永続データ構造

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永続データ構造(えいぞくデータこうぞう、: Persistent data structure)は、変更される際に変更前のバージョンを常に保持するデータ構造である。このようなデータ構造は、更新の際に元のデータ構造を書き換えるのではなく、新たなデータ構造を生成すると考えられ、イミュータブルなデータ構造の構築に利用可能である。

概要

全バージョンにアクセス可能で、最新版だけを変更可能なデータ構造を部分永続的(partially persistent)という。全バージョンにアクセスも更新も可能なデータ構造を完全永続的(fully persistent)という。最新版以外の2つのバージョンから新たなバージョンを作成/マージする操作があるなら、そのデータ構造を融合永続的(confluently persistent)という。永続的でないデータ構造は短命(ephemeral)であるという。

このようなデータ構造の分類は、特に論理プログラミング関数型プログラミングで典型的である。純粋関数プログラムでは全てのデータがイミュータブルであり、全てのデータ構造が自動的に完全永続的である。永続データ構造はデータをその場で更新する方法でも構築可能であり、一般に純粋関数での実装よりも記憶領域や時間を必要としない。

永続性は単純なコピーでも達成できるが、多くの操作はデータ構造のほんの一部しか変更しないので、時間と領域の効率が悪い。よりよい手法は、木構造を使ってバージョン間の類似性を表す方法である。しかし、バージョンが増えるにつれてバージョン間でどの部分が共通なのかを判断することが難しくなり、古いバージョンを捨てられるのが望ましい場合も多いため、ガベージコレクションが可能な環境が必要となる。

最も単純な永続データ構造は片方向連結リストcons ベースのリストである(リスト上の次のオブジェクトへの参照のある単純なリスト)。このようなリストの尾部を共有し、変更部分だけを先頭のノードを新たに追加することで永続性を実現できる。尾部がコピーされることはなく、新しいリストと古いリストで共有される。尾部の内容がイミュータブルであれば、プログラムからはこの共有は見えない。

赤黒木キューのような多くの参照ベースのデータ構造は、容易に永続版にすることができる。配列の永続版として Phil Bagwell が 2002年に示した VList というデータ構造がある。

関連項目

外部リンク