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RMI-IIOP

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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RMI-IIOP(RMI オーバー IIOP)とは、CORBAシステム上のJava RMIインタフェースを指す。

概要

この標準は、CORBA の利点を保ちつつ、CORBA アプリケーションの開発を単純化するべく作成された。RMI-IIOP は、CORBA 構造体、共用体、シーケンス、配列、文字列などを置換するコンテナとして働く Object by Value の概念に基づいている(CORBAの項目を参照)。IDLは使われていない。代わりに自動的にデータ構造定義を推定し、リフレクション機構で必要なデータを集める。CORBA では転送すべきデータ構造ごとに補助的なクラスを生成する必要があるが、RMI-IIOP ではリモートオブジェクト向けに生成されたコードを使うだけでよい。生成すべきコード量が少ないため、メモリ使用量も減らせる。

CORBA と RMI-IIOP はどちらも通信規格の GIOP を使用している。RMI-IIOP のデータ構造について、必要ならばIDLを生成することも可能で、それを使って、RMI-IIOP と 純粋な CORBA アプリケーションの相互運用を行うことも可能である。

RMI-IIOP の最近のバージョンでは標準のサーバントクラスからサーバントを生成できる。これを使うと CORBA の ORB に手動で接続でき、Portable Object Adapter、Portable Interceptor、CORBA のネーミングサービスなどの各種 CORBA 機能に接続可能である。

Hello world の例

Java RMI-IIOP を実装したパッケージの標準的な名称は javax.rmi.CORBA である。

インタフェース

public interface MyServer extends Remote
{
  // クライアントは self を第一引数に渡す。サーバはクライアント側
  // にあるリモートメソッドを呼び出せる。これは要求処理に時間がかかる場合に
  // 便利である。
  void receiveRequest(MyClient client, String message) throws RemoteException;
}
public interface MyClient extends Remote
{
  // このリモートメソッドはサーバから呼び出される
  void receiveReply(String message) throws RemoteException;
}

クライアントとサーバの機能実装

public class MyServerImpl implements MyServer
{
   void receiveRequest(MyClient client, String message) throws RemoteException
   {
     System.out.println("The client says: "+message);
     client.receiveReply("Yes, "+message+", "+message+", "+message+"...");
   }
}
public class MyClientImpl implements MyClient
{
   MyServer server;
   public MyClientImpl(String Server_IOR, ORB orb)
     throws Exception
   {
     server = (MyServer) PortableRemoteObject.narrow(
                 orb.string_to_object(Server_IOR), MyServer.class);
   }
   // これはリモートメソッド
   void receiveReply(String message) throws RemoteException
   {
     System.out.println("And the answer is: "+message);
   }
   // これはリモートメソッドではなく、ローカルメソッド
   public void talk(String conversation)
   {
      server.receiveRequest(this, conversation);
   }
}

RMI-IIOP 開発ツール(rmic)は上記2つのクラスを使い、リモート側で使われる2つのスタブとサービス側で使われる2つの Tie を生成する。つまり、スタブと Tie のペアがそれぞれクライアント側とサーバ側に置かれる。

サーバ機能開始に必要なコード

       new Thread()
       {
         public void run()
         {
           try
             {
               // CORBA ORB の生成
               MyServerImpl.orb = ORB.init(args, properties);
               // ルート Portable Object Adapter を取得:
               POA rootPOA = POAHelper.narrow
                 (MyServerImpl.orb.resolve_initial_references("RootPOA"));              
               // MyServerImpl にはサーバがサポートしなければならない
               // メソッドの実装が含まれる。
               MyServerImpl impl = new MyServerImpl();
               PortableRemoteObject.exportObject(impl);
               // Tie の構築。Tie はサーバントでもある。
               // _MyServerImpl_Tie クラスは MyServerImpl から自動的に生成される。
               Tie tie = new _MyServerImpl_Tie();
               // この Tie の呼び出しターゲットを設定
               tie.setTarget(impl);
               // 対応する CORBA オブジェクトへの参照を取得:
               org.omg.CORBA.Object object = rootPOA.servant_to_reference((Servant) tie);
               // ルート POA の活性化
               rootPOA.the_POAManager().activate();
               // クライアントに渡す IOR URL を取得
               String Server_IOR = MyServerImpl.orb.object_to_string(object);
               MyServerImpl.orb.run();
               // 文字列変数 Server_IOR の内容をどうにかしてクライアントに
               // 転送しなければならない
             }
           catch (Exception exc)
             {
               exc.printStackTrace();
             }
         }
       }.start();

クライアント機能開始に必要なコード

      MyClient the_client;
      
       new Thread()
       {
         public void run()
         {
           try
             {
               ORB orb = ORB.init(args, parameters);
               the_client = new MyClientImpl(Server_IOR, orb);
               POA rootPOA = POAHelper.narrow(desk.orb.resolve_initial_references("RootPOA"));
               rootPOA.the_POAManager().activate();
               // Tie 構築
               Tie tie = new _MyClientImpl_Tie();
               // 実装クラス(呼び出しターゲット)の設定
               tie.setTarget(the_client);
               // Tie を POA サーバントとして接続
               org.omg.CORBA.Object object = rootPOA.servant_to_reference((Servant) tie);
               // IOR 文字列を使ってWeb上でこのオブジェクトを探すことが可能
               String IOR = desk.orb.object_to_string(object);
               orb.run();
             }
           catch (Exception exc)
             {
               exc.printStackTrace();
             }
         }
       }.start();

ORB スレッドが開始した後で、以下のコードを実行する:

the_client.talk("it is raining");

実行

最初にサーバ、次にクライアントがそれぞれ別のマシン上で開始される(同一マシンの別プロセスでもよい)。サーバは The client says: it is raining と表示する。クライアントは And the answer is: Yes, it is raining, it is raining, it is raining.. と表示する。

ここに示したコードはサン・マイクロシステムズの Java 1.5 と GNU Classpath 0.95 で動作する。

略語利用の法的問題

IIOP という略称はOMGの商標であり、利用には注意が必要である。このプロトコルは GIOP 上にあるため、GIOPを利用しているとした方がよい場合もある。これは間違いではないが、やや正確さを欠く(GIOP の実装は他にも様々存在する)。詳しくはGIOPを参照されたい。

外部リンク