Wikipedia:査読依頼/ウサルファ語 20161127

ウサルファ語 - ノート[編集]

 きっかけは自薦でございますが、10月の新着記事に選出頂きました。より充実した内容とすべくこの度加筆を行いましたが、ここで一度査読を依頼し更なる質の改善を図りたいと存じます。皆様には主に、

  • 典拠自体の妥当性について
  • 典拠の用い方の妥当性について
  • 文章の分かりやすさについて(難解または稚拙ではないか)
  • 構成の是非について
  • 不足している、あるいは記述のある事が望ましい要素

以上の点に関してご批評やご指摘を伺いたいと考えております。無論、これ以外の要素についてのご意見もお待ちしております。

 余談1: なお、#動詞節にあるdirは調べ損なってしまった箇所でございます。諸々の文法要素に関する説明は、後の研究史節への伏線も兼ねているのですが、dirについては特にその様な役割は見られません。よってこの箇所が不明である事による全体への影響はさほど大きくはないと考えておりますが、一箇所でも不明瞭な点を抱えたままの記事が良質であるとの評価を受ける訳が無いので、早いうちに修正を行いたい構えでございます。内容の分かりやすさや不足している要素に関しての疑問のご指摘は、よろしければこれ以外の点についてお願い申し上げます。

 余談2: また、典拠は全て日本の大学図書館もしくはネット上にて確認可能なものでございます。--Eryk Kij会話2016年11月27日 (日) 08:23 (UTC)[返信]

【査読】 ──専門家の方による審査結果。
該当の言語についてはまったくもってくわしくないのですが,いちおう言語学専門ということで査読に入れておきますが,レビューのレベルは低いのでその点ご容赦ください。
ご参照なさった幾つかの文献をたよりに拝読したかぎり,Beeのむずかしい記述によく立ち向かわれ,まとめられたことと思いますが,文献の読み取り不足および説明の不足を補う必要があると思います。以下ご参考になさってください。
「音韻論」
音素については,Bee and Glasgow (1962/73)のみ参照していますが,実現形などの記述はBee (1965/73)にくわしく,そちらも参照すべきかと思います。また,両者には小異もあるように思われます(なんでちがうのかはっきりと書かれておらず,読解に苦労するところですが……)。
アクセントについて,Bee and Glasgow (1962/73)が何例を挙げているかはあまり問題ではなく,どういうように分けていて,どのような語があるのか例示しつつエリック・キィさんのことばで説明すべきではないでしょうか。
形態音韻論を音韻論の枠内で論じることには(内容から言っても)いろいろ異見もあろうとは思うのですが,ひとまず措いて,たとえば母音クラスのばあい,「後続が子音pやkである場合、それぞれ[b]、[g]に変化させる。」とありますが,母音クラスがどういうものか説明がまずなく,したがって後続という概念がなんなのか分りません。後接する形態素の先頭の音素ということか?とは想像しますが,不確かです。Bee (1965/73)を見ると,クラスの決定は形態素内の要素によってではなく,形態の変化によって判断されるようで,その点を明記すべきです。また,声調クラスについても,不用意に1,2とのみ示しており,1や2というのがなんなのか説明がありません。あくまでこれはクラスの番号なのであって,クラスの本質の説明ではないことをご留意ください。なお,この小節ではBee (1965/73: 230–31)のみを参照なさってますが,Section 9からも説明を増補すべきところのように思われます。
「文法」
「ウサルファ語の形態素は全て拘束形態素と見做すことが可能である」とありますが,なぜ見做せるのか説明すべきです。Bee (1965/73)では,形態素は語幹・接辞・助詞があり,語幹には接辞がつくことで統語論的機能を果たすようになるとありますので,そこまで云われれば言語学を学んだ人には理解ができるようになります。そうしてはじめて,語形成の問題(承接の順序など),語幹や接辞,助詞の機能がどんなものであるのか問うことができます(なお独立代名詞はどう扱うのかなどといった理論的な問題もあり,諸説の整理が必要かと思います)。
接辞についても,接辞の種類の概説をせずに,いきなり法の接辞・人称接辞とするのはよくありません。これで全部なのかも分りませんし,法の接辞と人称接辞の関係性も分りません。なお,グロスの書き方ですが,一般的には
例文
語ないし形態素レベルの意味の説明
訳文
というのがふつうで,必要によっては,例文の下に形態音韻論的変化を被るまえの形態素レベルの分析結果を示すことがあります。
こまかいところに入るのは,この語について知らないわたしには荷が重いので勘弁させていただきますが,説明のしかたの問題で,人称接辞の概説のところに「その上3種類のαを除き、残り9種類のパターンは全て互いに異なっている。」というような文がありますが,うしろに「たとえば,〜」と続くから必要ないとお考えになったのかもしれませんが,「9種類のパターンのなにがすべて異っているのか」記載がなく,読みにくくなってしまう文が少なからずあります。注意なさるとよいと思います。
統語論に関しても,まずは概要を示してからくわしく述べてください。いきなり所有のはなしになるのは順番が違います。
「研究史」
雑多に挙げておきますが,Beeの系統分類が疑わしくなったのは崎山 (1987)の見解ですか,それともBee自身のものでしょうか。崎山 (1987)のであれば,なぜ崎山 (1987)が疑うのか一言添えておくべきです。日本語との同系説について,大野 (1974)による類似点が挙がっていますが,そのなかには文法概説などにないことがあり,この点本体のほうを補っていただかないと判断のしようがなく困ってしまいますので,大野 (1974)の挙げた点は恣意的なものとは思いますが,増補なさるとよいと思います。
全般
全般的に,具体的な説明を尽くすまえにほかの情報を入れてしまう傾向があります。たとえば,冒頭,ウサルファ語そのものの特徴に関する説明がもうすこしあるべきですが,第二文で外的要素の説明が来てしまっています。そのほかのところでも,比較や外的要素は後に来るべき内容が多いように感じました。『言語学大辞典』の大小さまざまな項目を眺めて,情報として足りない部分がなにかご検討なさるとよいかと思いました。
以上,僭越ながら愚見を申し上げました。妄言の多いことと思いますがご容赦ください。 Kzhr会話2016年12月2日 (金) 07:29 (UTC)[返信]
返信 (Kzhrさん宛) ご査読ならびにご指摘下さりありがとうございます。正式に言語学を履修した経験が無い上、可能な限り綿密に書いたつもりでも作成動機の根底が興味本位であった以上、多かれ少なかれ必ずどこかに粗があるであろうとは覚悟しておりました。このように問題点を具体的に挙げて頂けると、大いに励みとなります。ご指摘頂いた点を「全般」を除いて全てまとめますと、以下の様になるでしょうか。
  • 音-1: Bee (1965/73) 中の実現形などについての記述も盛り込むべきである。
  • 音-2: アクセントの具体例は説明されて然るべきである。
  • 音-3: 「クラス」に関して以下の様な要素が理解・説明不足であるため、まず理解した上で補足を行うべきである: 「クラス」決定の根拠について; 「後続」とは何か; 「1」や「2」の詳しい説明は
  • 音-4: Section 9も参考とすべきである。
  • 文-1: 「全て拘束形態素」の意味が分かりやすくなる説明を行うべきである。
  • 文-2: 独立代名詞などの位置づけを整理すべきである。
  • 文-3: 接辞に関しての概要などが足りない為、補足を行うべきである。
  • 文-4: グロスの書式は一般的なものに書き換えた方が望ましい。
  • 文-5: 特に人称接辞のパターンの下りの説明の仕方が貧弱で読みにくい。
  • 文-6: 統語論の概要を追加すべきである。
  • 研-1: 崎山(1987)を典拠としている記述の視点が不明瞭であるので明らかにすべきである。
  • 研-2: 大野(1974)で挙げられた要素中、上の音韻論節や文法節で述べられていない要素があるのでこれらの節に説明を追加すべきである。
ほぼ全てごもっともであると存じます。このうちすぐに着手可能であるもの(文-1、文-3、文-4)やかねて問題意識を抱いていた点(音-2、研-1)については改善を試みました([1])。音-2と研-1は当初自身の言葉で書き記す自信が無く、下手に手を出した結果丸写しであると判断されて著作権侵害で摘発される事を恐れておりました。しかし、この度ご指摘頂いたことで漸く決心がつきました。大変感謝致します。
 研-2につきましてはお手数をお掛け致しますが、より具体的に不明瞭な要素をご指摘頂けるとありがたいです。「後置詞」についてでしたら、既に出典の合成とならないように配慮を行いつつ加筆致しております。残りの課題につきましても、漸次取り組んでいきたい所存です。--Eryk Kij会話2016年12月2日 (金) 18:11 (UTC)[返信]
コメント 追記 文-5につきましても語句を補う事で改善を図りました([2])。説明の込み入り具合自体は解消しませんが、この処置によって少しでも読みやすくなればと存じます。--Eryk Kij会話2016年12月3日 (土) 10:55 (UTC)[返信]
加筆おつかれさまです。指摘した点をまとめていただいたものについて,コメントしておくと,
  • 音-3: 後続云々というのはわたしのクラスの理解の問題であって,Beeがそういっているというわけではありません。まぎらわしく申し訳ありません。
  • 文-2: 独立代名詞の位置づけに関してはFoleyを参照しつつ行われているわけですが,そうすると,Beeが自由形態素を認めていないのと対立します。その辺の見解を単純に併置するのは混乱を招くというはなしです。
  • 文-5: ここも全般にしてしまってもよかったのですが,貧弱といいたいのではなく,説明の順序は冗長なくらいがちょうどいいという文章論です。
そのうえで,対応内容についてコメントすると,
  • 音-2: Beeを見ずに書いていますが,3*2なので6通りになるのでは? どれか使えない組み合わせがあるんでしょうか?
  • 文-1: 語幹(名詞・動詞)・接辞・助詞はおのおの独立して使われないということまで述べてはじめて,「ほとんどが拘束形態素である」ということが分ります。語幹とされるものは,それじたいで用法を持つことがあります(cf. 古代日本語形容詞)。
  • 文-3: Beeの記述のバランスを見ながら,形態論のバランスをもうちょっと取ったほうがよいというのも一方ではお願いしたいのですが,接辞概説に関しては読者が理解できるようになったと思います。なお,WALSを参照していますが,WALSではBeeを主な出典にしており,WALSを特別参照する必然性が分りません。また,「接尾辞がつく割合の方が比較的大きい」というのは,なにをみたものでしょうか?
  • 文-4: 一般的なグロスについては,Leipzig Glossing Rulesをご覧ください。
  • 文-5: たいへん分かりやすくなりました。
  • 研-1: 具体的になりましてたいへんよくなったと思います。
  • 研-2: たとえば,語順などの説明がないようなことを申し上げました。
ひとまずお返事まで。 Kzhr会話2016年12月5日 (月) 17:47 (UTC)[返信]
報告 音-3についての改善を図りました([3])。この形態音韻論の箇所は、初版においては後ろの節に存在する例の意味が不明とならないようにする取り敢えずの予防線程度の認識でございました。例に登場するV、N、Qや1、2が一体何の事であるのか、読者視点で何となく分かるようにしておこうという意識ではありましたが、典拠から読み取り得る説明は可能な限り尽くすべきでございますね。真の意味での親切設計からは程遠かったかも知れません。
 以下、Kzhrさんの疑問点等についてそれぞれ返信させて頂きます。
  • 音-2: 、とされているのでアクセントについての件でよろしいでしょうか。これは三種類の声調と強勢の有無とのダイアグラム的な組み合わせ、という意味ではないという理解でございます。取り敢えずMcKaughan (1973) 所収のBee & Glasgow (1962) の具体例五つを全て引用致しましたが、これらの貴重な実例を通して声調と強勢とが複雑に絡み合っているという論旨をお伝えしたかったのです。
  • 文-1: Bee (1973) について、私は非常に重要な点を見落としていた模様です。特に「統語論的」の箇所を、です。実を申し上げますと助詞(不変化詞)の扱いについてもまだ理解するに至っておりません。もう一度振り返って読み直す事と致したい所存です。
  • 文-3:
    • バランスについて: 確かに、現状の記事では一部要素しか網羅されていないですね。これは時制・相などについても、もう少し詳しく具体例を交えて記した方がよろしいかも知れませんね。
    • 注について: そちらの注は、こちらのページの26Aをご覧頂きたいという意図を込めたものでございます。この要素の典拠はBee (1973): passimとされていますが、そのままこれを転用すると曖昧で読者視点「結局具体的にこの典拠のどこをどの様に見れば分かるのですか」、「(十分に素性の知れない)記事の執筆者が資料を(無論悪い意味で)恣意的に解釈しているだけではないのですか」となる事を恐れました。それよりは、WALS Onlineという言語学を専門としている方々が資料を読んである一定の判断を下した痕跡が刻まれているサイトを参照先とした方が、私が読者であれば「ちゃんとした言語学者の見識に基づいているんだ」と納得する事ができると判断致しました。私は出典の利用の仕方に関する制約は非常に厳格なものであると捉えており、直接言及されていない事を書いたら独自研究に当たるので避けねばならないのでは、と漠然と考えております。よって、慎重に信頼できる第三者による言及を選んだつもりでございました。一方で著作権の尊重もこれまた厳格な義務であると考えており、他言語で記された文献の必要最低限の箇所を典拠とするにしても、直訳して組み込む事は著作権侵害に当たると考えている節がございます。典拠を理解し要旨を汲んだ上で、文意を変えずに自身の言葉に換言したものを記事に反映する。編集を行う際は虎の尾を踏まぬように身をよじって進みつつ、必要に迫られて何本かある延長コードを重ならないように配置を行っている感覚でございます。
  • 文-4: ご教示下さりありがとうございます。実を申し上げますと、そちらのサイトは既に参照致しております。一般的な書式からすると蛇足な要素をつけている点は気になるとは思われますが、ここが百科事典であるという事を踏まえ、あまり言語学に馴染みの無い方が見ても各行が何を表しているのか一目で分かる表示にしようと考え、敢えてあの様な形に致しました。
  • 文-5: ご評価頂きありがとうございます。文章のあり方についてのそうした認識は、私には全くもって欠けているところであると存じます。説明の仕方について私は端的過ぎるという指摘を多々受けているにもかかわらず、むしろ無駄がないのが良い事であると思い込んできたのです。そうではなく、「冗長なくらい」を心掛けるのがむしろ望ましいのですね。ところでこの箇所なのですが、最初に加筆を行った版からBee (1973:254) の説明内容をより分かり易くまとめようとして自身が一連の表を見て判断した事を盛り込むなど、かなり大胆な事をしてしまったと振り返っております。研究者であればそれで全く問題は無いものと思われますが、Wikipediaの編集者としては出典の利用の仕方等の観点からもう少し謙虚さが求められるやも知れません。思えば上の文-3で述べた独自研究についての姿勢とも矛盾し完全にダブルスタンダードでございますが、問題は無いでしょうか。
  • 研-1: ありがとうございます。実を申し上げますと崎山(1987)で述べられているビーの再構の試みの典拠までは未確認で、現状では孫引きが含まれていると推定される状態でございます。巻末にいくつか参考資料はリストされているのですが、オーストロネシア諸語が専門の崎山氏は直接の出典を明示されていない上、実はその中ではなくMcKaughan(1973)にも収められている65年の"Comparative and historical problems in East New Guinea highland languages"が出典と思われます。その11ページ目には〈耳〉の再構形が7つの現存言語と共に示されており、ほぼこれで間違いないと思われます。ただその形は*ä-Q-ra-Nで先頭要素の表記が崎山(1987)と異なっている上に先述の通り崎山氏が直接典拠を示されていない以上は、加筆を行うにしても補足を設ける等の一工夫が必要となる見通しでございます。
  • 研-2: 語順につきましては、「統語論」節にて既に説明済みという認識でございました。もう少し説明を加えた方がよろしいのやも知れません。--Eryk Kij会話2016年12月6日 (火) 19:01 (UTC)[返信]
コメント 追記 丁度良い典拠を見つけました為、手薄であった導入部とついでに研究史節にも加筆を行いました([4])。上では本筋から脱線気味の駄文を長々と書き連ねてしまい、失礼致しました。--Eryk Kij会話2016年12月7日 (水) 09:13 (UTC)[返信]

インデントが深くなってきたのでいちどリセットします。

  • 音-2: おっしゃるとおり,アクセントとトーンの件です。いまてもとに文献がないので確認できないのですが,声調が強勢を支配するのであれば,この節はアクセントとするのではなく(声調はアクセントの下位概念ではないので),音調――早田1999に倣う恰好で――としておいたほうが無難なように思います
  • 文-3: WALSの26Aということであれば,26Aを指示すべきです。出典範囲を明記していないのと変わらなくなってしまいます。26Aだとしても,「割合が多い」といってよいのかは検討の余地があります。これだけでは,なにを問題にして比較しているのか分からないからです。26Aに関する解説を読むと,これは,WALSで接頭辞・接尾辞の優勢度を比較した5枚の地図をもとに,どちらが多いか検討したものだということがわかります。となると,これは,頻度や語数などにおける接頭辞・接尾辞の割合に関してなんらかの示唆はするものの,その言語全体を精査して多寡を論じたものではないので(5枚で接辞の性質が尽くせているのかという問題もあり),「割合が多い」という言い方をすべきではなく,「傾向がある」という問題のように思われますが,いかがでしょうか。
  • 文-4: 各行に説明を附すのはまあよいとしても,グロスの書式が形態素分析と一致していないのは問題です。順序としても,音韻的表記・形態素分析・形態素グロス・翻訳の順序になるのではないでしょうか(プロジェクト:言語学でいえば,例(3)です)。
  • 文-5: これは文章指導をしてきた経験からの個人的な意見ですが,いきなり粗漏なく簡潔に書くのは難しいので,まずは冗長でもいいので十全な説明を期しつつ,必要に応じて削っていくほうがすぐれた文章が得られます。また,簡潔さを求めすぎると,広い内容を一言にまとめるようなことともなって出典を示すのが難しくなり,独自研究に近くもなるかと思います。表を見て分かることであれば,検証も容易かと思いますし,表を作るほうもそのつもりだろうと思うので,程度問題ではありますが,一般的にはいいんじゃないでしょうか。
  • 研-1: これに関しては,崎山1987が適切な検討を行っているかどうかはウィキペディアとして示す必要はとくにないので,崎山1987の説明と彼自身の提示する根拠さえ出典とともに書いておけばいいことだろうと思います。

とりいそぎお返事まで。 Kzhr会話2016年12月12日 (月) 02:40 (UTC)[返信]

報告 これまでにご指摘頂いていた複数の点について更に加筆、補足致しました([5])。内訳は音-2(「アクセント」を「音調」に置き換え)、音-4(形態音韻論のうちの例外的な現象を断片的に追加)、文-1(「全て拘束形態素である」旨の説得力を強化)、文-2(「独立代名詞」の詳細を整理および加筆)、文-3(時制・相の接辞追加、WALS参照方式の具体化)、文-4(グロスの書式を変更)、その他(dir = directionalである事を確認し「方向」と変換、英語のmanの多義性を反映)となります。以下はKzhrさんへの返信ならびに今回の変更内容に関して私自身が抱えている雑感や疑問点等となります。
  • 音-2: 音韻論について自身は不案内であるという自覚がございますので、直ちにご指摘の通り差し替えを行いました。またもや脱線気味となる上非常に見苦しいと思われますが、なぜ「アクセント」という語を選択したかについて以下に弁明させて頂きます。
 要約致しますと、他に学んだ事のある語学教材から強く影響を受けていた為でございます。その言語とはリトアニア語であるのですが、この言語の場合櫻井映子氏が「音調あるいは声調(トーン)とよばれる音節内での音の高低に、音の強弱、長短、さらに母音の質がかかわってい」るとされていて[1]、更にアクセントの位置も固定されていません。しかし移動にはある程度規則性が見られ、それをいくつかの型に分けて捉える慣習も存在しており[2]、そのパターンを村田郁夫氏はその著作において「アクセント・タイプ」と呼称されているのです[3]。いずれもバルト語という言語学の一部門を専門とされている方々ですので、そうした用語の運用の仕方も信頼に値すると判断しておりました。今回のウサルファ語につきましても「強勢の位置は固定されていないが一箇所のみに現れる」上に「強勢のみならず声調も見られる」、「その声調自体にも複数の種類が存在する」といった部分部分の特徴がリトアニア語を髣髴とさせるものであった為、現象全体を包括する用語としてリトアニア語の場合同様に「アクセント」を適用しても支障は無いであろうと判断してしまった次第です。振り返りますとウィキペディアにおいて排除されるべき独自研究を無意識の内に行っていた恐れもあるのですが、更に恥ずべきであるのはこの文を書いているうちに漸く原書におけるセクション名を十分に確認していなかった事に気付いた点でございます。本文中には確実にstressという単語が用いられていますが、仮にセクション名にもstressが含まれていた場合、stressが強勢位置の移動という現象までをも包括する用語であると読み違えた可能性がございます。
 記事は既に修正済みでございますが、私自身はいずれにしろお薦め頂いた早田(1999)を吸収する等して、用語の階層性についての基本的な理解から整理し直す事と致したい所存です。お目汚し失礼致しました。
  • 音-4: 取り敢えず今回は文法節の例文において既に表れている(niがtiに、参照: #句)、あるいは表れている可能性がある(参照: #時制・相の接辞)、対象言語の形態音韻体系の中でも例外的と位置付けられている要素のみ断片的に抜き出して添えておくのみに留まりました。もう少し読み手にとって形態音韻的な側面の全体像や主軸を把握する事が容易な内容としていきたい所存です。
  • 文-1: 漸く資料の再確認ができましたので、かねて指摘頂いていた拘束形態素である事を裏付けるための説明の不足分を補足致しました。
  • 文-2: Bee (1973) をもう一度探しましたところ、Foleyが示していたindependent pronoun systemの表に近いものを発見致しました。但しビーが用いていた呼称は"kernel (pronoun) matrix"というものでした。やはり「形態素は語レベルにおいても句レベルにおいても全て拘束形態素と見做し得る」としているビーが不用意にindependentやfreeの語を用いる筈はございませんでした。取り敢えずビーの主張内容を盛り込み、Foleyの捉え方がそれとどの様な点で異なっているかが分かるように整理を行った上で節名を「代名詞」に変更致しました。
  • 文-3: ありがとうございます。参照方法につきましてはご指摘を頂くまで完全に「これで誰でも分かるだろう」と高をくくっておりました。独り善がりとは何とも恐ろしいものでございます。この様なところがありますので、今回ご査読頂いた事は非常に幸せでありがたい限りでございます。表現につきましては慎重に言葉を選んだつもりでしたが、それでも思慮が足りない程でございましたね。Chapter 26では時制・相の接尾辞の種類が一種類のみの言語も多岐にわたる言語も同列に扱っている旨が見られますので、読み手には、そしてとりわけ読み手が書き手となる際にはより一層の高度なリテラシーが求められている事を痛感致しました。話は変わりますが、バランス考慮という事で時制・相の接辞についても加筆致しました。
  • 文-4: ご納得頂けていない模様でしたので再度手を加えました。プロジェクトページをもう一度確認するまで、出典の書式を崩しても良いのか勝手に悩んでいた事がいつまで経っても改善しない主原因でございました。取り敢えずビーの略語表記法は無視して極力ライプツィヒの書式に則ろうと致しましたが、略語表記が指定されていないものも一部存在し、困りかけました。そこで下記のような様々な実例を確認して検討した結果、aoristにつきましてはAOR、present continuousにつきましては簡潔な表記であるPRC、stativeにつきましてはSTATをそれぞれ使用する事と致しました。
aorist
AOR
continuous
CNT
CNTおよびCONT
present continuous
PRC
stative
STAT
また「(場所)」は原書においてはlocationalであったりlocativeであったりと呼称が安定しないのですが、取り敢えずLOCを適用致しました。問題無いでしょうか。一方「(nominal)」は下手に手を出すと主格(nominative)と誤解される恐れもある為そのままの形となっております。Sherri Brainard (1994). "Voice and ergativity in Karao." In Talmy Givón (ed.) Voice and Inversion, p. 400. John Benjamins. ISBN 90 272 2918 Xの様にnominal markerをNMとしている例も見られますが、これに倣った方がよろしいでしょうか。ちなみにビーはグロスにおいて形態素そのままのmaとして表しています。
 なお、グロスにつきましてはもう一点悩んでいる事がございます。折角一部の例では形態素分析、形態素グロス、訳と揃っているので全てその形式に揃える事ができれば望ましいであろうとは考えるのですが、典拠によっては形態素分析が示されていないものもございます。こうした場合、仮に自身の手で形態素分析を補えそうに見えるものがあったとしても、ウィキペディアの編集者としては手を出さない方が吉であるのでしょうか。
  • 文-5と研-1につきましては承知致しました。自身では最大限の努力を払っているつもりであっても、実はその方向性が最初から根本的にずれていたという事が多々ございます故、ひとまず安心致しました。ありがとうございます。--Eryk Kij会話2016年12月14日 (水) 16:27 (UTC)[返信]

脚注

  1. ^ 櫻井映子『ニューエクスプレス リトアニア語(CD付)』白水社、2007年、17頁。ISBN 978-4-560-06787-1
  2. ^ たとえばリトアニア語によるリトアニア語辞書に見られる(1)から(4)の記号などから窺う事が可能です。
  3. ^ 村田郁夫 編『リトアニア語基礎一五〇〇語』大学書林、2003年、105頁。ISBN 4-475-01112-4
報告 音-3および音-4(形態音韻論についてSection 9の記述より増補)、また人称接辞の間に見られる差異について加筆致しました([6])。
 なおBee & Glasgow (1962) を改めて確認致しましたが、セクション名はConditioning of Stressとなっていました。やはり生半可な知識のせいでstressを現象全体を指す語であると読み取り、そこから更に『節名は「強勢」ではなく「アクセント」とすれば声調についても包括する事が可能となる』という思考が働いたのです。
 ところでグロス関連につきましては、ウィキペディアにおいてどこまで典拠に直接記されていない要素を補っても許容されるかが不明瞭である為、記事への反映に関して非常に及び腰な態度となっております。既に上において挙げられた不足している行の補完の可否の他、ハイフンの補記の可否も悩みどころでございます。記事中の例は典拠において形態素ごとにハイフンで区切られているか否かがまちまちである為に、現状では書式が不揃いとなっております。読者視点を考慮致しますと、典拠において一続きで記されている場合であっても、他のハイフンつきの例等から区切り方が推測可能である場合は是非とも手を加えたいところではあるのですが、よろしいでしょうか。--Eryk Kij会話2016年12月17日 (土) 09:01 (UTC)[返信]
とりいそぎグロスに関してのみ。
  • Nominalはnmlでいいと思います(cf. [7], [8])
  • グロスをじぶんで振っていいかどうかですが,Beeでは書いていないがと断ったうえで,いちいち形態素分析の根拠を示せばいいんじゃないかとは思います。基本的な分析の枠組みが同じであれば,容易に検証できるはずなので。うえのnmlの例では,Beeはたんに形態素を示すのみということですが,Beeがnmlとしていないのにnmlと分析したのならばともかく,nmlとしていてそう書いていないのは単なる表記上の問題であって,本質的ではないと考えられています(LGRの本体のほうもご覧になってみてください)。
わたしはエリック・キィさんの指導役ではないので(それに言語学は多少やっていても,パプア・ニューギニア言語の専門家でもないのです),相談であればともかく,許可や答えを求められるような仰り方はお控えいただけるとありがたいのですが,それはさておき,そろそろウサルファ語の理解なしに言えることもだいぶ減ってまいりました。身辺多忙のこともあって,ひとまず,コメントはこれで最後にしたいと思います。
Beeの記述はまだまだ途中だったのだなというのが実感されるところですが,Beeからでもまだくみ取れるところはあるかもしれません。Beeを読む余裕があればよかったのですが,お許しください。今後の充実をお祈りいたします。 Kzhr会話2016年12月20日 (火) 15:04 (UTC)[返信]
返信 (Kzhrさん宛) ならびに 報告 ご教示ありがとうございます。早速nominalと疑問法の表記を変更致しました([9])。グロスの付け加えにも近いうちに慎重を期しつつ取り掛かりたい所存です。
 節々で許可を望むような物言いとなってしまった事は大変申し訳なく思います。諸々の方針文書の存在を意識するあまり、自身の編集方法がどこまで許容されるものであるのか確信が揺らいでいましたもので、独善を避けたいあまりにすっかり神経質になっておりました。しかしその様におっしゃって下さった事で、むしろ自信がついた気が致します。ありがとうございます。
 依然 Bee (1973) から書く余地があるという点に関しましては、自身実感しております。直ぐに思い浮かぶだけでも、接頭辞付き名詞と態の接辞の二種類についてまとめておきたいと考えているところでございます。大変お忙しい中ここまでご助言下さり、誠にありがとうございます。--Eryk Kij会話2016年12月21日 (水) 07:35 (UTC)[返信]
報告 ご助言を参考にグロスを継ぎ足し、名詞(語幹)や態の接辞につきましても加筆致しました([10])。--Eryk Kij会話2016年12月25日 (日) 16:05 (UTC)[返信]
【検証】 ──参考文献などと照合しつつ正確性を評価。
【書評】 ──専門外の方による評価および助言。
【感想】 ──専門外の方による感想。
【その他】 ──表記・文体など

終了 掲載期限が過ぎましたので、依頼を終了致します。ご査読頂いたことにより、自身が抱えていた不安を解消し、何よりも、満足するに至らない点を自身で理解する事ができました。Kzhrさんには、改めまして篤く感謝申し上げます。--Eryk Kij会話2017年1月27日 (金) 12:48 (UTC)[返信]