クロモアガーサルモネラ培地

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

クロモアガーサルモネラ培地(クロモアガーサルモネラばいち、CHROMagerTM Salmonellar)とは、サルモネラSalmonella属を糞便検体から分離するのに優れた分離培地である。 この培地には酵素基質が含まれており、酵素反応によりコロニーが発色するため鑑別が容易にできるという特徴を持つ。

培地の組成[編集]

クロモアガーサルモネラ培地の組成[1]
物質
寒天 15.0g
ペプトン酵母エキス混合物 7.0g
酵素基質・選択剤混合物 12.9g
1000ml

PH=7.6になるように調整する。

  1. 本品を34.9g/Lの割合で粉末を精製水にて懸濁・攪拌する。
  2. 100℃まで加温して沸騰させ寒天を完全融解する。
  3. 約50℃まで冷却してシャーレに分注した後寒天面を乾燥させる。
  4. 作成後の培地は、冷暗所又は室温で数日使用することが出来る。

特徴[編集]

  • 培養後のコロニーがSalmonella属とそれ以外の菌とで異なった発色をするため、Salmonella属の選別が行いやすい。
  • 糖分解にて反応を見ていないためSalmonella TyphiSalmonerlla Paratyphiの様な乳糖分解菌の鑑別も容易である。[2]

培養の方法[編集]

  • 培地は、平板培地を用いる。
  • 培地は使用する前に、無菌試験等を行ない問題の無い物を用いる。
  • 検体を採取後できるだけ速やかに培地に画線塗末する。
  • 平板培地を好気条件下において、35-37℃で24時間培養する。(Salmonella TyphiSalmonerlla Paratyphiの場合は、24-48時間培養)[2]
  • 最終判定は、この培地の培養結果のみによらず、生化学的試験や免疫学的試験のにより同定を行う。[2]

主な菌の発育の性状[編集]

CHROMagerTMSalmonella培地における発育性状
菌名 性状
Escherichia coliなど 青色
Puroteusなど 無色
Salmonella 藤色

CHROMagerTMSalmonella培地の改良品[編集]

  • Pseudomonas属やAeromonas属の汚染の激しい検体を用いる時はCHROMagerTMSalmonella培地にセフスロジンを5%添加した、セフスロジン加クロモアガーサルモネラも有用である。[2]

その他[編集]

  • 本製品は、日本国内では数社が輸入販売を行っており粉末・生培地とも販売が行われている。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 関東化学 (n.d.), クロモアガーサルモネラ, http://www.kanto.co.jp/rinsyo/pdf/008.pdf 2010年2月10日閲覧。 
  2. ^ a b c d CHROMager Microbiology (n.d.), CHROMagar Product Range:CHROMagerTMSalmonella, http://www.chromagar.com/products/salmonella.html 2010年2月10日閲覧。