エランギス属

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エランギス属
Aerangis thomsonii
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ラン科 Orchidaceae
亜科 : セッコク亜科 Epidendroideae
: エランギス属 Aerangis
学名
Aerangis
Rchb.f.

本文参照

Aerangis biloba(図版)

エランギス属 Aerangisラン科に所属する植物の群。アングレカム属に近く、長い距のある白い花を咲かせる。

概説

エランギスはアフリカ、マダガスカルを中心に分布する着生のランであり、単軸性で、白くて長い距のある花をつけること、夜間によい香りを発するものが多いことなど、アングレカム属と多くの特徴を共有する。区別は髄柱先端の構造や唇弁の形質などによる。たとえばアングレカムでは唇弁は幅広く、基部は髄柱を抱えるようになるが、エランギスでは唇弁は側花弁などとさほど変わらない。花粉塊はアングレカムでは2個が別個の柄に繋がるが、エランギスでは柄が一つにまとまる。

学名の由来はギリシャ語の aer (空気)と angos (管)を組み合わせたもので、長い距に由来するものと土橋は推定している[1]

特徴

常緑性多年生着生植物[2]。茎は普通は短くて葉を密生し、下部からは根を出して着生する。葉は倒卵形や倒披針形など、先端がやや幅広い形で、革質で先端が小さく割れ、その両側が不均等な大きさになる。

花茎は葉脇から出て、総状、または単独に白い花を着け、花茎はジグザグになりがち。花は白が中心で距にピンクや透明なものがあり、また黄色みを帯びるものもある。髄柱は白だが、赤いものもある。萼片と側花弁はほぼ同型で、披針形からやや楕円形。唇弁は萼片や側花弁より幅広いものが多いがさほどの差はなく、形はほぼ同じで、長い距を持つ。花粉塊は2個で、1つの花粉塊柄につながる。

長い距に蜜を貯め、強い香りを放つランは夜行性を花粉媒介者に選ぶものとされ、この類もそう考えられている[3]

分布と生息環境

アフリカ大陸からマダガスカルに分布。河川流域や森林、サバンナに生育する。樹上に着生するが、希に岩の上に出現するものもある[4]

分類

約50種が知られる[4]

利用

洋ランとして栽培されるが、アングレカムほどは普及していない。略称は Aergs.である。日本に導入されているのは20種ほどである[3]。交配品種も作出されている。栽培はアングレカムとほぼ同様ながら、より空中湿度を求めるという[1]

代表的な種

  • Aerangis
    • A. articulata
    • A. bilova
    • A. cryptodon
    • A. fastuosa ファスツオサ
    • A. friesiorum
    • A. fuscata
    • A. kotschyana
    • A. luteoalba
    • A. modesta

出典

  1. ^ a b 土橋(1993)p.133
  2. ^ 以下、主として唐澤監修(1996),p.20
  3. ^ a b 唐澤(1997)p.146
  4. ^ a b 唐澤監修(1996),p.20

参考文献

  • 唐沢耕司、「エランギス」『朝日百科 植物の世界 9』、1997年p.146
  • 唐澤耕司監修、『蘭 山渓カラー図鑑』(1996)、山と渓谷社
  • 土橋豊、『洋ラン図鑑』、(1993)、光村推古書院