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尚宮

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尚宮(しょうきゅう、ko상궁、サングン)は李氏朝鮮王朝の女官の称号のひとつ。内命婦(ないめいふ、내명부、ネミョンブ。宮中で王に仕える妃、側室、女官の総称)に属し、位階は正五品(しょうごほん、정오품、チョンオプム)で、側室以外の女官では最高位。一般的に、至密に属した女官は入宮後25年、その以外の房に属した女官は35年が経つと尚宮になることができた。内人(ナイン。女官の全体を示す単語でもあるが尚宮より低い女官を示す単語でもある)など自分より低い人々には「媽媽任」(마마님、ママニム)と呼ばれた。

実在する役職

朝鮮時代の女官は至密(지밀、王、王妃の寝室に侍して王と妃の日常生活の世話に当たる)、寝房(침방、お針を受け持つ)、繍房(수방、縫い取り)、洗手間(세수간、洗濯、手水)、生果房(생과방、果物、おやつなど)、内焼厨房(내소주방、「水剌」(王の食事)など)、外焼厨房(외소주방、宮の宴会の食べ物など)、洗踏房(세답방、洗濯、掃除などの雑務)などに分けられて属していた。尚宮は属している房の名称と呼ばれた。(例:至密に属した尚宮は「至密尚宮」)

しかし、下記のように、特別な職務を受け持った時には職務によって異なる称号が与えられる。

  • 提調尚宮(제조상궁、女官長)
  • 副提調尚宮(부제조상궁、副女官長)
  • 監察尚宮(감찰상궁、女官の言行を監督)
  • 待令尚宮(대령상궁、至密尚宮の一つ。王の左右にいつでもいる)
  • 侍女尚宮(시녀상궁、至密尚宮の一つ。書籍の管理、文の朗読と筆写)
  • 保姆尚宮(보모상궁、王子、王女の教育に当たる保姆内人を監督する。王子と王女の心性に大きい影響を与えると思って厳格に選定した)
  • 本房尚宮(본방상궁、王妃と世子嬪が実家から連れて来た尚宮。王妃と世子嬪の腹心だった)
  • 特別尚宮、承恩尚宮(특별상궁、승은상궁、お手つき。王と同寝したが後宮になることはできなかった女官。「承恩」と言うのは王と同衾したことを意味する)

宮廷女官 チャングムの誓い」における設定

  • 提調尚宮(チェジョサングン、女官長)
  • 最高尚宮(チェゴサングン、各部署の尚宮を束ねる役職)
  • 気味尚宮(キミサングン、毒見役)
  • 訓育尚宮(フニュクサングン、教育係)
  • 監察尚宮(カムチャルサングン、女官の監督役)
  • 醤庫尚宮(チャンゴサングン、醤庫の管理役)
  • 至密尚宮(チミルサングン、王族や側室の身の回りの世話係)
  • 世話尚宮(スバルサングン、尚宮を世話する尚宮、秘書役)
  • 特別尚宮(トゥクピョルサングン、イ・ヨンセン=第41話以降のイ淑媛が該当する)
  • 大妃殿尚宮(テビジョンサングン、皇太后殿尚宮)
  • 東宮殿尚宮(トングンジョンサングン)
  • 餅果房尚宮(ピョングァバンサングン)
  • 後宮殿尚宮(フグンジョンサングン)
  • 生果房尚宮(セングァバンサングン)
  • 中殿尚宮(チュンジョンサングン、皇后殿尚宮)

尚宮の月給

朝鮮の女官は同じ位階の官吏よりも多く手当てが支給された。基本給外に下女の費用、食費と衣装費、ボーナスもあった。尚宮の場合には、基本給と下女の費用を合わせ、米を25斗5升(150リットル余り)の、豆を5斗(約30リットル)、魚110匹(提調尚宮の場合)から、米を10斗5升(60リットル余り)、豆を5斗(約30リットル)、魚60匹程度であった。(「続大典」によると正一品の高級官僚の場合、月あたり米を38斗(230リットル弱)と豆を20斗(約120リットル)支給されていた。)[1]

関連項目

日本の女官制度についての項目

脚注

  1. ^ シン・ミョンホ『宮女』思考社、2004年

外部リンク