アーサー・ハロウ

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アーサー・ハロウArthur Harrow)は、マーベル・コミックより出版されるコミック作品に登場する架空のキャラクターである。1985年4月にアラン・ゼレネッツクリス・ワーナーによって創造され、『ムーンナイト』vol. 2第19号でデビューした。

アーサー・ハロウ
出版の情報
出版者マーベル・コミック
初登場ムーンナイト』vol. 2第19号(1985年4月)
クリエイターアラン・ゼレネッツ
クリス・ワーナー
作中の情報
フルネームアーサー・マイルズ・ハロウ(Arthur Miles Harrow)
所属チームディサイプルズ・オブ・アメミット
O.M.N.I.U.M.
マスターズ・オブ・イービル
シニスター・シックス
ザ・ハンド
マッジア
エミッサリーズ・オブ・イービル
デリンクエンズ
リーサル・レジオン
カースド・レジオン。
能力才能豊かな外科医兼科学者

発行履歴[編集]

キャラクター経歴[編集]

その他のバージョン[編集]

MCU版[編集]

マーベル・シネマティック・ユニバース』(MCU)の『ムーンナイト』では、イーサン・ホークが演じた。日本語吹替は咲野俊介が担当。

キャラクター像[編集]

古代エジプトに伝わる死者を食らう女神アメミットを信奉するカルト集団を率いる説教師。具体的な経緯は言及されきっていないが、過去にはコンスのアバターとして彼に命じられるままに悪党を制裁していた。だが自分を忠実な手駒として扱う偽善的なコンスと決別し、やがて悪事が起こるまえにその根源を絶やすアメミットを信奉するようになると、コンスに仕えた過去への贖罪として、水を飲み干した後のガラスのコップを砕いて、その破片を詰めたサンダルを履くという自分自身への苦行を何時も課すようになった。そして現在において、ロンドン市内の一角で慈善事業を行いながら自身の信奉者を増やし、すべての悪を浄化を目論むアメミットの復活のための準備を着々と進めてきた。

なだめるような口調と振る舞いで多くの信奉者から尊敬と献身を集め、コンスのアバターという同じ問題を抱えるマーク・スペクター/ムーンナイトにも共感を見せる慈悲深さや[注釈 1]スティーヴン・グラントに彼と同様のヴィーガンであると称して、レンズ豆のスープを自らご馳走する親しみやすさも感じ取れる中年男性だが[注釈 2]アメミットのスカラベを持つスティーヴンを捕まえようとした際や、アメミットの墓の発掘の完遂が近づきつつある際には信奉者らへ檄を飛ばしたり、レイラ・エル=フーリーに「目を覚ませ!」と叫ぶ姿も見せ、潜在的な悪が存在しない世界の創造という思想を掲げつつも、コンスのアバターだった頃に悪党の制裁を楽しんでいたと告げたり、後述の“天秤の裁定”で悪人と示された人物や自身の目論見に反対する敵対者の命を躊躇いなく奪うほか、博物館でスティーヴンに「スカラベを渡さなければ八つ裂きにする」と館内放送で警告するなど、善良とは言えない凶暴性も秘めた人物である。

そして、機が熟したとしてアメミットの復活のための活動に信奉者らと乗り出し、その最中に接触したスティーヴン及びマークやレイラと敵対する。

能力[編集]

英語のほかにも北京語を話す言語力、説教師として多くの信奉者に支持されるだけでなく、“エネアド”に属する神々すらも説き伏せるほどのカリスマ性や人心掌握術も発揮し、過去にコンスのアバターとして活動していたこともあって近接戦闘能力に関しても確かなものを持つ。

アメミットのアバターとなった際には、“アメミットの杖”の力もあってマーク及びスティーヴンや、タウエレトのアバターとなったレイラ/スカーレット・スカラベとも激しい格闘戦を繰り広げるほどの実力を見せた。

アイテム[編集]

アメミットの杖(Staff of Ammit)
ハロウが常時携行・愛用している遺物であり、彼曰く「アメミットの力の一端が宿っている」。具体的な入手経路は描写されていない。アメミットの力の一端を行使する際には、一対のワニの頭の形に象られている持ち手が紫色に妖しく光る。
これを両腕の間に下げられた人物は、アメミットが善悪を見分ける“天秤の裁定”にかけられ、右前腕の内側にワニのような頭が描かれた黒い天秤のタトゥーが浮かび上がり、タトゥーが緑色に変色すると善人と認められるが、悪人と見なされるとタトゥーが赤に変色してミイラのように変貌しつつ命を奪われてしまう。また、裁定にかけた人物の心と記憶を読むこともできる様子である。
このほかにも、地面を突いてコプト語で呪文を唱えると、紫色に光って溶け落ちた地面からのジャッカル召喚や、別の呪文を唱えて杖本体から放つ衝撃波放出もでき、ハロウがアメミットの“ウシャブティ”を手に入れると、持ち手の片側がのような小さな刃へ変化して、半径10m内に存在する任意の人物に天秤の裁定をかけられるようになったほか、この力を他者へ付与する呪文、ギザの大ピラミッドの外壁の展開も可能となった。
ハロウはこの杖を多くの場面で駆使し、マーク/ムーンナイトとの決戦でも相手を追い詰めたが、身体の主導権を一時的に取り上げて表出したジェイク・ロックリーに奪われて形成逆転負けしている。

このほかにも、マークに致命傷を負わされた信奉者の一人が携えていたウェブリー Mk VI リボルバーを抜き取って、マークを一時射殺している。

描写[編集]

ムーンナイト』第1〜4、6話
アルプスの麓の村で、天秤の裁定による判決式を村人の壮年男性と老婆に行い、前者は善人、後者は将来悪事を働くと運命にあるとして生命を奪うと、その場に逃げ込んでいたスティーヴンにスカラベを返すよう迫るが、困惑する彼に抵抗された挙句に複数の信奉者を倒されて逃走を許した。
それから3日が経つと、通勤中のスティーヴンが目にした車窓の向こうに姿を見せつけた後に彼の職場の博物館に信奉者らと共に現れ、スティーヴンに再びスカラベを返すよう要求しつつ、自身らが崇めるアメミットに関して話すとスティーヴンに裁定を行い、「混沌を抱えている」と見做して彼を見逃すが、同日の夜にはジャッカルを1体召喚し、仕事を終えたスティーヴンを襲撃させた。しかし表に出たマークにジャッカルを倒されて、スカラベの奪取は失敗に終わった。
そこで次の日の夜に、ボビービリーにスティーヴンを自身らの拠点に連れて来させ、彼を再度懐柔させてスカラベを奪取するために、友好的に接しながら自身らの目的や、かつて自分をアバターとしていたコンスの正義よりもアメミットの理念こそ悪の根絶に必要であると伝えるが、スティーヴンには賛同されず、そこに駆けつけたレイラがスカラベを持っていると知ると、痺れを切らして2体目のジャッカルを召喚。スティーヴンたちに襲い掛からせた結果、2体目のジャッカルも倒されたが、表に出たマークが落としたスカラベを拾った人物に“裁定”を行って生命を奪いつつ、スカラベの奪取に成功した。

その他のメディア[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 軽蔑し恨んでいるコンスが“エネアド”に封印されることを察する場面では、このことを何処か悲しんでいるように見えた。
  2. ^ レイラ・エル=フーリーからは、「他人を見下している」と評された。

参考[編集]