運輸型揚陸艦

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073A型中型揚陸艦 (運輸型)
基本情報
種別 中型揚陸艦 (LSM)
運用者  中国人民解放軍海軍
就役期間 2004年 - 現在
建造数 15隻
前級 073III型 (玉登型)
次級 最新
要目
基準排水量 1,460トン
満載排水量 1,850トン
全長 87.00 m
最大幅 12.60 m
吃水 2.25 m
主機 SEMT ピルスティク6PA6 L280
ディーゼルエンジン×2基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
速力 17ノット
航続距離 1,500海里 (14kt巡航時)
乗員 70名
兵装
搭載艇 作業艇×1隻
レーダー 航法用×2基
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運輸型揚陸艦(ユンシュウがたようりくかん、: Yunshu-class landing ship)は、中国人民解放軍海軍中型揚陸艦(LSM)の艦級に対して付与されたNATOコードネーム。人民解放軍海軍での名称は073A型中型揚陸艦中国語: 073A型中型登陆舰[1][2]

来歴[編集]

人民解放軍海軍では、中華民国海軍から鹵獲したLSM-1級中型揚陸艦を運用してきた。その更新用として、1969年には073型1隻、また1970年代中盤には073II型3隻が建造されたものの、大量建造には至らず、1990年の時点で依然として14隻のLSM-1級が現役状態にあった[3]。しかしこれらの艦は第二次世界大戦の建造であり、老朽化が深刻になっていたことから、その更新用として建造されたのが本型である[4]

設計[編集]

設計面では、1994年に1隻のみ就役した073III型中型揚陸艦(玉登型)の発展型とされている[1][5]。艦首を海岸に擱座して兵員・車両を揚陸することを前提に設計されており、艦首部には観音開きの門扉(バウ・ドア)とその中にバウ・ランプを有している。また艦尾にもランプが設けられている。バウ・ドア下部と船体には、072III型大型揚陸艦(玉庭II型)と同様にナックルが設けられている。またカーフェリーと同様、艦首付近はかなり絞られた船型となっている。設計は全体的に商船の技法を用いていると推測されている[4]

搭載量は250トンとされている。車両甲板は閉囲式となっており、水陸両用戦車6両または兵員180名を輸送・揚陸できる[2]。ただし揚陸部隊用の居住区は設けられていない。また大型揚陸艦(LST)ではLCVPが搭載されているのに対し、本型では右舷後部に作業艇1隻を搭載するのみとされている[4]

なお機雷敷設能力も付与されており、80発の機雷を搭載する事ができる[5]

同型艦一覧[編集]

# 艦名 建造 就役 所属
941 嵊山
(Shengshan)
上海滬東造船廠 2004年 東海艦隊
942 魯山
(Lushan)
安徽蕪湖造船廠
943 玉山
(Yushan)
山東青島造船廠
944 蒙山
(Mengshan)
大連旅順造船廠
945 華山
(Huashan)
安徽蕪湖造船廠 南海艦隊
946 嵩山
(Songshan)
上海滬東造船廠
947 廬山
(Lushan)
山東青島造船廠
948 雪山
(Xueshan)
大連旅順造船廠
949 衡山
(Hengshan)
950 泰山
(Taishan)
上海滬東造船廠

参考文献[編集]

  1. ^ a b Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. p. 129. ISBN 978-1591149545 
  2. ^ a b 佐々木俊也「着上陸能力 (特集 中国海軍 2015) -- (中国海軍の能力を探る)」『世界の艦船』第816号、海人社、2015年5月、96-99頁、NAID 40020406578 
  3. ^ Bernard Prezelin (1990). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991. Naval Institute Press. p. 89. ISBN 978-0870212505 
  4. ^ a b c 「揚陸艦艇 (特集・中国海軍の新型艦艇) -- (注目の中国新型艦艇)」『世界の艦船』第686号、海人社、2008年2月、96-99頁、NAID 40015771006 
  5. ^ a b 「写真特集 今日の中国軍艦」『世界の艦船』第816号、海人社、2015年5月、31頁、NAID 40020406561 

関連項目[編集]

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