あしたの太陽

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あしたの太陽』(あしたのたいよう)は、シナノ企画1973年に制作・公開した中編劇映画。上映時間:42分22秒。

相次いで両親を亡くした3人の姉弟が、周囲の真心に支えられながら、明るく健気に生きていく姿を謳っていく。

あらすじ[編集]

突然の心臓マヒで父・修三を亡くし、永山三枝子(14)と弟の健一(11)、康二(8)は途方に暮れる。前年に母・君子も病死していた。永山家の茶の間に親戚が集まり、弟たち二人は施設に預かってもらうしかない、と決める。

やがて児童施設の係員が引き取りにやって来るが、姉弟たちは泣きながら「離れたくない」と抵抗する。それを見かねた近所の婦人・今田好子が、保護者を買って出て、3人の面倒をみることになる。

新聞配達をして粗食に耐え、中学校に通う三枝子は、それでも、勉強も運動も優秀な成績をおさめていた。三枝子は、今田好子の娘・和江と一緒に富士鼓笛隊に入って、ファイフ英語版を吹くことになり、鼓笛指導員の青木から厳しくも優しい指導を受け、上達していく。青木は、三枝子の分の折り詰めを作って持参し、昼休みに三枝子と和江に振る舞う。喜んで食べる和江。だが、三枝子はほとんど食べず、弟たちのために持って帰るのだった。

2年がたち、中学を卒業した三枝子は、学校推薦で中小の縫製会社に勤めることになった。始めは慣れない仕事に苦戦し、縫い直しの連続で残業ばかり。ある夜、つい居眠りが出て、ミシンの針を折ってしまう。落胆する三枝子を、今田好子は「どんなことがあっても負けないって誓ったでしょ」と優しく励ます。

決意を新たにした三枝子は、縫製の仕事にも鼓笛の練習にも懸命に取り組み、会社の石山社長からも認められるようになる。

鼓笛隊が団地コンサートを行うと発表され、三枝子は「会社の近くの団地だわ!」と張り切る。一段と練習に励む三枝子。

団地コンサートの当日、日曜日にもかかわらず縫製会社の人たちが沿道に並び、パレードの中に三枝子の演奏する姿を見つけ、大きな声援を送るのだった。

スタッフ[編集]

  • 制作:福島良治
  • 監督:飯塚芳郎
  • 脚本:島藤忠弘
  • 撮影:清水敬之
    • 撮影助手:金沢裕、高橋英彦
  • 録音:佐藤広文
    • 録音助手:政安秀一
  • 照明:森康
    • 照明助手:坂田清、小林繁次、一ノ宮
  • 編集:森弥成(クレジットは「森達也」名義)
  • 音楽:鈴木操
    • 主題歌《あしたの太陽》 作曲:鈴木操、作詞:島藤忠弘
  • 制作補:荻野豊太郎
  • 制作担当:田中秀六
    • 制作進行:黒井克己
  • 助監督:佐野和弘
    • 監督助手:田畑健蔵、島津忠良
  • 記録:島田はる
  • 小道具:装美社、東映美術
  • 美粧:町田博子
  • 衣裳:宮脇かよ子
  • 車輌:酒井良彰
  • 録音所:東京スタジオセンター
  • 現像所:東洋現像所(現・イマジカ

配役[編集]

  • 永山三枝子(16)鼓笛隊員 :篠和江
  • 永山健一 (13)三枝子の弟:石川薫
  • 永山康二 (10) 同上  :木村毅
  • 今田辰男 (45)隣家の主人:増田順二
  • 今田好子 (42)辰男の妻 :町田博子
  • 今田和江 (16)辰男の娘 :勝元宏子
  • 叔父A   (45)三枝子の親戚:鈴木史郎
  • 叔父B   (42) 同上  :伊藤正博
  • 叔母B   (37)叔父Bの妻 :小峰陽子
  • 叔母A   (43)三枝子の親戚:岡崎夏子
  • 保護司A  児童施設の係員 :木元章介
  • 保護司B   同  上   :二本柳敏恵
  • 青 木  (22)鼓笛隊指導員:上杉二美
  • 石 山  (47)縫製会社社長:河野耕司
  • 係 長  (37)三枝子の上司:長嶋寛
  • 相沢俊子 (17)三枝子の同僚:川又すみ子
  • 戸 山  (40)縫製会社女工:三枝陽子
  • 鈴 木  (46) 同 上  :佐藤信子
  • 大 島  (35) 同 上  :石丸ひろみ
  • ナレーター:大港淑子