クォーターマスター (海賊)

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クォーターマスター:Quartermaster)は、海賊たちが権力の乱用を抑えるために選出した幹部のこと[1]


概要[編集]

クォーターマスターは食料や戦利品の分け前を平等に分担させる役割が有り、敵船との戦いの際には先頭に立って敵陣に乗り込んでいった[2]サミュエル・ベラミーの海賊船ウィダー号英語版では、財産が収められた箱には見張りがいない分クォーターマスターの了解がない限り誰であってもそれに手をつけられないようになっていた[3]。また、船長と同レベルの権力を与えられていたが、クォーターマスター自体は海賊たちの最高権限者ではなく、海賊たちが一定期間置きに開く全員参加型の会議によって選出されていた[4] [5]キャプテン・チャールズ・ジョンソンはクォーターマスターについて、トルコ人にとっての宗教指導者の意見のようなものであり、クォーターマスターの同意なしには(船長は)何事も始めることはできないとしている[4]。なお、一般の商船にもクォーターマスター(操舵手)は存在するが、その場合は一介の船員でありかつての海賊たちに見られるような幹部クラスの地位ではない。[4]

脚注[編集]

  1. ^ レディカー、(2014)、p86
  2. ^ レディカー、(2014)、p87~88
  3. ^ レディカー、(2014)、p89
  4. ^ a b c レディカー、(2014)、p87
  5. ^ レディカー、(2014)、p89~90

参考文献[編集]

  • マーカス・レディカー(著) 和田光弘・小島崇・森丈夫・笹井俊和(訳)『海賊たちの黄金時代:アトランティック・ヒストリーの世界』2014年8月、ミネルヴァ書房