一様凸空間

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数学において一様凸空間(いちようとつくうかん、: uniformly convex space)あるいは一様円形空間(uniformly rotund space)は、回帰的バナッハ空間の代表的な例である。一様凸性の概念は、1936年にジェームス・A・クラークソン英語版によって初めて導入された。

定義[編集]

一様凸空間とは、すべての に対して、ある が存在し、, を満たす二つの任意のベクトルに対して

ならば

が成立するようなノルムベクトル空間のことをいう。直感的に、単位球の内側の線分の中心が、その線分が短すぎない限り、単位球のより内側に存在することをいう。

性質[編集]

  • ミルマン=ペティスの定理英語版によると、すべての一様凸バナッハ空間回帰的であるが、その逆は真ではない。
  • が一様凸バナッハ空間において に弱収束する列で を満たすなら、 に強収束する:
  • バナッハ空間 が一様凸であるための必要十分条件は、その双対 一様滑らか英語版であることである。
  • すべての一様凸空間は狭義凸である。

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  • すべてのヒルベルト空間は一様凸である。
  • 一様凸バナッハ空間のすべての閉部分空間は一様凸である。
  • ハンナーの不等式英語版によると、Lp 空間)は一様凸である。
  • は一様凸ではない。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • Clarkson, J. A. (1936). “Uniformly convex spaces”. Trans. Amer. Math. Soc. (American Mathematical Society) 40 (3): 396–414. doi:10.2307/1989630. JSTOR 1989630 .
  • Hanner, O. (1956). “On the uniform convexity of and ”. Ark. Mat. 3: 239–244. doi:10.1007/BF02589410 .
  • Beauzamy, Bernard (1985) [1982]. Introduction to Banach Spaces and their Geometry (Second revised ed.). North-Holland. ISBN 0-444-86416-4 
  • Per Enflo (1972). “Banach spaces which can be given an equivalent uniformly convex norm”. Israel Journal of Mathematics 13 (3–4): 281–288. doi:10.1007/BF02762802. 
  • Lindenstrauss, Joram and Benyamini, Yoav. Geometric nonlinear functional analysis Colloquium publications, 48. American Mathematical Society.