シルバー様希釈遺伝子

Black Silverの馬

シルバー様希釈遺伝子（PMEL17 R618C、英: Silver dapple gene）は、馬の毛色に関連する遺伝子である。エウメラニン（黒色メラニン）を豊富に持つ鹿毛系および青毛系の毛色に作用し、それらを希釈する作用を持つ。

この遺伝子を持つ馬種は少なく、アラブ種やサラブレッドといった軽種には見られない。シェトランドポニー、アメリカンサドルブレッド、アメリカンクォーターホースなどいくつかの品種に限定し見いだされる。

この遺伝子による毛色の特徴

Black Silver（尾花青毛）

原色毛は青毛である。亜麻色ないし灰色の長毛と、黒っぽい馬体が特徴。黒い馬体に銀髪の鬣、距毛、尻尾が生え、非常に目立つ。馬体は真っ黒なこともあれば、銀色の雑斑が全身にみられることもある。

Bay Silver（尾花鹿毛）

原色毛は鹿毛ないし黒鹿毛、青鹿毛である。見た目は尾花栗毛に似る。下肢は鹿毛と同様黒いが、銀色の斑が多数入る。原色毛が黒鹿毛、青鹿毛の場合、Black Silverと似た雑斑が表われることがある。

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  Bay Silver
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  Bay Silver
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  Bay Silverの脚
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  Black Silver

希釈の効果

希釈効果が発生する詳細なメカニズムは不明だが、優性遺伝により伝わり、その希釈の強さはヘテロでもホモでも変化しない。このシルバー様希釈遺伝子（別名SILV）の実体は、メラノソームでエウメラニンの合成に関与するPMEL17という遺伝子のR618C変異型である。

シルバー様希釈遺伝子による希釈の効果は、エウメラニン（黒色メラニン）に限定され、フェオメラニンに影響しない。このため、希釈効果はエウメラニンを豊富に持つ鹿毛系（河原毛を含む）、青毛系の毛色に限られる。長毛は強力に希釈され銀髪になるほか、馬体にも雑斑が出ることがある。

一方で、栗毛、月毛、佐目毛、芦毛など、フェオメラニンが豊富な毛色や、別の希釈遺伝子を持つ場合は、シルバー様希釈遺伝子の作用が表われない。

原色毛	鹿毛	黒鹿毛	青鹿毛	青毛	河原毛	栗毛	月毛	芦毛	佐目毛
実際の毛色	Bay Silver			Black Silver	Buckskin Silver	原色毛と同じ

参考文献

• Brunberg E, Andersson L, Cothran G, Sandberg K, Mikko S, Lindgren G (2006). “A missense mutation in PMEL17 is associated with the Silver coat color in the horse”. BMC Genet. 7: 46. doi:10.1186/1471-2156-7-46. PMC 1617113. PMID 17029645. http://www.biomedcentral.com/1471-2156/7/46. 

関連項目

• 尾花栗毛 - 同様に明るい長毛を持つ毛色だが、直接の関連はない。