土宮

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土宮
土宮
所在地 三重県伊勢市豊川町
位置 北緯34度29分8.8秒 東経136度42分12秒 / 北緯34.485778度 東経136.70333度 / 34.485778; 136.70333 (土宮)座標: 北緯34度29分8.8秒 東経136度42分12秒 / 北緯34.485778度 東経136.70333度 / 34.485778; 136.70333 (土宮)
主祭神 大土乃御祖神
社格 豊受大神宮別宮
創建 997年以前
本殿の様式 神明造
地図
土宮の位置(三重県内)
土宮
土宮
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土宮(つちのみや)は三重県伊勢市豊川町にある伊勢神宮豊受大神宮(外宮)の境内別宮である。第62回神宮式年遷宮では、2015年(平成27年)1月28日遷御の儀が執行された[1]

概要[編集]

土宮は外宮正宮南方の檜尾山(ひのきおやま)の麓にある外宮の別宮である。別宮とは「わけみや」の意味で、正宮に次ぎ尊いとされる[2]

外宮の別宮は土宮のほか、境内に多賀宮(たかのみや)と風宮(かぜのみや)、境外に月夜見宮(つきよみのみや)がある。土宮は多賀宮に次ぎ古く、多賀宮・月夜見宮に次ぎ3位である。外宮境内にある別宮は、多賀宮・土宮・風宮の順に参拝するのが古来の習わしとされる[3]

正宮前の池の横の亀石を渡った先の石段の左に風宮が、右に土宮がある[4]。亀石は高倉山の天岩戸の入り口の岩を運んだと伝えられている。土宮の左手には外宮所管社の下御井神社がある。

祭神[編集]

土宮の祭神は、外宮所在地・山田の原の地主の神である大土乃御祖神(おおつちのみおやのかみ)とされる[5]

度会行忠1285年弘安8年)に記した『神名秘書』では、山田原地主の大歳神宇迦魂神、土御祖神の土宮3座と記載する[5]。また神体は大歳神と土御祖神が鏡、宇迦魂神が宝壺であったとする[5]

歴史[編集]

記録上の土宮の初出は997年長徳3年)の『長徳検録』とされる。927年延長5年)の『延喜式神名帳』には記載されていない。『長徳検録』とする根拠は、度会家行の『類聚神祇本源』での引用による。

『類聚神祇本源』によれば、『長徳検録』に外宮所管の田社33前の1座の土御祖社と記された[5]。「田社」は現在の末社に相当するものとされ、現在の摂社以下の扱いであった[5]

大治3年6月3日ユリウス暦1128年7月2日)、土御祖社は宮川の外宮禰宜の申請が朝廷に認められ、別宮に昇格し土宮となった[5]。そのころ度重なる宮川の氾濫に悩まされた外宮禰宜が、土御祖神が氾濫を治めたとして宮号を申請したものであった[5]

文永年間の遷宮では、土宮の瑠璃壺と鏡2面を大物忌が落したことで解任された[5]

祭事[編集]

皇大神宮に準じた祭事が行なわれ、祈年祭月次祭神嘗祭新嘗祭の諸祭には皇室からの幣帛(へいはく)がある。幣帛を受けるようになったのは、別宮昇格以降と考えられる[6]。皇室の勅使は正宮と多賀宮のみに参行し、土宮には参行しない。

式年遷宮[編集]

土宮の第62回式年遷宮の諸祭と日程は以下の通りである[1][7]

2014年

  • 8月10日 - 立柱祭(りっちゅうさい)・上棟祭(じょうとうさい)
  • 9月15日 - 檐付祭(のきつけさい)
  • 10月25日 - 甍祭(いらかさい)

2015年

  • 1月26日 - 御戸祭(みとさい)・御船代奉納式(みふなしろほうのうしき)・洗清(あらいきよめ)
  • 1月27日 - 杵築祭(こつきさい)・後鎮祭(ごちんさい)・川原大祓(かわらおおはらい)
  • 1月28日 - 御飾(おかざり)・遷御(せんぎょ)
  • 1月29日 - 大御饌(おおみけ)・奉幣(ほうへい)

上記のうち、立柱祭・上棟祭・杵築祭・後鎮祭・遷御・奉幣は、今上天皇による御治定(ごじじょう、日程の御定め)に基づく[7]

社殿[編集]

土宮の社殿は外宮に準じ外削ぎの千木と、5本で奇数の鰹木を持つ萱葺の神明造である。神宮の境内別宮は基本的に南面しているが、土宮は東面している[8]。遷宮のための古殿地は通常は東西に並ぶが、土宮は南北に近い。別宮昇格直後に南面させるべきとの声があったが、従来のままとされた[8]。またの境内別宮は基本的に鳥居を持たないが、土宮は鳥居を持つ。

交通[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 伊勢神宮外宮別宮「土宮」宮川堤防の守護神も新宮にお引っ越し”. 伊勢志摩経済新聞 (2015年1月30日). 2015年2月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年2月10日閲覧。
  2. ^ 伊勢市観光協会/別宮”. 伊勢市観光協会. 2015年2月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年2月10日閲覧。
  3. ^ 三橋(2013):121 - 122ページ
  4. ^ 三橋(2013):122ページ
  5. ^ a b c d e f g h 三橋(2013):123ページ
  6. ^ 三橋(2013):123 - 124ページ
  7. ^ a b 月讀宮以下12別宮の遷宮 - 伊勢神宮”. 神宮司庁. 2015年2月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年2月10日閲覧。
  8. ^ a b 三橋(2013):124ページ

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]