ハンガリアン・グレイハウンド

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ハンガリアン・グレイハウンド(英:Hungarian Greyhound)とは、ハンガリー原産のサイトハウンド犬種である。別名はマジャール・アガール(英:Magyar Agár)。

歴史[編集]

9世紀マジャール人がハンガリーに持ち込んだグレイハウンドタイプの犬が土着化して出来た犬種である。ウサギなどの狩りに使われていて、時にはギャンブル絡みのドッグレースにも使われた。19世紀になると犬質強化と血統のリフレッシュのため、ヨーロッパのグレイハウンドタイプの犬種と異種交配されたが、容姿や能力はそのまま保たれた。

第二次世界大戦の後はいざこざ(下記参照)によりひどい被害を受け、絶滅の危機に陥ったが、愛好家や動物愛護団体の手により何とか生き残ることが出来、1966年にはFCIにも公認犬種として登録された。現在も飼育頭数は多くは無いものの、外国にも輸出されてペットとして飼育されている。

犬種名と民俗問題[編集]

本種の現地での別名はマジャール・アガールであったが、民俗的な問題を避けるため、現在は現地でも英名であるハンガリアン・グレイハウンドの名で呼ばれている。これはハンガリー人のマジャール人に対する反抗心が原因で、マジャール人由来の犬種はかつてハンガリー人によって大量に虐殺され、罪のない多くの命が失われた。虐殺された犬種は本種の他にモップ犬として有名なプーリーグレート・ピレニーズの親せき種のクーヴァーズドラキュラ伝説で有名な旧ハンガリー領のトランシルバニア地方原産のトランシルバニアン・ハウンドなどがあった。後にこの暴動はFCIや動物愛護団体の介入により抑えられるが、幾つかの犬種は特に反マジャール感情をひどく叩きつけられたため、正式名称の改名を行ってその八つ当たりを逃れる必要があった。その措置を行ったのは本種とクーヴァーズで、クーヴァーズはもともとハンガリアン・クーヴァーズという犬種名であったが「ハンガリー」の冠名を取り除き微妙な改名をした。本種も「マジャール」という冠名を取り除いたが、これでは犬種名としてふさわしくなかったため英名で呼ぶことになった。この措置に加えて動物愛護団体が世界にこの現実を報じ、虐殺に反対するデモなどが行われてこの事態はは国際的に非難されるようになった。それを受けてハンガリー国内でも虐殺はやめようという意見が増加し、この暴動は沈静化された。しかし、ハンガリー人による反マジャール感情を刺激させないため、現在でもこの呼称は継続されている。

特徴[編集]

イングリッシュ・グレイハウンドに比べると小柄でマズルが短い。グレイハウンドタイプの犬種のため、首・胴・脚・尾が長い。折れ耳・サーベル形の垂れ尾でコートはスムースコート、毛色はホワイト地にブリンドルなどの大斑が入ったもの。体高は雄65~70cm、雌62~67cmで体重は雄30kg前後、雌25kg前後の大型犬。性格は素直で知的である。走るスピードが速く(個体にもよるが、およそ50~60kmのスピードが出せる)、運動量も多いため、集合住宅での飼育は不向きである。

参考[編集]

  • 『日本と世界の愛犬図鑑2007』(辰巳出版)佐草一優監修
  • 『デズモンド・モリスの犬種事典』(誠文堂新光社)デズモンド・モリス著書、福山英也、大木卓訳 誠文堂新光社、2007年
  • 『日本と世界の愛犬図鑑2009』(辰巳出版)藤原尚太郎編・著

関連項目[編集]