斜めCT

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コーンビームCTから転送)

斜めCT(ななめCT)とは、X線検査装置のうち傾斜コーンビーム方式を用いたCT装置を指す。

名前のとおり、斜めCTは、X線を斜め方向から対象物体に照射し、検出器でその透視画像を各方向から撮影することで、対象物体の断層像を得る。一般的に、斜めCT装置では回転台に対象物体を置き、回転台を回すことによって各方向から撮影画像を得る。基板のような薄い物体の断層像を得て、その欠陥を発見することができる[1]

2008年現在、斜めCTでは、検出器を垂直方向から水平方向まで置いて撮影した画像に対して、対象物体の断層像を得ることができる。対象物体の断層像を得るアルゴリズムは、3次元CT画像再構成法であるFDK法[1]から導出できる。すなわち、検出器を垂直方向に置いた時は、FDK法をそのまま使って画像再構成を行い、他の方向に置いた場合は、座標変換を行って、FDK法の導出方法に合わせれば、すぐに再構成数式が導出できる。

応用領域[編集]

垂直検出器撮像方法および座標系[編集]

まず、検出器座標系を次のように表示する。

, .

また、

とすると、検出器上の点 と対象物体の座標系の点 の関係は、次のように表示することができる。

, .

垂直検出器撮像の再構成方法[編集]

コーンビームCT画像再構成であるFDK法は、次のように表示できる。

.

上述の式において、関数はRampフィルタである。

水平検出器撮像方法および座標系[編集]

まず、検出器座標系を次のように表示する。

, .

検出器上の点 と対象物体の座標系の点 の関係は、次のように表示することができる。

, .

水平検出器撮像の再構成方法[編集]

まず、座標変換を行い、その結果をFDK法を導出する式に合わせると、画像再構成式は次のようになる。

.

任意検出器撮像方法および座標系[編集]

まず、任意検出器座標系を次のように表示する。

, .

検出器上の点 と対象物体の座標系の点 の関係は、次のように表示することができる。

, .

任意検出器撮像の再構成方法[編集]

まず、座標変換を行い、その結果をFDK法を導出する式に合わせると、画像再構成式は次のようになる。

.

脚注[編集]

  1. ^ a b 戸田裕之. X線CT―産業・理工学でのトモグラフィー実践活用. 共立出版. ISBN 978-4-320-08222-9