MIG-seq

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MIG-seq(Multiplexed ISSR Genotyping by Sequencing)は主に集団遺伝研究で用いられる縮約ゲノム解析法の一つ[1]

次世代シーケンサー(NGR)を用いて、一塩基多型(SNP)のジェノタイプをゲノムワイドに決定する。

材料[編集]

1stPCR[2]

  • テンプレートDNA
  • 1stPCRプライマー
  • Multiplex PCR Buffer
  • Multiplex PCR Enzyme Mix

2ndPCR

  • 5 × PrimeSTAR GXL Buffer
  • dNTP
  • PrimeSTAR GXL DNA Polymerase
  • ユニバーサルプライマー(ForwardとReverse)

シーケンス

  • 次世代シーケンサー

方法[編集]

  1. 1stPCRを行い多数のISSR領域を増幅する。
  2. multipelx PCR(2ndPCR)を行い、シーケンシングに必要な配列とインデックス配列を付加しゲノムの縮約ライブラリーを作成する。(増幅された多数の DNA 断片は、高度に縮約されたゲノムDNAライブラリと言い換えることができる。[3]
  3. 次世代シーケンサーを用いてゲノムワイドな一塩基多型情報を取得する。

メリット[編集]

  • 生物種にかかわらず統一した手法で簡便に分析できる。
  • 微量・劣化DNA試料でもゲノムワイドな解析に用いることができ、適用範囲が広い。
  • 数百サンプルを一度に解析できる。
  • 短期間でSNP情報を得ることができる。
  • 低価格。[4]

研究例[編集]

  1. 個体間レベル:ジェネット(クローン)識別
  2. 集団間レベル:集団遺伝・分子系統地理
  3. 近縁種間レベル:雑種識別
  4. 種(あるいは属)間レベル:系統関係

脚注[編集]

  1. ^ 佐藤淳&木下豪太 (2020). “次世代シークエンス時代における哺乳類学 ~初学者への誘い~”. 哺乳類科学 60(2): 307-319. 
  2. ^ Suyama, Yoshihisa; Matsuki, Yu (2015-11-23). “MIG-seq: an effective PCR-based method for genome-wide single-nucleotide polymorphism genotyping using the next-generation sequencing platform” (英語). Scientific Reports 5 (1): 16963. doi:10.1038/srep16963. ISSN 2045-2322. https://www.nature.com/articles/srep16963. 
  3. ^ 陶山佳久 (2023). “MIG-seq法を用いたゲノムワイドSNP分析による森林遺伝学研究”. 森林遺伝育種 第12巻: 63-67. 
  4. ^ ESJ64 自由集会 W24”. www.esj.ne.jp. 2023年12月18日閲覧。

関連項目[編集]

  • RAD-seq - 縮約ゲノム解析法の一つ。制限酵素による切断断片の端の DNA塩基配列を決定する。
  • GRAS-Di法 - ラン ダムプライマーの間の領域を読む
  • シークエンスキャプチャー法 - 特定の領域をゲノムから選出して、その DNA塩基配列を決定する