健康の社会的勾配

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健康の社会的勾配[1] (けんこうのしゃかいてきこうばい、Social gradient in health) とは、社会経済的に恵まれない人々が、恵まれた人々よりも健康状態が悪い(寿命が短い)という現象を表す言葉である[2]

単に社会的勾配勾配とも[3]

健康の社会的勾配に関する研究の典型的な例は、英国の公務員を対象としたホワイトホール研究ホワイトホール霞が関に当たるイギリスの首都ロンドン官公庁街)である[4]。ホワイトホール研究では、社会階層と健康状態、そしてさまざまな病気による死亡率との間には、急峻な逆相関があることがわかった。

第1次ホワイトホール研究[編集]

最初の前向きコホート研究である第1次ホワイトホール研究は、1967年から10年間にわたって実施され、20歳から64歳までの17,500人以上の男性公務員を調査した。

第2次ホワイトホール研究[編集]

2番目のコホート研究である第2次ホワイトホール研究は、1985年から1988年にかけて実施され、35歳から55歳までの10,308人の公務員の健康を調査した。そのうち3分の2が男性、3分の1が女性であった。第1期と第2期の研究対象者の長期追跡調査が進行中である[5]

参考文献[編集]

  1. ^ 一世代のうちに格差をなくそう WHO
  2. ^ Social Gradient WILEY ONLINE LIBRARY
  3. ^ Michael Marmot 国際社会保障・人口問題研究所
  4. ^ Employment grade and coronary heart disease in British civil servants. Marmot MG, Rose G, Shipley M, Hamilton PJ. Employment grade and coronary heart disease in British civil servants. J Epidemiol Community Health (1978). 1978 Dec;32(4):244-9. doi: 10.1136/jech.32.4.244. PMID: 744814; PMCID: PMC1060958.
  5. ^ Health inequalities among British civil servants: the Whitehall II studyMarmot MG, Smith GD, Stansfeld S, Patel C, North F, Head J, White I, Brunner E, Feeney A. Health inequalities among British civil servants: the Whitehall II study. Lancet. 1991 Jun 8;337(8754):1387-93. doi: 10.1016/0140-6736(91)93068-k. PMID: 1674771.

関連項目[編集]