モントリオールオリンピックにおける体操競技

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モントリオールオリンピックにおける体操競技は、1976年7月18日 - 23日に行われた。

概要[編集]

男子[編集]

日本勢は、エース笠松茂がカナダ到着直後に発病し、補欠だった五十嵐久人が代わりに出場した。

団体総合では、ソ連を0.5点差で追う日本は徐々に差を詰めていった。しかし、つり輪の演技終了後藤本俊が負傷のため[1]競技の続行が不可能になった。上位5名の得点が採用されるため、残り5名は失敗も怪我も許されない、文字通りの"背水の陣"となったが、驚異的な集中力で高得点のマークを続けた。最終的にソ連に0.4点差をつけて逆転し五輪5連覇を達成した。

個人総合では、日本勢にミスが続き、ニコライ・アンドリアノフ(ソ連)が1点もの差をつけて優勝した。

種目別では、「あん馬の神様」と讃えられたマジャール・ゾルタン[2]ハンガリー)が圧勝。また6種目中3種目でアンドリアノフが優勝した。

女子[編集]

団体総合は、ソ連が五輪7連覇を達成した。

個人総合は、14歳のナディア・コマネチルーマニア)が、史上初の10点満点を連発して独走。圧倒的な強さで優勝するとともに世界中の人気を集めた。同国初の個人総合金メダルでもある。なお、2位だったネリー・キム(ソ連)も10点満点を出している。

種目別では、コマネチが段違い平行棒で、規定・自由(団体・個人)のすべてで10点満点をマークし、史上初の完全優勝となった。また、種目別4種目すべてに出場権を得たのはコマネチのみだったが、個人全種目制覇は、当時世界で唯一人ツカハラ跳びのできるキムに阻まれた。

男子[編集]

持ち点は、団体総合(規定・自由)で各自が獲得した得点の1/2

個人総合[編集]

順位 選手名 国・地域 持ち点 ゆか あん馬 つり輪 跳馬 平行棒 鉄棒 合計
1 ニコライ・アンドリアノフ ソビエト連邦 ソビエト連邦 58.250 9.80 9.70 9.75 9.80 9.65 9.70 116.650
2 加藤沢男 日本 日本 57.950 9.60 9.60 9.45 9.55 9.70 9.70 115.650
3 塚原光男 日本 日本 57.875 9.50 9.60 9.40 9.80 9.70 9.70 115.550

団体総合[編集]

順位 国・地域 規定 あん馬 つり輪 跳馬 平行棒 鉄棒 合計
1 日本 日本 286.80 47.95 48.70 48.65 47.85 48.30 49.10 576.85
2 ソビエト連邦 ソビエト連邦 286.30 48.80 47.90 49.35 47.60 47.60 48.40 576.45
3 東ドイツ 東ドイツ 281.25 47.25 47.40 47.80 46.85 46.65 47.45 564.65
4 ハンガリー ハンガリー 280.65 47.00 47.50 47.80 47.85 46.10 47.55 564.45
5 西ドイツ 西ドイツ 276.50 46.70 46.90 47.85 46.70 46.10 47.05 557.40
6 ルーマニア ルーマニア 276.10 45.45 46.40 48.30 47.45 46.15 47.05 557.30

種目別[編集]

ゆか[編集]

順位 選手名 国・地域 持ち点 得点 合計
1 ニコライ・アンドリアノフ ソビエト連邦 ソビエト連邦 9.650 9.80 19.450
2 ウラジーミル・マルチェンコ ソビエト連邦 ソビエト連邦 9.675 9.75 19.425
3 ピーター・コールマン アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 9.500 9.80 19.300

あん馬[編集]

順位 選手名 国・地域 持ち点 得点 合計
1 マジャール・ゾルタン ハンガリー ハンガリー 9.800 9.90 19.700
2 監物永三 日本 日本 9.775 9.80 19.575
3 ミハエル・ニコライ 東ドイツ 東ドイツ 9.725 9.80 19.525
ニコライ・アンドリアノフ ソビエト連邦 ソビエト連邦 9.725 9.80 19.525

つり輪[編集]

順位 選手名 国・地域 持ち点 得点 合計
1 ニコライ・アンドリアノフ ソビエト連邦 ソビエト連邦 9.850 9.80 19.650
2 アレクサンドル・ディチャーチン ソビエト連邦 ソビエト連邦 9.750 9.80 19.550
3 ダヌト・グレチュ ルーマニア ルーマニア 9.750 9.75 19. 500

跳馬[編集]

順位 選手名 国・地域 持ち点 得点 合計
1 ニコライ・アンドリアノフ ソビエト連邦 ソビエト連邦 9.650 9.775 19.450
2 塚原光男 日本 日本 9.675 9.725 19.375
3 梶山広司 日本 日本 9.650 9.600 19.275

平行棒[編集]

順位 選手名 国・地域 持ち点 得点 合計
1 加藤沢男 日本 日本 9.775 9.90 19.675
2 ニコライ・アンドリアノフ ソビエト連邦 ソビエト連邦 9.750 9.75 19.500
3 塚原光男 日本 日本 9.650 9.80 19.475

鉄棒[編集]

順位 選手名 国・地域 持ち点 得点 合計
1 塚原光男 日本 日本 9.825 9.80 19.675
2 監物永三 日本 日本 9.750 9.75 19.500
3 エバーハルト・ギンガー 西ドイツ 西ドイツ 9.675 9.80 19.475
アンリ・ボエリオ フランス フランス 9.675 9.80 19.475

女子[編集]

個人総合[編集]

順位 選手名 国・地域 予選 跳馬 段違い 平均台 ゆか 決勝 合計
1 ナディア・コマネチ ルーマニア ルーマニア 39.525 9.850 10.000 10.000 9.900 39.750 79.725
2 ネリー・キム ソビエト連邦 ソビエト連邦 39.125 10.000 9.900 9.700 9.950 39.550 78.675
3 リュドミラ・ツリシチェワ ソビエト連邦 ソビエト連邦 39.125 9.950 9.800 9.850 9.900 39.500 78.625

団体総合[編集]

順位 国・地域 規定 跳馬 段違い 平均台 ゆか 合計
1 ソビエト連邦 ソビエト連邦 49.00 49.00 48.95 49.20 390.35
2 ルーマニア ルーマニア 48.05 49.30 48.80 48.25 387.15
3 東ドイツ 東ドイツ 48.75 49.10 47.30 48.35 385.10
4 ハンガリー ハンガリー 47.95 48.35 47.50 47.70 380.15
5 チェコスロバキア チェコスロバキア 47.30 48.45 46.80 48.35 378.25
6 アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 46.85 48.10 44.60 47.85 375.05

種目別[編集]

跳馬[編集]

順位 選手名 国・地域 持ち点 得点 合計
1 ネリー・キム ソビエト連邦 ソビエト連邦 9.850 9.95 19.800
2 リュドミラ・ツリシチェワ ソビエト連邦 ソビエト連邦 9.800 9.85 19.650
キャロラ・ドムベック 東ドイツ 東ドイツ 9.750 9.90 19.650

段違い平行棒[編集]

順位 選手名 国・地域 持ち点 得点 合計
1 ナディア・コマネチ ルーマニア ルーマニア 10.000 10.00 20.000
2 テオドラ・ ウングレアヌ ルーマニア ルーマニア 9.900 9.90 19.800
3 マルタ・エゲルバリ ハンガリー ハンガリー 9.875 9.90 19.775

平均台[編集]

順位 選手名 国・地域 持ち点 得点 合計
1 ナディア・コマネチ ルーマニア ルーマニア 9.950 10.00 19.950
2 オルガ・コルブト ソビエト連邦 ソビエト連邦 9.825 9.90 19.725
3 テオドラ・ ウングレアヌ ルーマニア ルーマニア 9.800 9.90 19.700

ゆか[編集]

順位 選手名 国・地域 持ち点 得点 合計
1 ネリー・キム ソビエト連邦 ソビエト連邦 9.850 10.00 19.850
2 リュドミラ・ツリシチェワ ソビエト連邦 ソビエト連邦 9.925 9.90 19.825
3 ナディア・コマネチ ルーマニア ルーマニア 9.850 9.90 19.750


各国メダル数[編集]

国・地域
1 ソビエト連邦 ソビエト連邦 7 8 2 17
2 日本 日本 3 4 3 10
3 ルーマニア ルーマニア 3 2 3 8
4 ハンガリー ハンガリー 1 0 1 2
5 東ドイツ 東ドイツ 0 0 4 4
6 フランス フランス 0 0 1 1
西ドイツ 西ドイツ 0 0 1 1
アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 0 0 1 1
Total 14 14 16 44

脚注[編集]

  1. ^ その後、右膝にひびが入っていることが判明した(1976年7月22日 読売新聞「藤本、右ヒザにヒビ」)
  2. ^ ハンガリー人の名前は「姓-名」の順である