超音波探傷試験

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超音波探傷検査の垂直探傷法でのブラウン管の探傷図形。Epは試料の厚さでブラウン管の横軸の左側を基点として走査する。1個の探触子で送信・受信兼用の場合には発信器のパルスがそのまま直接入る為、左側の内部欠陥が無い場合は探傷面に送信パルスの波形と底面から反射した反射エコーの波形が現れるが、その波形の頂点の間が試料の厚さになる。右側の探傷面からDの距離に内部欠陥がある場合は、送信パルスからDの距離に欠陥の反射エコーの波形が現れる。

超音波探傷検査(ちょうおんぱたんしょうけんさ)とは非破壊検査の一種で英語でUT(Ultrasonic Testing)と言い、パルス発信器から発生した超音波パルスを探触子から発信しその一部が内部の欠陥に反射され、その反射波が探触子に受信されて高周波電圧に変換し、その後受信器を経由してブラウン管で表示することにより、欠陥の存在位置及び大きさの程度を知る検査である。金属材料と非金属材料で使用が可能であり、また表面の欠陥も検知できる。

概要

超音波探傷では内部の平板状の欠陥では薄くても超音波を垂直に当てれば、大きいエコー(反射波)を得ることができるが球状の欠陥ではかなり大きいか密集していないと十分はエコーを得ることはできない。また材料の金属組織が微細であれば超音波かなり遠くまで到達することができる。欠点としては記録性に乏しいこと、欠陥の種類の判断に高度の熟練を必要とすること、ブラウン管を見ながらいろいろな判断を行う為連続長時間の作業では疲労が著しいことである。探傷に使用する超音波の周波数は0.4Hz~25MHzでその内の1~5MHzの周波数が最もよく使用される。

超音波探傷検査には3つの方法がある

  • パルス反射法

超音波のパルスを探触子から発信しその一部が内部の欠陥に反射され、探触子に受信されそれをブラウン管で表示することにより、欠陥の存在位置及び大きさの程度を知る方法、超音波探傷検査の中では主流として使用されている。

  • 透過法

材料の片面に置いた送信探触子を他面に置いた受信探触子により受信する方法で、材料内部の欠陥により透過する超音波の強さが変わることにより欠陥の存在を知ることができる。

  • 共振法

材料の片面に置いた探触子に可変周波数発信機を接続して超音波の波長を連続的に変えて発信して反射波と送信波とを干渉させ、半波長の整数倍の長さが材料の板厚に等しくなると板厚の方向に定常波が発生し材料が共振して欠陥と板厚を知る方法である。


またパルス反射法には波の種類により4つの反射法ある。

  • 垂直探傷法

探触子から超音波(縦波)を垂直に伝播させ、その一部が内部の欠陥に反射して探触子に戻り欠陥を検知する、欠陥個所に当たらかった超音波は材料の底面で反射して戻る(底面エコー)。

  • 斜角探傷法

超音波(横波)を斜めに伝播させ材料内部で反射を繰り返させ、探触子から離れた場所にある欠陥を検知する、この場合底面エコーは現れない。

  • 表面波探傷法

超音波(表面波)を表面に沿って伝播させる。

  • 板波探傷法

超音波(板波)を板に沿って伝播させる。

参考文献

  • 『航空機の基本技術』 日本航空技術協会 1989年 ISBN 4930858364