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'''遊走'''(ゆうそう、migration、または細胞遊走:Cell migration)とは、[[細胞]]などが[[個体]]内のある位置から別の位置に移動すること<ref>{{Cite web|website=がん情報サイト「オンコロ」|url=https://oncolo.jp/dictionary/migration|title=遊走|author=株式会社インテリム|publisher=3Hクリニカルトライアル株式会社|date=2018-02-01|accessdate=2019-12-23}}</ref>。
{{字引|date=2019年12月}}
{{単一の出典|date=2019年12月}}
'''遊走'''(ゆうそう、migration)とは、[[細胞]]などが[[個体]]内のある位置から別の位置に移動すること<ref>{{Cite web|website=がん情報サイト「オンコロ」|url=https://oncolo.jp/dictionary/migration|title=遊走|author=株式会社インテリム|publisher=3Hクリニカルトライアル株式会社|date=2018-02-01|accessdate=2019-12-23}}</ref>。


[[多細胞生物|多細胞生物の]]開発と維持における中心的なプロセスです。 [[胚発生]] 、 創傷治癒および[[免疫系|免疫応答]]時の組織形成にはすべて、特定の場所への特定の方向への細胞の組織化された移動が必要。 細胞は [[走化性|化学信号]]や機械信号などの特定の外部信号に応答して移動することがよくあり <ref name="Mak2015">{{Cite journal|last=Mak|first=M.|last2=Spill|first2=F.|last3=Roger|first3=K.|last4=Zaman|first4=M.|year=2016|title=Single-Cell Migration in Complex Microenvironments: Mechanics and Signaling Dynamics|journal=Journal of Biomechanical Engineering|volume=138|issue=2|pages=021004|DOI=10.1115/1.4032188|PMID=26639083|PMC=4844084}}</ref> このプロセス中のエラーは [[知的障害]] 、 [[心血管疾患|血管疾患]] 、 腫瘍形成 、 [[転移 (医学)|転移]]などの深刻な結果をもたらす。 細胞が移動するメカニズムの理解は、例えば浸潤性腫瘍細胞を制御するための新しい治療戦略の開発につながる可能性がある。 細胞は複雑で、オルガネラを持っている。
== 脚注 ==

{{脚注ヘルプ}}
== 細胞遊走研究 ==
<references />
[[File:Migrating_MCF-10A_cells.ogv|サムネイル|300x300ピクセル|図'''1:''' A Time-lapse microscopy video of migrating MCF-10A cells,
imaged for 16 hours using quantitative phase microscopy.<ref name="MCF-10A">{{Cite web|title=HoloMonitor - Non-invasive image cytometers|publisher=Phase Holographic Imaging AB|url=http://www.phiab.se/products/holomonitor}}</ref>]]
表面に付着した[[細胞培養|培養細胞]]の移動は 顕微鏡を使用して一般的に研究されているが 細胞の動きは非常に遅いため、移動を加速するために、移動する細胞の数µm /分、 タイムラプス顕微鏡ビデオが記録。 このようなビデオ(図1)から、主要なセルフロントが非常にアクティブであり、連続した収縮と拡張の特徴的な動作があることがわかるが、一般に先頭の前部がセルを前方に引っ張るメインモーターであることが受け入れられている。

=== 共通の機能 ===
哺乳類細胞遊走の基礎となるプロセス(非[[精子|spermatozooic]] )のものと一致すると考えられる。 <ref>{{Cite web|title=What is Cell Migration?|url=http://www.cellmigration.org/science/#whatis|website=Cell Migration Gateway|publisher=Cell MIgration Consortium|accessdate=24 March 2013}}</ref> 共通の観察は次のとおり。

* 前縁での細胞質変位(前)
* 背側に堆積した破片を後縁(背面)に向かって層状に除去

[[ファイル:Cellmigrationmodels.png|サムネイル| セルの移動方法に関する2つの異なるモデル。 A)細胞骨格モデル。 B)膜流モデル ]]
[[ファイル:Microtubule_in_Cell_Migration.jpg|サムネイル| (A)動的な微小管は尾の収縮に必要であり、移動している細胞の後端に分布。 緑色の非常に動的な微小管。黄色の、適度に動的な微小管と赤色の安定した微小管。 (B)安定した微小管は支柱として機能し、尾の収縮を防ぎ、それにより細胞移動を阻害。 ]]

== 移行の分子プロセス ==

=== 細胞骨格モデル(A) ===

=== 最先端 ===
実験により、セルの前端で急速な[[アクチン]]重合が[[アクチン|起こる]]ことが示され <ref name="Wang1985">{{Cite journal|last=Wang|first=Y. L.|year=1985|title=Exchange of actin subunits at the leading edge of living fibroblasts: possible role of treadmilling|journal=The Journal of Cell Biology|volume=101|issue=2|pages=597–602|DOI=10.1083/jcb.101.2.597|PMID=4040521|PMC=2113673}}</ref> この観察は、アクチンフィラメントの形成が前縁を前方に「押し」細胞の前縁を前進させるための主要な運動力であるという仮説を導き <ref name="Mitch1996">{{Cite journal|last=Mitchison|first=T|last2=Cramer|first2=LP|year=1996|title=Actin-Based Cell Motility and Cell Locomotion|journal=Cell|volume=84|issue=3|pages=371–9|DOI=10.1016/S0092-8674(00)81281-7|PMID=8608590}}</ref> <ref name="Pollard2003">{{Cite journal|last=Pollard|first=Thomas D|last2=Borisy|first2=Gary G|year=2003|title=Cellular Motility Driven by Assembly and Disassembly of Actin Filaments|journal=Cell|volume=112|issue=4|pages=453–65|DOI=10.1016/S0092-8674(03)00120-X|PMID=12600310}}</ref> さらに、細胞骨格要素は、細胞の原形質膜と広範囲かつ密接に相互作用することができる。 <ref>{{Cite journal|last=Doherty|first=Gary J.|last2=McMahon|first2=Harvey T.|year=2008|title=Mediation, Modulation, and Consequences of Membrane-Cytoskeleton Interactions|journal=Annual Review of Biophysics|volume=37|pages=65–95|DOI=10.1146/annurev.biophys.37.032807.125912|PMID=18573073}}</ref>

=== 後縁 ===
他の細胞骨格成分(微小管など)は、細胞移動に重要な機能を持っているが微小管は細胞の移動中に後縁の収縮に必要な収縮力に対抗する「支柱」として機能することがわかっている。細胞の後縁の微小管が動的である場合、収縮を可能にするために改造することができ、ダイナミクスが抑制されると、微小管は再構築できず、したがって収縮力に対抗できない <ref name="pmid20696757">{{Cite journal|last=Yang|first=Hailing|last2=Ganguly|first2=Anutosh|last3=Cabral|first3=Fernando|year=2010|title=Inhibition of Cell Migration and Cell Division Correlates with Distinct Effects of Microtubule Inhibiting Drugs|journal=The Journal of Biological Chemistry|volume=285|issue=42|pages=32242–50|DOI=10.1074/jbc.M110.160820|PMID=20696757|PMC=2952225}}</ref> 。微小管のダイナミクスが抑制された細胞の形態は、細胞が前端を伸ばすことができるが(移動方向に分極)、後端を引っ込めることが困難であることを示している <ref name="ReferenceA">{{Cite journal|last=Ganguly|first=A|last2=Yang|first2=H|last3=Sharma|first3=R|last4=Patel|first4=K|last5=Cabral|first5=F|year=2012|title=The Role of Microtubules and Their Dynamics in Cell Migration.|journal=J Biol Chem|volume=287|issue=52|pages=43359–69|DOI=10.1074/jbc.M112.423905|PMID=23135278|PMC=3527923}}</ref> 一方、薬物濃度が高い場合、または微小管を解重合する微小管の変異は、細胞遊走を回復させることができるが、方向性は失われます。 微小管は細胞の動きを抑制し、方向性を確立するために作用すると結論付けることが可能。

=== 膜流モデル(B) ===
研究ではまた遊走の前がエンドサイトーシスサイクルの終わりに内部の膜プールから細胞表面に膜が戻る部位であることを示し <ref name="Bretscher1983">{{Cite journal|last=Bretscher|first=M. S.|year=1983|title=Distribution of receptors for transferrin and low density lipoprotein on the surface of giant HeLa cells|journal=Proceedings of the National Academy of Sciences|volume=80|issue=2|pages=454–8|DOI=10.1073/pnas.80.2.454|PMID=6300844|PMC=393396}}</ref> これは、リーディングエッジの拡張が主にセルの前面に膜を追加することによって発生するという仮説を導いているが、その場合、前面に形成されるアクチンフィラメントは追加された膜を安定化させ、その結果、前面に気泡状構造(またはブレブ)ではなく、構造化された延長部またはラメラが形成される可能性もある <ref name="Bretscher1996">{{Cite journal|last=Bretscher|first=M|year=1996|title=Getting Membrane Flow and the Cytoskeleton to Cooperate in Moving Cells|journal=Cell|volume=87|issue=4|pages=601–6|DOI=10.1016/S0092-8674(00)81380-X|PMID=8929529}}</ref> 。ただし細胞が移動するには、新鮮な「足」(細胞がcう表面に細胞を付着させる[[インテグリン]]と呼ばれるタンパク質)を前に持ってくる必要があり、それらの足は、細胞の後方に向かってエンドサイトーシスされ、エキソサイトーシスによって細胞の前面に運ばれ、再利用されて基質への新しい付着を形成する可能性がある。
[[ファイル:Adhesion-independent_migration.tif|サムネイル| 後方の膜流(赤い矢印)と後方から前方への小胞輸送(青い矢印)は、接着に依存しない移動を促進。 <ref name="O'Neill">{{Cite journal|last=O'Neill|first=Patrick|last2=Castillo-Badillo|first2=Jean|last3=Meshik|first3=Xenia|last4=Kalyanaraman|first4=Vani|last5=Melgarejo|first5=Krystal|last6=Gautam|first6=N|date=2018|title=Membrane flow drives an adhesion-independent amoeboid cell migration mode|journal=Developmental Cell|volume=46|issue=1|pages=9–22|DOI=10.1016/j.devcel.2018.05.029|PMID=29937389|PMC=6048972}}</ref> ]]

=== アメーバ移行の機構的基礎 ===
接着性のクローリングは、真核細胞が示す唯一の移動モードではなく、重要なことに転移性癌細胞と[[マクロファージ]]や[[好中球]]などの免疫細胞は接着に依存しない移動が可能であることがわかっている。この移動モードの機構的基礎は真核細胞のクローリングまたは微生物による鞭毛に基づく遊泳のいずれよりも理解されていない。物理学者の[[エドワード・ミルズ・パーセル|EMパーセル]]は、細胞規模で適用される低[[レイノルズ数]]流体力学の条件下では、後方の表面流が顕微鏡オブジェクトが前方に泳ぐメカニズムを提供できると理論付けたが <ref>{{Cite journal|last=Purcell|first=E. M.|date=1977|title=Life at Low Reynolds Number|journal=American Journal of Physics|volume=45|issue=3|pages=3–11|DOI=10.1119/1.10903}}</ref> 数十年後、 [[光遺伝学|オプトジェネティクス]]を使用してこのモデルの実験的サポートが提供された。 癒着せずにアメーバ状に移動する細胞は、周囲の流体に接線方向の力を加えることにより細胞を推進できる細胞背面への原形質膜の流れを示すことが示された。 <ref name="O'Neill">{{Cite journal|last=O'Neill|first=Patrick|last2=Castillo-Badillo|first2=Jean|last3=Meshik|first3=Xenia|last4=Kalyanaraman|first4=Vani|last5=Melgarejo|first5=Krystal|last6=Gautam|first6=N|date=2018|title=Membrane flow drives an adhesion-independent amoeboid cell migration mode|journal=Developmental Cell|volume=46|issue=1|pages=9–22|DOI=10.1016/j.devcel.2018.05.029|PMID=29937389|PMC=6048972}}</ref> <ref name="Collins">{{Cite journal|last=Bell|first=George R. R.|last2=Collins|first2=Sean R.|date=2018|title="Rho"ing a cellular boat with rearward membrane flow|journal=Developmental Cell|volume=46|issue=1|pages=1–3|DOI=10.1016/j.devcel.2018.06.008|PMID=29974859}}</ref> 細胞の背面から前面への膜を含む小胞の偏った人身売買は、細胞の大きさを維持するのに役立ち 後方の膜の流れは、 ''Dictyostelium discoideum''細胞でも観察された <ref>{{Cite journal|last=Tanaka|first=Masahito|last2=Kikuchi|first2=Takeomi|last3=Uno|first3=Hiroyuki|last4=Okita|first4=Keisuke|last5=Kitanishi-Yumura|first5=Toshiko|last6=Yumura|first6=Shigehiko|date=2017|title=Turnover and flow of the cell membrane for cell migration|journal=Scientific Reports|volume=7|issue=1|pages=12970|DOI=10.1038/s41598-017-13438-5|PMID=29021607|PMC=5636814}}</ref> 。なお興味深いことに、細胞上後方表面流の同様のメカニズムによってサポートされることもわかっている<ref>{{Cite journal|last=Shellard|first=Adam|last2=Szabo|first2=Andras|last3=Trepat|first3=Xavier|last4=Mayor|first4=Roberto|date=2018|title=Supracellular contraction at the rear of neural crest cell groups drives collective chemotaxis|journal=Science|volume=362|issue=6412|pages=339–343|DOI=10.1126/science.aau3301|PMID=30337409|PMC=6218007}}</ref>。
[[File:Collective_Mechanism_of_Cell_Motion.jpg|サムネイル| 細胞運動の集合的な生体力学的および分子メカニズムの概略図<ref name="coskun2011">{{Cite journal|last=Coskun|first=Hasan|last2=Coskun|first2=Huseyin.|date=March 2011|title=Cell physician: reading cell motion. A mathematical diagnostic technique through analysis of single cell motion|journal=Bull Math Biol|volume=73|issue=3|pages=658–82|DOI=10.1007/s11538-010-9580-x|PMID=20878250}}</ref> ]]

=== 細胞運動の集合的な生体力学的および分子メカニズム ===
最近の研究では数学的モデルに基づいて、細胞運動の集合的な生体力学的および分子メカニズムの新しい生物学的モデルを仮定している <ref name="coskun2011">{{Cite journal|last=Coskun|first=Hasan|last2=Coskun|first2=Huseyin.|date=March 2011|title=Cell physician: reading cell motion. A mathematical diagnostic technique through analysis of single cell motion|journal=Bull Math Biol|volume=73|issue=3|pages=658–82|DOI=10.1007/s11538-010-9580-x|PMID=20878250}}</ref> 。マイクロドメインが細胞骨格のテクスチャーを織り込み、それらの相互作用が新しい接着部位の形成の位置を示すことが提案されている。このモデルによるとマイクロドメインシグナル伝達のダイナミクスは細胞骨格とその基質との相互作用を整理するがマイクロドメインがアクチンフィラメントの活発な重合を引き起こし維持するので、それらの伝播と膜上のジグザグ運動は、細胞境界に対して広い角度のスペクトルに向けられた湾曲し、または線形のフィラメントの高度に連結されたネットワークを生成。 マイクロドメイン相互作用は、細胞周辺での新しい焦点接着部位の形成を示すことも提案されその次にミオシンとアクチンネットワークの相互作用により膜の収縮/ラッフル、逆流、および収縮運動が発生する。 最後に、古い局所癒着部位にストレスを継続的に加えると、カルシウム誘発性のカルパインの活性化が起こり、その結果、焦点癒着が剥離してサイクルが完了する可能性がある。

== 移動する細胞の極性 ==
移行セルには[[細胞極性|極性]] -前面と背面があり、それがなければ一度にすべての方向に移動する、すなわち広がるが この極性が細胞内の分子レベルでどのように定式化されるかは不明でランダムに蛇行しているセルではセルのその他の領域が新しいフロントを形成するため、フロントは簡単に受動的になる。走化性細胞では、細胞が刺激化学物質のより高い濃度に向かって進むにつれて、前面の安定性が強化されたように見える。この極性は特定の分子を[[細胞膜|細胞内表面の]]特定の領域に制限することにより、分子レベルで反映。したがって、リン脂質PIP3と活性化されたRacとCDC42は細胞の前部にあり、 Rho GTPaseと[[PTEN]]は後部にある。 <ref name="Parent1999">{{Cite journal|last=Parent|first=C. A.|last2=Devreotes|first2=PN|year=1999|title=A Cell's Sense of Direction|journal=Science|volume=284|issue=5415|pages=765–70|DOI=10.1126/science.284.5415.765|PMID=10221901}}</ref> <ref name="Ridley2003">{{Cite journal|last=Ridley|first=A. J.|last2=Schwartz|first2=MA|last3=Burridge|first3=K|last4=Firtel|first4=RA|last5=Ginsberg|first5=MH|last6=Borisy|first6=G|last7=Parsons|first7=JT|last8=Horwitz|first8=AR|year=2003|title=Cell Migration: Integrating Signals from Front to Back|url=https://cdr.lib.unc.edu/record/uuid:dacf5b66-ae5e-47f0-96f5-3390867b9e12|journal=Science|volume=302|issue=5651|pages=1704–9|DOI=10.1126/science.1092053|PMID=14657486}}</ref>

== 細胞運動の文脈における逆問題 ==
細胞運動の[[逆問題]]と呼ばれる研究分野が確立された。 <ref>{{Cite book|last=Coskun|first=Huseyin.|title=Mathematical Models for Ameboid Cell Motility and Model Based Inverse Problems|date=2006|publisher=ProQuest|url=http://search.proquest.com}}</ref> <ref>{{Cite journal|last=Coskun|first=Huseyin|last2=Li|first2=Yi|last3=Mackey|first3=Mackey A.|date=Jan 2007|title=Ameboid cell motility: a model and inverse problem, with an application to live cell imaging data|journal=J Theor Biol|volume=244|issue=2|pages=169–79|DOI=10.1016/j.jtbi.2006.07.025|PMID=16997326}}</ref> <ref name="coskun2011">{{Cite journal|last=Coskun|first=Hasan|last2=Coskun|first2=Huseyin.|date=March 2011|title=Cell physician: reading cell motion. A mathematical diagnostic technique through analysis of single cell motion|journal=Bull Math Biol|volume=73|issue=3|pages=658–82|DOI=10.1007/s11538-010-9580-x|PMID=20878250}}</ref> このアプローチは、セルの動作または形状の変化が、これらの変化を生成する基礎となるメカニズムに関する情報を運ぶという考えに基づいており、細胞運動の読み取り、すなわち、基礎となる生物物理学的および機械化学的プロセスを理解することは非常に重要である <ref>{{Cite web|title=Profiling Cells with Math|url=http://www.maa.org/news/math-news/profiling-cells-with-math|publisher=Mathematical Association of America}}</ref> <ref>{{Cite web|title=Mathematicians use cell 'profiling' to detect abnormalities – including cancer|url=https://www.sciencedaily.com/releases/2011/01/110125141827.htm|publisher=ScienceDaily}}</ref> 。これらの研究で開発された数学的モデルは生細胞の画像シーケンスの分析を通じて細胞の物理的特徴と材料特性を局所的に決定し、この情報を使用して、アクチンなどの細胞内の分子構造、動力学、ネットワーク、マイクロドメイン、走化性、接着、逆流およびプロセスに関するさらなる推論を行う。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
*[[マイグレーション]]


* [[マイグレーション]]
{{デフォルトソート:ゆうそう}}

[[Category:細胞]]
* [[走化性]]

== 脚注 ==
{{Reflist|30em}}

== 外部リンク ==

* [http://www.cellmigration.org/index.shtml セル移行ゲートウェイ]セル移行ゲートウェイは、包括的かつ定期的に更新されるセル移行に関するリソースです。
* [http://cellix.imba.oeaw.ac.at 細胞骨格と細胞移動]ザルツブルクとウィーンのJV Small labによる画像とビデオのツアー
* [http://www.phiab.se/publications/video-gallery 増殖および移動細胞を示すタイムラプス顕微鏡ビデオ]
* Phase Holographic Imaging ABによる[https://web.archive.org/web/20141224105550/http://www.phiab.se/applications/cell-tracking 細胞遊走の追跡]
[[Category:映像がある記事]]
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2020年1月8日 (水) 11:10時点における版

遊走(ゆうそう、migration、または細胞遊走:Cell migration)とは、細胞などが個体内のある位置から別の位置に移動すること[1]

多細胞生物の開発と維持における中心的なプロセスです。 胚発生 、 創傷治癒および免疫応答時の組織形成にはすべて、特定の場所への特定の方向への細胞の組織化された移動が必要。 細胞は 化学信号や機械信号などの特定の外部信号に応答して移動することがよくあり [2] このプロセス中のエラーは 知的障害血管疾患 、 腫瘍形成 、 転移などの深刻な結果をもたらす。 細胞が移動するメカニズムの理解は、例えば浸潤性腫瘍細胞を制御するための新しい治療戦略の開発につながる可能性がある。 細胞は複雑で、オルガネラを持っている。

細胞遊走研究

1: A Time-lapse microscopy video of migrating MCF-10A cells, imaged for 16 hours using quantitative phase microscopy.[3]

表面に付着した培養細胞の移動は 顕微鏡を使用して一般的に研究されているが 細胞の動きは非常に遅いため、移動を加速するために、移動する細胞の数µm /分、 タイムラプス顕微鏡ビデオが記録。 このようなビデオ(図1)から、主要なセルフロントが非常にアクティブであり、連続した収縮と拡張の特徴的な動作があることがわかるが、一般に先頭の前部がセルを前方に引っ張るメインモーターであることが受け入れられている。

共通の機能

哺乳類細胞遊走の基礎となるプロセス(非spermatozooic )のものと一致すると考えられる。 [4] 共通の観察は次のとおり。

  • 前縁での細胞質変位(前)
  • 背側に堆積した破片を後縁(背面)に向かって層状に除去
セルの移動方法に関する2つの異なるモデル。 A)細胞骨格モデル。 B)膜流モデル
(A)動的な微小管は尾の収縮に必要であり、移動している細胞の後端に分布。 緑色の非常に動的な微小管。黄色の、適度に動的な微小管と赤色の安定した微小管。 (B)安定した微小管は支柱として機能し、尾の収縮を防ぎ、それにより細胞移動を阻害。

移行の分子プロセス

細胞骨格モデル(A)

最先端

実験により、セルの前端で急速なアクチン重合が起こることが示され [5] この観察は、アクチンフィラメントの形成が前縁を前方に「押し」細胞の前縁を前進させるための主要な運動力であるという仮説を導き [6] [7] さらに、細胞骨格要素は、細胞の原形質膜と広範囲かつ密接に相互作用することができる。 [8]

後縁

他の細胞骨格成分(微小管など)は、細胞移動に重要な機能を持っているが微小管は細胞の移動中に後縁の収縮に必要な収縮力に対抗する「支柱」として機能することがわかっている。細胞の後縁の微小管が動的である場合、収縮を可能にするために改造することができ、ダイナミクスが抑制されると、微小管は再構築できず、したがって収縮力に対抗できない [9] 。微小管のダイナミクスが抑制された細胞の形態は、細胞が前端を伸ばすことができるが(移動方向に分極)、後端を引っ込めることが困難であることを示している [10] 一方、薬物濃度が高い場合、または微小管を解重合する微小管の変異は、細胞遊走を回復させることができるが、方向性は失われます。 微小管は細胞の動きを抑制し、方向性を確立するために作用すると結論付けることが可能。

膜流モデル(B)

研究ではまた遊走の前がエンドサイトーシスサイクルの終わりに内部の膜プールから細胞表面に膜が戻る部位であることを示し [11] これは、リーディングエッジの拡張が主にセルの前面に膜を追加することによって発生するという仮説を導いているが、その場合、前面に形成されるアクチンフィラメントは追加された膜を安定化させ、その結果、前面に気泡状構造(またはブレブ)ではなく、構造化された延長部またはラメラが形成される可能性もある [12] 。ただし細胞が移動するには、新鮮な「足」(細胞がcう表面に細胞を付着させるインテグリンと呼ばれるタンパク質)を前に持ってくる必要があり、それらの足は、細胞の後方に向かってエンドサイトーシスされ、エキソサイトーシスによって細胞の前面に運ばれ、再利用されて基質への新しい付着を形成する可能性がある。

後方の膜流(赤い矢印)と後方から前方への小胞輸送(青い矢印)は、接着に依存しない移動を促進。 [13]

アメーバ移行の機構的基礎

接着性のクローリングは、真核細胞が示す唯一の移動モードではなく、重要なことに転移性癌細胞とマクロファージ好中球などの免疫細胞は接着に依存しない移動が可能であることがわかっている。この移動モードの機構的基礎は真核細胞のクローリングまたは微生物による鞭毛に基づく遊泳のいずれよりも理解されていない。物理学者のEMパーセルは、細胞規模で適用される低レイノルズ数流体力学の条件下では、後方の表面流が顕微鏡オブジェクトが前方に泳ぐメカニズムを提供できると理論付けたが [14] 数十年後、 オプトジェネティクスを使用してこのモデルの実験的サポートが提供された。 癒着せずにアメーバ状に移動する細胞は、周囲の流体に接線方向の力を加えることにより細胞を推進できる細胞背面への原形質膜の流れを示すことが示された。 [13] [15] 細胞の背面から前面への膜を含む小胞の偏った人身売買は、細胞の大きさを維持するのに役立ち 後方の膜の流れは、 Dictyostelium discoideum細胞でも観察された [16] 。なお興味深いことに、細胞上後方表面流の同様のメカニズムによってサポートされることもわかっている[17]

ファイル:Collective Mechanism of Cell Motion.jpg
細胞運動の集合的な生体力学的および分子メカニズムの概略図[18]

細胞運動の集合的な生体力学的および分子メカニズム

最近の研究では数学的モデルに基づいて、細胞運動の集合的な生体力学的および分子メカニズムの新しい生物学的モデルを仮定している [18] 。マイクロドメインが細胞骨格のテクスチャーを織り込み、それらの相互作用が新しい接着部位の形成の位置を示すことが提案されている。このモデルによるとマイクロドメインシグナル伝達のダイナミクスは細胞骨格とその基質との相互作用を整理するがマイクロドメインがアクチンフィラメントの活発な重合を引き起こし維持するので、それらの伝播と膜上のジグザグ運動は、細胞境界に対して広い角度のスペクトルに向けられた湾曲し、または線形のフィラメントの高度に連結されたネットワークを生成。 マイクロドメイン相互作用は、細胞周辺での新しい焦点接着部位の形成を示すことも提案されその次にミオシンとアクチンネットワークの相互作用により膜の収縮/ラッフル、逆流、および収縮運動が発生する。 最後に、古い局所癒着部位にストレスを継続的に加えると、カルシウム誘発性のカルパインの活性化が起こり、その結果、焦点癒着が剥離してサイクルが完了する可能性がある。

移動する細胞の極性

移行セルには極性 -前面と背面があり、それがなければ一度にすべての方向に移動する、すなわち広がるが この極性が細胞内の分子レベルでどのように定式化されるかは不明でランダムに蛇行しているセルではセルのその他の領域が新しいフロントを形成するため、フロントは簡単に受動的になる。走化性細胞では、細胞が刺激化学物質のより高い濃度に向かって進むにつれて、前面の安定性が強化されたように見える。この極性は特定の分子を細胞内表面の特定の領域に制限することにより、分子レベルで反映。したがって、リン脂質PIP3と活性化されたRacとCDC42は細胞の前部にあり、 Rho GTPaseとPTENは後部にある。 [19] [20]

細胞運動の文脈における逆問題

細胞運動の逆問題と呼ばれる研究分野が確立された。 [21] [22] [18] このアプローチは、セルの動作または形状の変化が、これらの変化を生成する基礎となるメカニズムに関する情報を運ぶという考えに基づいており、細胞運動の読み取り、すなわち、基礎となる生物物理学的および機械化学的プロセスを理解することは非常に重要である [23] [24] 。これらの研究で開発された数学的モデルは生細胞の画像シーケンスの分析を通じて細胞の物理的特徴と材料特性を局所的に決定し、この情報を使用して、アクチンなどの細胞内の分子構造、動力学、ネットワーク、マイクロドメイン、走化性、接着、逆流およびプロセスに関するさらなる推論を行う。

関連項目

脚注

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外部リンク