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伝統的なパン焼き窯でサンギャク・パンを焼くパン焼き職人たち。

サンギャク (en ペルシア語: سنگک‎ / sangak ; en アゼルバイジャン語: səngək) あるいはナーネ・サンギャク (en ペルシア語: نان سنگک‎ / nân-e sangak) は、三角形又は四角形のイランの伝統的なパンである[1][2]。小麦のみを原料に用い、平たい。

特徴

パン焼き窯の熱した岩床の上に生地を置いて焼成するのがサンギャクの伝統的な作り方である。初めに生地を2時間寝かせて発酵させ、その後、石の上に置いて焼く。焼き終わったら、生地にくっついた小石を取り除くため、生地を強くゆする[3], [4]

ペルシア語で「サン」san は小石を意味し、「ナーネ・サンギャク」あるいはその省略語「サンギャク」はパンを意味する。サンギャク作りはすでに近代化しており、生地に凹凸をつけて焼くための小石はそのような凹凸が設けられた鉄板に置き換えられている[4]

歴史

サンギャクの起源は、古代ペルシア帝国にさかのぼるとされている。昔のペルシア兵はおのおの、石を詰めた小さな袋を持っており、パンを焼くときに窯にその石を並べたのがナーネ・サンギャクのはじまりとされる[5]

サンギャクは伝統的にペルシア貴族やペルシア戦士の食べ物であり、季節的には冬によく作られてきた。

サンギャクは11世紀の文献に初めて言及がある

食べ方

サンギャクは婚約の儀式の際に供される食べ物でもある。この場合のサンギャクは、ハチミツとゴマが振りかけられた大きなものが作られる。

サンギャクはよく、子羊肉の串焼きとともに食べられる。

現代では、サンギャクは、砂糖を入れた紅茶(牛乳等を入れないブラック・ティー)、羊の乳から作ったチーズであるパニール・リーグヴァーンとともに、朝食としてもよく食べられている。

消費国

現代のアゼルバイジャン共和国の圏内では常に食べられ続けていたが、ソビエト連邦の支配を受けるようになった1920年代以後、消費量が減った[6]。ソ連の体制はパンの大量生産に最適化されたため、手作りのサンギャクは大量生産されたパンに代替された。隣国イランではこのようなことは起こらなかった。

多様なサンギャク

サンギャクは、プレーンのものと、ゴマの実などをまぶして風味を加えたものとの2種類に大別できる[7]。なお、かつてはケシの実をまぶすこともあったが、いまは禁止されている。

出典

  1. ^ Making Iranian Bread in Manoush Cuisine”. Manoush Cuisine. 2016年3月26日閲覧。.
  2. ^ Caballero, Benjamin; Finglas, Paul M.; Toldrá, Fidel, eds (2015). Encyclopedia of Food and Health (Vol. 1) (Academic Press ed.). p. 727. ISBN 978-0123849533 .
  3. ^ Jalal, Qarooni (1996). Flat Bread Technology (Springer US ed.). ISBN 9781461311751. OCLC 840281330. https://www.worldcat.org/oclc/840281330 2019年1月14日閲覧。 .
  4. ^ a b Naomi Duguid (29 août 2016) (anglais). Taste of Persia: A Cook's Travels Through Armenia, Azerbaijan, Georgia, Iran, and Kurdistan (Artisan Division of Workman Publishing ed.). p. 258. ISBN 9781579655488 .
  5. ^ About Sangak” (英語). ifood.tv. 2019年1月14日閲覧。.
  6. ^ Bread: Chorak”. Azerbaijan International. 2016年3月26日閲覧。.
  7. ^ Breads of Iran”. Food Reference. 2016年3月26日閲覧。.