「キイ~。腹の立つ。定吉!もう一遍やんなはれ。」「あ、ご寮んさん、こらあきまへんわ。」「なんでやの。」「へえ。肝心の心棒(辛抱)が狂うてます。」
[編集] 概略
五代目桂文枝、二代目桂春蝶が得意としていた。最近では四代目林家染丸、桂きん枝などが演じる。前半部の下女お松の能弁ぶり。嫉妬に狂う本妻とそれに気遣いながら独楽を回す定吉の対比が見ものである。特に女性の描写の得意な演者にかかれば面白さは倍加する。大家の妻の悋気をテーマにした噺では、このほかに『悋気の火の玉』『一つ穴』などがある。
