2023年の猛暑 (日本)

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2023年の猛暑(2023ねんのもうしょ)とは、2023年令和5年)のに日本の広範囲を襲った記録的な猛暑である。15地点による夏(6 - 8月)の平均気温偏差は+1.76℃となり、1898年の統計開始以降、日本の観測史上最も暑い夏となった[1]

概況[編集]

6月[編集]

上旬は北・東日本で暖かい空気が流れ込みやすく、中旬以降は北・東・西日本で高気圧に覆われやすくなったため、沖縄・奄美地方を除いて月平均気温は例年よりもかなり高くなった[2]。北日本を中心に暖かい空気に覆われることが多くなったため、北日本では1ヶ月を通して平年を下回ることはなく、東・西日本も1ヶ月を通じて高温となった[2]

7月[編集]

北日本を中心に暖かい空気に覆われやすかった事や、東日本・西日本と南西諸島を中心に太平洋高気圧の勢力が強まり、晴れた日が多かったため、全国で猛暑に見舞われた。北日本では1946年の統計開始以降、7月として観測史上1位の高温となり[3]、猛烈な暑さは全国へ広がった。

8月[編集]

8月に入っても顕著な高温は解消されず、台風6号や7号の影響で南から暖かい空気が流れ込みやすかったため、高温傾向は変わらなかった。8月下旬になっても気温は高温のまま推移し、北日本・東日本では1946年の統計開始以降、8月として観測史上1位の高温となった[4]

9月[編集]

9月に入っても顕著な高温は解消されることなく、暖かい空気に覆われる事が多かったため、全国的に高温傾向は変わらなかった。東日本・西日本では1946年の統計開始以降、9月として1位の記録的高温になったほか、稚内(北海道)や久米島(沖縄県)などの101の地点で、月平均気温の高い方から1位を更新した[5]。また、8月の平均気温相当の気温を観測した地域もあり、極めて厳しい残暑だった。

原因[編集]

気象庁の8月28日時点での分析によると、7月後半以降の顕著な高温の要因は、フィリピン付近で台風を含む積雲対流活動が活発だった影響で、日本付近に亜熱帯ジェット気流が北偏し、暖かい高気圧に覆われて下層の太平洋高気圧の張り出しが記録的に強まった事もあり、これによって安定した晴天が続いて気温が上がった。フィリピン付近での積雲対流活動の活発化は、冬に終息したラニーニャ現象の影響で、熱帯インド洋において積雲対流活動が平年より弱かった事が影響した可能性があった。なお、日本付近の亜熱帯ジェット気流の北偏には、ヨーロッパ・地中海方面でのジェット気流の蛇行の影響が及んだ可能性もあるという[6]

経過[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 夏(6~8月)の天候、別紙”. 2024年4月29日閲覧。
  2. ^ a b 6月の天候、別紙”. 気象庁. 2024年4月29日閲覧。
  3. ^ 7月の天候、気象庁、2024年5月6日閲覧。
  4. ^ 8月の天候、気象庁、2024年5月6日閲覧。
  5. ^ 9月の天候、別紙”. 2024年5月13日閲覧。
  6. ^ 令和5年梅雨期の大雨事例と7月後半以降の顕著な高温の特徴と要因について ~異常気象分析検討会の分析結果の概要~、気象庁、2023年8月28日。

関連項目[編集]