マリア・トリップの肖像

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『マリア・トリップの肖像』
オランダ語: Portret van een vrouw, mogelijk Maria Trip
英語: Portrait of Maria Trip
作者レンブラント・ファン・レイン
製作年1639年頃
カタログレンブラント研究プロジェクト英語版、レンブラント全作品 VI: #184b
素材板上に油彩
寸法107 cm × 82 cm (42 in × 32 in)
所蔵アムステルダム国立美術館

マリア・トリップの肖像』(マリア・トリップのしょうぞう、: Portrait of Maria Trip)は、17世紀オランダ黄金時代の巨匠レンブラント・ファン・レインが1639年頃に板上に油彩で制作した肖像画である。モデルは、17世紀オランダの富裕な商人の娘マリア・トリップであると考えられているが、アムステルダム国立美術館オランダ美術史研究所では、作品の題名を『ある女性、おそらくマリア・トリップの肖像』(あるじょせい、おそらくマリア・トリップのしょうぞう、: Portret van een vrouw, mogelijk Maria Trip: Portrait of a Woman, Possibly Maria Trip)としている[1][2]。作品は、アムステルダム国立美術館に所蔵されている[1][2][3]

作品[編集]

マリアの父は商人で、鉄と武器の交易で莫大な富を蓄えた。本作が描かれた頃の1639年に、彼女は20歳で未婚であった[1][3]。この肖像画で、彼女は富裕であることを隠していない。最上のほとんど透明なレースでできているネッカチーフを付け、真珠を贅沢に身にまとっている。1639年には、彼女が左手に持っているような扇はまだ珍しく、貴重なアクセサリーだった[1]。レンブラントは、光と影を描くために彼女の豪華な衣装をうまく活かしている[3]

この絵画は、1915年に研究者ホフステーデ・デ・フロート英語版により以下のように記述されている。

845番。石の欄干の側の若い女性。35歳くらい。半身像。等身大。彼女は左側に身体を傾けて立っており、鑑賞者を見ている。扇を持っている左手は欄干の上にある。彼女の茶色の髪は覆われておらず、巻き毛となって眉毛の上に垂れている。装飾付きの黒い絹のガウンは喉のところまでの仕立てで、バラの花型の飾りで縁取られている。その上には、豪華なレースのある三重のカラーがあり、それはガウンの上に平らに付いている。耳、胸部、首周り、手首には豪華な真珠を身に着けている。

小さな、宝石の付いたメダルが黒いリボンから垂れさがっている。右手は、身体の右側面に垂れている。彼女は、左側にカリアティド (女像柱) のある奥まった一角に立っている。背後には、暗色のカーテンがある。正面から日光が彼女に当たっている。修正の跡が左端に見える。そこには以前、テーブルがあった。また、左の袖には、大きなボタンがあった。

左手前に「Rembrandt f. 1639」の署名。杉板。縦42インチ、横32インチ。1896年からアムステルダム国立美術館に寄託展示されている。1911年の目録番号2022[4]

絵画は、20世紀にイサ・ファン・エーヘン英語版により研究され、バルタサール・コイマンス (Balthasar Coymans) の妻のマリア・トリップであることが発見された[5]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d Portrait of a Woman, Possibly Maria Trip, Rembrandt van Rijn, 1639”. アムステルダム国立美術館公式サイト (英語). 2023年3月31日閲覧。
  2. ^ a b Portrait of a woman probably Maria Trip”. オランダ美術史研究所公式サイト (英語). 2023年3月31日閲覧。
  3. ^ a b c 『RIJKSMUSEUM AMSTERDAM 美術館コレクション名品集』、1995年、49頁。
  4. ^ Entry 845 for ''Portrait of Maria Trip in Hofstede de Groot, 1915
  5. ^ Maria Trip of een anoniem vrouwsportret van Rembrandt, by Eeghen, I.H. van, 1956

参考文献[編集]

外部リンク[編集]