映画・テレビドラマの武器火薬類による事故リスト

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映画テレビドラマを製作する際に、銃器や火薬、その他武器の使用が要因となった事故の一覧である。

小道具の銃によって映画関係者が死亡した例は、”The Captive”(1915)、「トップモデル諜報員 カバー・アップ」(1984)、「クロウ/飛翔伝説」(1994)、”Rust”(2023,公開未定) の4件が報告されている[1]。(2023年現在)

1910年代[編集]

  • The Girl of the Golden West(1915) 
俳優のハウス・ピーターズが手にした拳銃本体が吹き飛び、顔と手に重度の火傷を負った[2]
  • The Captive (1915)
ドア錠をライフル銃で破壊するシーンで、セシル・B・デミル監督はリアリティを求め実弾を使用した。次の撮影に移行する際、ライフルから実弾を抜き取るのを怠りエキストラのチャールズ・チャンドラーが頭を撃ち抜かれ即死した[3]

1920年代[編集]

  • ロイドの化け物退治 Haunted Spooks(1920)
映画の宣伝フィルムを撮影中、ハロルド・ロイドが拾い上げた小道具の爆弾が炸裂した。右手の親指と人差し指を吹き飛ばし、顔にも火傷を負い一時的に視力を失った[4]
  • The Eleventh Hour (1923)
複葉機からスタントパイロットがパラシュート降下したあとタイマー式爆薬が爆発する予定だったが、タイマーの故障で飛び降りる寸前に爆発した。パイロットは脳震盪を起こしながらもなんとかパラシュートを開き助かった。
  • キートン将軍 The General (1926)
大砲の発射シーンを撮影中、バスター・キートンは大砲に接近しすぎて爆圧で意識を失った。また戦闘シーンの撮影でマスケット銃の誤射が多発し、数名のエキストラが負傷し、助監督のハリー・バーンズも顔面に空砲を食らった。

1930年代[編集]

撮影現場を訪れたゲイロード・ロイド(ハロルド・ロイドの兄)は、実弾を使用する発砲シーンを見学中に砕け飛んだ弾丸の破片が目に突き刺さり片目を失明した[5]
  • The Road Back (1937)
元海兵隊のジョージ・デイリーが第一次世界大戦の戦闘シーンを撮影中に爆死した。

1940年代[編集]

撮影中にエキストラの1人が地雷を踏んで死亡した。
  • 征服されざる人々 Unconquered (1947)
セシル・B・デミル監督は戦闘シーンで本物の火がついた矢を飛ばすことにこだわり、エキストラ10名が火傷を負いうち1人は髪を燃やした[6]

1950年代[編集]

撮影地は3年前に大規模な地上核実験が行われたネバダ核実験場の風下220kmの地点だった。監督のディック・パウエルや俳優のジョン・ウェインを始めとする多数の関係者が放射性降下物により癌を発症したと言われている[7]
怪獣バランの足元でトラックが爆発するシーンで、着ぐるみを着ていた中島春雄が腹部に大火傷を負った[8]

1960年代[編集]

大砲を撃つシーンの撮影で発射の反動で大砲が後退し、車輪がローレンス・ハーヴェイの足の上に乗り上げ複雑骨折した。
  • Whiplash (1961 テレビドラマ)
俳優兼監督のジョー・マコーミックは撮影中に誤って空砲のショットガンで撃たれ2週間入院した。

1980年代[編集]

アル・パチーノが自動小銃を連射した直後に銃身を握ってしまい手のひらに大火傷を負った。撮影が2週間中断した。
ヴィク・モロー(53)、子役のミカ・ディン・リー(7)とレニー・シンイー・チェン(6)がベトナムの戦場を逃げるシーンを撮影中、ヘリコプターが3人の真上に墜落した。チェンが機体の下敷きになったあとモローとリーにメインローターが直撃し全員が即死した[9]
俳優のジョン・エリック・ヘクサム(26)は、待ち時間に小道具の銃でふざけてロシアンルーレットの真似事をして頭部に空砲を発砲した。爆圧で頭蓋骨が割れ、骨辺が脳に喰い込んで大量の脳出血を起こし脳死状態のままその年に死亡した[10]
ショーン・コネリートミーガンで蜂の巣にされるシーンの撮影で、着弾の特殊効果で吹き飛んだ破片がコネリーの目に入り入院した。
ブルース・ウィリスがテーブルの下から拳銃を連射するシーンで、ウィリスは左耳の聴力の70%を失った[11]
殺陣のリハーサルのとき、斬られ役の俳優兼殺陣師の加藤幸雄(34)の首に日本刀が刺さり死亡した[12]。俳優に渡された日本刀は小道具ではなく真剣だった。
爆発物が仕掛けられている建物から脱出するシーンを撮影中、爆発のタイミングを誤りスタントマンのアーネスト・ロビンソンが両足に大火傷を負った[13]。彼はこの事故で引退した。

1990年代[編集]

リンダ・ハミルトンはエレベーター内で拳銃を発砲するシーンで片方の耳に永久的な聴覚障害を負った[14]。撮影時の耳栓の使用は俳優の意思に任せているという。
主演のブランドン・リー(28)が撮影中に拳銃で撃たれ死亡した。空砲を使用したが、銃身に詰まっていた弾丸が空砲の爆圧で発射されたことによる[15]

2000年代[編集]

スティンガーミサイルのモックアップが爆発し小道具担当の助手が重傷を負った。
中世の馬上の槍試合の再現シーンで、バルサ材で作ったダミーの槍先が鉄兜に当たって破砕する予定だったが、折れて尖った状態で残ったバルサ材が俳優のポール・アレン(54)の眼から脳にまで貫通し死亡した[16]
ブルガリアのダム湖でインフレータブルボートが爆発するシーンの撮影でスタントマンのクン・リウ(26)が死亡した。もう1名のスタントマンは重体だったが一命をとりとめた[17]
番組スタッフがオマハ警察に同行してレストラン強盗の様子を収録中、警官が撃った銃弾が音響技師のブライス・ディオン(38)に当たり死亡した[18]

2020年代[編集]

  • Rust (未定)
2023年、アレック・ボールドウィンがリハーサル中に実弾1発を発射し撮影監督のハリーナ・ハッチンス(42)が死亡、監督のジョエル・ソウザが負傷した[19]。実弾を装填した銃を撮影現場に持ち込んだとして銃器担当者が有罪となった[20]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ナチス・ドイツが制作した反英プロパガンダ映画
  2. ^ BBCの歴史再現番組
  3. ^ テレビのドキュメンタリー番組

出典[編集]

  1. ^ Shoard, Catherine (2021年10月22日). “‘No one should be killed on set’: tragic history of fatalities during filming” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/film/2021/oct/22/on-set-fatalities-halyna-hutchins-alec-baldwin 2024年4月22日閲覧。 
  2. ^ Kozlovic, Anton Karl (2014-01-02). “DeMille and Danger: Seven Heuristic Taxonomic Categories of His Hollywood (Mis)Adventures” (フランス語). European journal of American studies 9 (1). doi:10.4000/ejas.10165. ISSN 1991-9336. https://journals.openedition.org/ejas/10165. 
  3. ^ Kozlovic, Anton Karl (2014-01-02). “DeMille and Danger: Seven Heuristic Taxonomic Categories of His Hollywood (Mis)Adventures” (フランス語). European journal of American studies 9 (1). doi:10.4000/ejas.10165. ISSN 1991-9336. https://journals.openedition.org/ejas/10165. 
  4. ^ H: Haunted Spooks (1920)” (英語). drfreex.com (2015年10月13日). 2024年4月22日閲覧。
  5. ^ (英語) Scarface (1932) - Trivia - IMDb, https://www.imdb.com/title/tt0023427/trivia/ 2024年4月22日閲覧。 
  6. ^ Kozlovic, Anton Karl (2014-01-02). “DeMille and Danger: Seven Heuristic Taxonomic Categories of His Hollywood (Mis)Adventures” (フランス語). European journal of American studies 9 (1). doi:10.4000/ejas.10165. ISSN 1991-9336. https://journals.openedition.org/ejas/10165. 
  7. ^ アメリカの核実験”. www.y-history.net. 2024年4月22日閲覧。
  8. ^ 大怪獣バラン”. ゴジラ Wiki. 2024年4月22日閲覧。
  9. ^ Twilight Zone movie accident which killed two child actors remains one of the worst tragedies in film” (英語). LADbible (2023年9月13日). 2024年4月23日閲覧。
  10. ^ TV, Jamie Burton Senior (2021年10月22日). “Why the Alec Baldwin Prop Gun Incident is Reminiscent of Jon-Erik Hexum” (英語). Newsweek. 2024年4月22日閲覧。
  11. ^ Gainey, Christian (2022年3月26日). “The Die Hard Stunt That Left Bruce Willis Partially Deaf” (英語). SlashFilm. 2024年4月22日閲覧。
  12. ^ まぎれもない天才だったのに…勝新太郎の俳優人生を未完で終わらせた「パンツの中身」 ライバル・市川雷蔵とは好対照 (5ページ目)”. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) (2021年10月24日). 2024年4月22日閲覧。
  13. ^ Ernest Robinson” (英語). Miami Vice Wiki. 2024年4月22日閲覧。
  14. ^ Gainey, Christian (2022年3月26日). “The Die Hard Stunt That Left Bruce Willis Partially Deaf” (英語). SlashFilm. 2024年4月22日閲覧。
  15. ^ Floorwalker, Mike (2020年9月29日). “Here's How They Finished The Crow After Brandon Lee Died During Filming” (英語). Looper. 2024年4月22日閲覧。
  16. ^ Dolan, Andy (2011年1月27日). “Jouster killed in freak accident when shattered lance spears him through the eye during Time Team re-enactment”. Mail Online. 2024年4月22日閲覧。
  17. ^ “Parents sue over The Expendables 2 stuntman death” (英語). BBC News. (2012年7月27日). https://www.bbc.com/news/entertainment-arts-19010296 2024年4月22日閲覧。 
  18. ^ Shoard, Catherine (2021年10月22日). “‘No one should be killed on set’: tragic history of fatalities during filming” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/film/2021/oct/22/on-set-fatalities-halyna-hutchins-alec-baldwin 2024年4月22日閲覧。 
  19. ^ Bansinath, Claire Lampen, Danielle Cohen, Bindu (2024年2月1日). “Everything We Know About the Rust Shooting” (英語). The Cut. 2024年4月22日閲覧。
  20. ^ Bekiempis, Victoria (2024年3月6日). “Rust Armorer Hannah Gutierrez-Reed Found Guilty of Involuntary Manslaughter” (英語). Vulture. 2024年4月22日閲覧。