スティックパソコン

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スティックパソコンスティックPCスティック型PC)とはUSBメモリを一回り大きくした程度の大きさの超小型パソコン

概要[編集]

スティック型パソコン (インテル Compute Stick)

HDMI端子を備えており直接ディスプレイにつなげて使用する。タブレットで使われているような省電力CPU、メモリ、小型のストレージ(eMMC)を搭載したものが多い。キーボードとマウスなどは外付けで、本体はとても小さいため持ち運びがしやすく省スペース省電力のため、サブのパソコンとしての使用や、店頭ディスプレイに宣伝映像を流すための端末としての使用などが想定されている。バッテリーは内蔵しないが、省電力のためモバイルバッテリーの給電でも動作する場合がある[1]

冷却用のファンはついているモデルとついていないモデルが存在する。双方メリットとデメリットがあり、ファンがなければ理論上駆動音は全くしないため静かだが、排熱処理がうまくいかないため重い処理をするとCPUのクロックダウンが発生する。ファンがついていると排熱には有利だが動作音がしてしまう。負荷環境でも安定して性能を発揮させたいという用途にはファン付きモデルが向く[2]

歴史[編集]

スティックPCは、2003年に登場した。同年、ARMアーキテクチャをSoCとし、Linuxカーネル2.6を使用したThe Gumstixが登場した。このスティックPCには、Windows CEもインストールすることができた。これは、平均的なチューイングガムのスティックと同じ程度のサイズのPCを作るというアイディアに基づいていた[3]

いくつかのARMアーキテクチャのSoCを用いるスティックPCは、2012年ごろに導入され、HDMIポートに挿すことができるスティックの形をしている。これには、RikomagicのAndroid Mini Pc MK802シリーズや、その他AndroidLinuxディストリビューションを用い、AllwinnerやRockchipのSoCを用いるものがある[4]。Cotton Candyは、Samsung Exynos SoCを用いている[5]

2013年から2014年には、いくつかの製造者が新たにスティックPCの製造を始めた。MeeGoPadは、Intel Atom Z3735Fプロセッサを用いた最初のx86ベースのスティックPCをリリースした[6]2013年4月には、TronsmartがRockchip RK3188(クアッドコアのCortex-A9とARM Mali-400MP GPUを使う)を用いたMK908をリリースした。同年7月24日には、Googleが、Google Chromecastを発売した。これは、スティックPCに似た機能とデザインを持つデバイスである[7]2014年11月19日Amazonは、より小さなバージョンのFire TV、Fire TV Stickを発売している。

2015年3月、ASUSとGoogleはChromebitを導入した。これは、Rockchip RK3288 SoCをベースにしたもので、GoogleのChrome OSが動作する[8]

2016年インテルIntel Compute Stickを発売した[9]

主な仕様[編集]

2015年に発売されたスティックPCの主な仕様[10]

  • プロセッサー: Atom Z3735F(4コア、1.33GHz)
  • メモリ: 2Gbytes
  • ストレージ: 32Gbytes/64Gbytes eMMC
  • 通信機能: IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0
  • インターフェース: HDMI×1、USB 2.0×1、microUSB 2.0×1(給電用)
  • カードスロット: microSDXC×1
  • OS: Windows 8.1 with Bing 32bit

参入メーカー[編集]

など

日本では、2014年12月にマウスコンピューターが最初のWindows搭載スティックPCである「m-Stick MS-NH1」を発売した[11]

脚注[編集]

関連項目[編集]