スレーターの条件

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数学において、スレーターの条件(スレーターのじょうけん、: Slater's condition)とは、凸最適化に対して強双対性が成立するための十分条件である。モートン・L・スレーターの名にちなむ[1]。スレーターの条件では、実行可能領域は必ず内点を持つ(下記の技術的な詳細を参照)ということが述べられている。

スレーターの条件は、制約想定の特別な例の一つである。特に、主問題に対してスレーターの条件が成立するなら、双対性のギャップ英語版は 0 であり、双対値が有限であるなら、それは達成される[2]

詳細[編集]

凸函数 に対する問題

を考える(したがって、凸最適化問題である)。このときスレーターの条件は、ある に対して

and
[3]

が成立するなら、強双対性が成立することを意味する(ここで、relint は相対的内部であり、 である)。初めの 個の制限 線型函数であるとき、次を満たす が存在するなら、強双対性は成立する。

and
[3]

一般化不等式[編集]

は凸で、各 に対して -凸であるような問題

を考える。このときスレーターの条件は、次を満たす が存在するなら、強双対性が成立することを意味する[3]

and

参考文献[編集]

  1. ^ Slater, Morton (1950). Lagrange Multipliers Revisited (PDF) (Report). Cowles Commission Discussion Paper No. 403.
  2. ^ Borwein, Jonathan; Lewis, Adrian (2006). Convex Analysis and Nonlinear Optimization: Theory and Examples (2 ed.). Springer. ISBN 978-0-387-29570-1 
  3. ^ a b c Boyd, Stephen; Vandenberghe, Lieven (2004) (pdf). Convex Optimization. Cambridge University Press. ISBN 978-0-521-83378-3. http://www.stanford.edu/~boyd/cvxbook/bv_cvxbook.pdf 2011年10月3日閲覧。