支点
構造力学において支点(してん、英語: support)とは、構造物と地盤あるいは構造物と構造物を結合し[1]、構造物を静止させ安定させる支持点のこと[2]。単に支持(しじ)ともいう[3]。
構造物に荷重が作用し、その反作用で支点に発生する力を支点反力(してんはんりょく、英語: reaction[5])という[2]。
支点の種類
[編集]支点には、拘束する変位(発生する反力)によって、3種類に分けられる。
名称 | 模式図 | 略図 | 拘束(反力) | 支点反力 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
鉛直 (V) | 水平 (H) | 回転 (M) | 図 | 数 | |||
可動支点 | あり | なし | なし | 1 | |||
回転支点 | あり | あり | なし | 2 | |||
固定支点 | あり | あり | あり | 3 | |||
中間ヒンジ(軸力部材) | あり | あり | なし | ||||
中間ヒンジ(はり部材) |
可動支点
[編集]可動支点(かどうしてん、英語: movable support)は、鉛直方向の変位だけを拘束し、回転や水平方向に移動が可能な支点である[4]。 移動支点(いどうしてん)[7]、ローラー支点(ローラーしてん、英語: roller support)[8]とも言う。
実際には、回転可能なピンと水平方向の移動が可能なローラーで構成される[7]。
略図では、表1のように、三角形の下に横棒、あるいは三角形と横棒の間にいくつかの○で表される。
回転支点
[編集]回転支点(かいてんしてん)は、水平方向と鉛直方向の変位を拘束し、回転が可能な支点である[4]。 ヒンジ支点(ヒンジしてん、英語: hinged support)とも呼ばれる[9]。
実際には、可動支点から、ローラーを除去し、地盤に固定したものとなっている[10]。
略図では、表1のように、三角形で表される。
固定支点
[編集]固定支点(こていしてん、英語: fixed support)は、水平・鉛直・回転すべての変位を拘束し、どのようにも移動ができない支点である[4]。 固定端(こていたん、英語: fixed end)とも呼ばれる[9]。
実際には、地盤や壁などに直接埋めこまれた状態にある支点となっている[11]。
略図では、表1のように、固定部をハッチングで表す。
中間ヒンジ
[編集]支点(構造物と地盤や構造物と構造物を結語する点)ではないが、構造物を構成する部材同士を結合する装置に、中間ヒンジ(英語: middle hinge)がある[12]。
中間ヒンジは、部材と部材の間に蝶つがいを用いたようなもので、この点で部材は回転する(折れ曲がる)ことが可能となる[12]。よって、中間ヒンジ点では
- 曲げモーメントが伝達されない(中間ヒンジ点周りの曲げモーメント総和がゼロとなる)
- たわみ角が不連続となる
という性質をもつ。
表1のように、実際の形式は、引張力や圧縮力を伝える軸力部材の場合とはり部材では異なるが、略図ではどちらも同じ丸1つで表される。
参考文献
[編集]- 崎本達郎『基礎土木工学シリーズ1 構造力学 [上]』森北出版、1991年。ISBN 4-627-42510-4。
- 吉田俊弥『朝倉土木工学講座2 構造力学』朝倉書店、1967年。ISBN 978-4254264326。
- 西野文雄、長谷川彰夫 著、土木学会 編『新体系土木工学7 構造物の弾性解析』技報堂出版、1983年。ISBN 4-7655-1107-3。
- 二見秀雄『構造力学 改訂版』市ヶ谷出版社、1963年。ISBN 978-4870711013。
- 米田昌弘『構造力学を学ぶ ~基礎編~』森北出版、2003年。ISBN 4-627-46511-4。